1: 2020/05/01(金) 07:40:24.28
花園ラグビー場を所有する大阪府東大阪市は4月10日、ラグビー場とその周辺の公園の運営委託先に、サッカーJFL「FC大阪」を含む事業者を、候補に選んだと発表した。議会の承認を経て、10月から運営が始まる。期間は2040年まで。日本ラグビー協会は複数の団体でつくる「ワンチーム花園」で手を挙げたが、2者の戦いに敗れ「次点」になった。19年W杯会場にもなった専用グラウンドを含む施設を、他の競技が運営するという極めて異例の事態。日本初のラグビー場として開場された「聖地」は今後どうなるのか。関係者に話を聞いた。

 サッカー側から見ても花園ラグビー場は、かなり魅力的な競技場だ。東大阪スタジアムと組み、指定管理者の第一候補になったFC大阪の疋田晴巳社長は「C大阪が試合をしたことがあり、サッカーの可能性があると思って以前から本拠地として考えていた。駅からのアクセスが良く、トラックがなくて観戦環境もいい」と語った。

 東大阪市を拠点にして、現在はJFLに身を置く。将来的なJ1参入のためには、各クラスごとに競技場の収容人数の条件をクリアする必要がある。J3は5000人以上、J2は1万人以上、J1は1万5000人以上が求められる。

 当面の目標であるJ3をにらみ、昨秋、第2グラウンドに5000席の寄贈を表明した。老朽化と席の少なさが問題の場所だけに、ここを多く使う高校生の「冬の花園」には朗報だ。将来的には「当面は第2が中心になると思うけど、J2まで上がれば、第1を使う選択肢しかなくなると思う」と青写真を描く。J2まで、最速2年で上がれる。

 入札ではバーベキューエリアの設置、ナイトイベントの開催、飲食店の整備などを提案。現在年62万人の公園有料施設利用者を、200万人にする計画を掲げた。目指すのは、サッカーとラグビーの共存共栄だ。「どちらも栄えていくことを念頭に置いている。全国高校ラグビーは野球で言えば甲子園と一緒で、それを開催することが大前提。トップリーグなどは、サッカーと重なることもあるだろうけど、その都度調整するだろう。自分たちはラグビーを愛する人の気持ちを踏みにじることはしない。リスペクトを持って対応したい」。花園の新しいカタチをつくっていく。

 グラウンド問題はFC大阪のJ2昇格後の話とはいえ、ラグビー側は戦々恐々だ。年末年始の全国高校大会はシーズンが重ならないものの、9~12月が旬のトップリーグと関西大学リーグは影響を受ける可能性がある。

 21年発足の新トップリーグは、各チームにホーム競技場を持つことが求められる。かつての所有者の近鉄は、本拠地使用が既定路線。中川善雄部長は「今まで通りの運営を願っています」と厳しい表情を浮かべた。他チームへの影響も大きい。大学側、関西協会の中尾晃大学委員長は「指定管理を日本協会が取って、もっと使えるようになると思っていた」と不安を募らせた。 日本協会は、サンウルブズのスポンサー、ヒト・コミュニケーションズらと組んで「ワンチーム花園」で手を上げた。関係者の話を総合すると、清宮氏が中心になり、指定管理の専門業者をブレーンにして戦ったという。

 ただ、お膝元の近鉄が当初メンバーから離脱。「ワンチーム」は一枚岩でなかった可能性がある上に、「コストがかかる提案だった」という声が伝わる。

 今後20年、花園の運営の主導権が握れないことについて、日本協会は「ラグビーの聖地としての価値が損なわれることなく、W杯の盛り上がりをしっかりとつないでいただけるものと考え、さらなる発展を願っています」と回答した。

 ラグビー界の懸念について東大阪市の担当者は「聖地の存在はなくてはならないもので、守っていくこと。花園はラグビー場。その名称が全て」と、従来通りラグビーの使用が優先されると語った。

 サッカーが運営に参画しても、“浸食”できない理由があるという。「東大阪市花園ラグビー場条例」には「使用目的がラグビー場の設置目的にそぐわないとき」は「施設の使用を許可してはならない」と明記してある。

 グラウンドの優先利用も条例で約束されている。「特別扱い」は今後も変わらず、サッカーが割って入ろうとするならば、市の許可が必要だ。それゆえ、担当者は「サッカーの人気が出たからといって、他が納得しなければ受ける話ではない」と、現在の条例が防波堤になるとした。

つづく

5/1(金) 5:30配信スポニチ
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