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1: 2019/01/01(火) 15:48:45.43 _USER9
1年前、箱根駅伝4連覇を果たした青学大の原晋監督(51)は優勝会見で力説した。

 「ライバルは東洋大、東海大、早大ではなく、サッカーや野球なんです」

 自他ともに認める日本陸上界の異色指導者は、この言葉を常に頭に入れていた。

 2018年10月8日。今季の学生3大駅伝、出雲駅伝(島根・出雲市出雲大社~出雲ドーム)を制した後、ゴール地点の出雲ドームに隣接したスポーツ公園で練習していたサッカー少年たちが原監督に気がついて集まってきた。すると、原監督は満面の笑みで呼びかけた。「みんな、サッカーもいいけど、陸上やろうぜ! 大学生になったら、地元の出雲駅伝に出ようよ! スターになれるぞ!」。テレビでよく見る“タレント監督”と触れ合ったサッカー少年たちは大興奮。そのサッカー少年チームの木次ラ・スリーズの監督に了承を得て、市場瑛斗君(11)に話を聞くと「原監督、チョー面白い。駅伝、やってみたくなった」と満面の笑みで話した。

 将来の駅伝ランナーの“スカウト”に手応えをつかんだ原監督も笑顔。「サッカー少年たちはみんな運動能力が高い。ああいう子どもたちを陸上界に呼び込みたい」と言葉に力を込めて話した。

 異種競技選手のスカウトに原監督は熱心だ。毎年、青学大の第1次夏合宿は長野・菅平高原で行われる。菅平は昔から陸上よりもラグビーの合宿が盛んな土地。原監督はロードで走り込みをしている高校生ラガーメンをチェックし、しばしば声をかける。「花園や秩父宮もいいけど、箱根を目指してみないか?」。決して冷やかしではない。「走りのリズムが良くて、ラガーメンとしては体の線が細い選手に声をかけている。長距離ランナーの適性を持った選手は必ずいると思う」とマジメに話す。なるほど。近い将来、高校ラグビー出身の箱根駅伝ランナーが生まれる可能性は決してゼロではないだろう。

 実は原監督自身、異種競技挑戦の野望を持つ。「高校野球の監督に興味を持っている。新潟県のある私立高校の経営者からは『原監督が本気ならぜひやってもらいたい』という話を頂いている。野球の技術、知識はないが、これまで培ったマネジメント力と選手スカウトで面白いチームをつくれると思っている。当然、すぐというわけにはいかないが、将来、新しい指導方針で甲子園を目指してみたい」と明かす。

 “破天荒”な言動が常に注目される原監督は監督という立場を超越し、ゼネラルマネジャー(GM)の性格も持つ。スカウト網を異種競技にも広げているのは「常識にとらわれない」をモットーとする人物の真骨頂と言える。

 “原GM”は危機管理(リスクマネジメント)にも長けている。「ワクワク」(15年)、「ハッピー」(16年)、「サンキュー」(17年)、「ハーモニー」(18年)、そして「ゴーゴー」(19年)。おなじみとなった箱根駅伝の大作戦発令やビッグマウスは「目立ちたがり屋」と自ら認めるサービス精神のほかに、もうひとつ大きな理由があるという。「もし、青学大が負けた時、私に批判が集中するはず。それでいい。選手を守れるから」と冷静な表情で話す。

 第95回箱根駅伝がいよいよ始まる。「ライバルは青山学院大学。自分たちです。アクシデントさえなければ勝てます」と指揮官はV5に自信を持っている。昨年12月上旬、千葉県富津合宿で原監督は不敵な笑みを浮かべながら、つぶやいた。「5連覇を果たしたら、言いたいことがたくさんある。勝つことで発信力も説得力も持つよね」

 2019年。担当記者の私は、また、原監督から目を離せない1年を過ごす可能性が高い、と思っている。(記者コラム 箱根駅伝担当・竹内 達朗)

1/1(火) 14:42配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190101-00000066-sph-spo