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1: 2020/03/29(日) 15:10:20.95
■新たに設定された再開プランから見えるJリーグの意図

3月25日、Jリーグは2度目となる公式戦再開の延期を発表した。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、Jリーグが最初に延期を発表したのが2月25日。この時は「3月18日の再開を目指す」としていたが、3月12日には「4月3日」に再設定され、今回は「J3が4月25日、J2 が5月2日、J1が5月9日」と段階的に再開(J3は開幕)することが新たに発表された。
以前の記事でも指摘したが、今回の非常事態に対してJリーグは、どのスポーツ興行団体よりも素早い対応を取ってきた。公式戦の延期を最初に決めたのもJリーグだったし、3月2日にはNPB(日本野球機構)と共同で、感染症学の専門家3名を加えた「新型コロナウイルス対策連絡会議」を立ち上げている。今回の延期発表も、同会議での専門家の意見を参考にしながら、全Jクラブ代表者とのウェブ会議での議論を踏まえてのものだ。

こうした危機管理能力を発揮する一方で、Jリーグは綿密なシミュレーションに基づいた再開のための準備を進めている。すべての会場に検温用のサーモメーター、そしてマスクや消毒薬が行き渡るように手配。キャパシティが少ないJ3から開催し、平均観客数が多いJ1の再開をゴールデンウイーク明けに設定するなど、段階的な再開プランには主催者側の細やかな配慮が見て取れる。

新たな再開日程が設定されたことを受けて、Jリーグでは3月27日に臨時合同実行委員会を開催し、その内容がウェブ上でのメディアブリーフィングで公開された。具体的には「試合日程」「協議の公平性」「観戦環境対策」「財務対応」の4つのテーマだが、本稿ではファン・サポーターに最も関連性のある、3番目の「観戦環境対策」についてお伝えすることにしたい。もっとも、現段階ではあくまで「たたき台」であり、決定事項ではないことはあらかじめ強調しておく。

■Jリーグによる『再開直後の試合運営プロトコル(案)』

「観戦環境対策」についてメディアブリーフィングを行ったのは、プロジェクトリーダーの藤村昇司氏。藤村氏は、これまで4回行われた対策連絡会議にも陪席。今回のブリーフィングでは、作成中の『再開直後の試合運営プロトコル(案)』に基づきながら、Jリーグが考える「観戦環境対策」について語っている。その内容から、再開後のJリーグがどのような観戦環境となるのか、うっすらとイメージできるはずだ。

本題に入る前に、前提となるJリーグの考え方を確認しておこう。まず《状況が好転次第、一日も早くJリーグを再開したい。ホームタウンの笑顔と元気を、全国に届けたい》(プロトコル案より。以下、同)。その上で《できれば満員のお客様と共に再開したい。しかしその時期を待っていると、シーズン日程消化ができなくなる》として、完全収束を待たずに再開に踏み切ること。さらに《無観客は「最後の手段」と位置づける》ことが明記されている。

Jリーグでは「観戦環境対策」のリスクについて、レベル3(厳重警戒)→レベル2(警戒)→レベル1(注意)と設定。レベル3の段階から《できる限りの感染リスク対策をして、お客様をお迎えしながら、Jリーグを再開する》としている。そのためには《リーグから、ぜったいに守ってほしい基準を示す》。具体的には、感染リスクの主要因となっている「3密=密閉、密集、密接」の状態を作らないための禁止事項を設けることだ。

3月25日の会見で村井チェアマンは「試合は野外で行われるので、密閉については問題ない」とした上で、密集対策については「(再開から)2カ月をめどに遠距離移動による観戦の自粛を呼びかけること」、密接対策については「前後左右の客席を空けること」を方針として挙げている。余談ながら、最近はメディアを通してすっかり定着した感のある「3密」だが、Jリーグでは対策連絡会議が立ち上がった3月初旬から提唱している。


https://news.yahoo.co.jp/byline/utsunomiyatetsuichi/20200329-00170356/
3/29(日) 15:00