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久保に対する現地記者のリアル評を調査、3人が90点の高得点
ソシエダで充実の1年を送った久保建英【写真:Getty Images】

 日本代表MF久保建英は今シーズン加入したスペイン1部レアル・ソシエダで、9度のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に輝くなど大きな躍進を遂げた。「FOOTBALL ZONE」ではヨーロッパでプレーする侍たちの活躍ぶりに焦点を当て、「海外組通信簿」と題し特集を展開。久保に対する現地記者のリアル評を調査した。(取材・文=高橋智行)


   ◇   ◇   ◇

 スペイン4季目に突入した2022年7月、保有元のレアル・マドリードからソシエダへ完全移籍することを決意した久保が今シーズン、あんなにも胸を熱くする活躍を見せてくれることを誰が予想できただろうか。久保はこの移籍が正解であったことを証明するかのように、公式戦51試合中45試合に出場し、キャリアハイとなる9得点9アシストを記録する素晴らしいシーズンを過ごした。さらに深く見てみると、出場時間2,916分、先発33試合、フル出場は8試合となっている。

 レアル・ソシエダが10季ぶりのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得を決めた直後、長かったシーズンを振り返って90点と自己採点し、「すごい充実していた」と安堵した表情を見せた久保の今季を、ソシエダの番記者を務める3人に100点満点で評価してもらった。

■ウナイ・バルベルデ・リコン記者
(スペイン紙「ムンド・デポルティボ」 レアル・ソシエダ番記者)
久保のシーズン採点:90点

 1年を通して久保を採点するとしたら90点だ。彼にとって今季はキャリア最高のシーズンになったと思う。シーズンを通してベストだったとは言えないけども、ソシエダが来季のCL出場を決める原動力となった選手の1人であることに疑問の余地はない。決定的な役割を果たすプレーを幾度となく披露して結果に大きな影響を与え、存在感を示していた。

 ラ・レアル(※レアル・ソシエダの愛称)の今季のベストプレーヤーについてはっきりと明言はできないけど…。私なら久保、もしくは(マルティン・)スビメンディか(イゴール・)スベルディアの名前を挙げるかな。久保のパフォーマンスは素晴らしいものがあるが、決定力という点ではまだ改善の余地があると思う。それでも今季はその点以外、そこまで修正すべき点はなかったと感じているよ。

マルコ・アントニオ・サンデ記者「突破力という点で欧州最高の選手の1人だと思っている」

■マルコ・アントニオ・サンデ記者
(スペインのラジオ局「カデナ・コペ」 レアル・ソシエダ番記者)
久保のシーズン採点:90点

 私は90点だと思う。100点と言わないのはイマノル・アルグアシルがこれまで何度か記者会見で語ってきたように、久保にはまだ改善の余地があると私も思うからだ。ラ・レアルに移籍して来てからの彼は、持ち前の爆発力を発揮して活躍しているけど、それは自分の特徴を生かせる最適な場所に出会えたからだと思う。彼がヨーロッパで最高のサッカー選手の1人になるために必要としていた場所を、ここでやっと見つけることができたと私は確信している。

 私にはスカウトをしている知り合いが何人かかいて、彼らは久保を昔からチェックしていたので、私も彼が少年時代から注目していたよ。特に久保は好調な時、1対1で止められることはなく、私は突破力という点で欧州最高の選手の1人だと思っている。

 しかし久保が今以上の成長を望むのなら、今持っている才能や自分自身の価値をもっと高め、自信をさらに深めていくことが鍵になると思う。彼にはそれができる素晴らしい条件が備わっているし、そうすることで今以上に快適さを感じながらプレーできるようになることが重要となる。

 また久保が最高レベルのプレーを発揮するためには、周りに高いレベルの選手がいて、その能力を引き上げてくれることも大切だ。その点で今はチームから3人がスペイン代表に招集され(※今月の代表戦にスビメンディ、ミケル・メリーノ、ロバン・ル・ノルマンがメンバー入り)、さらにほかの選手にも呼ばれる可能性があったことが示しているように、ラ・レアルにはハイレベルな選手が揃っているので、久保が成長する上でここは良い環境だと言えるだろう。さらに来季、ラ・レアルは今よりも競争力の高いチームになると思うし、クラブのフットボール・ディレクターを務めるロベルト・オラベが補強に取り組み、久保の環境はより良いものになるはずだ。

 さっき話したように私は以前から久保に注目していた1人だが、マジョルカで上手くいかず、ビジャレアルやヘタフェでも成功しなかった時、自分の考えを疑い始めていた。しかし彼がラ・レアルに加入すると知った時、ここ10年間で最高の補強の1つになると心から信じていたし、それが正解だったことが証明されている。

ロベルト・ロマホ記者「素晴らしい形でシーズンを締めくくっていた」

■ロベルト・ロマホ記者
(スペインのラジオ局「カデナ・セル」 レアル・ソシエダ番記者)
久保のシーズン採点:90点

 普段は点数をつけるのは好きではないんだけど…。あえて言うなら、今季は全般的に良いシーズンを送っていたから90点かな。久保は今季、幸先の良いスタートを切っていた。その後、調子を落とし、望むようなパフォーマンスを発揮できない悪い時期もあったけど、終盤は特にゴールを決めて得点によく絡み、素晴らしい形でシーズンを締めくくっていた。

 レアル・ソシエダが10季ぶりにCL出場権を獲得できたのは、攻撃陣に怪我人が続出する中、ほとんど怪我することなくコンスタントに素晴らしい活躍を見せてくれた久保の存在が大きかったと思う。彼が来季、CLで活躍してヨーロッパでさらなる飛躍を遂げる姿を見せてくれることを期待しているよ。

[著者プロフィール]
高橋智行(たかはし・ともゆき)/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

高橋智行 / Tomoyuki Takahashi



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