スクリーンショット 2023-06-03 22.35.23

スポンサード リンク

 パリ五輪出場を目指すサッカーU-22日本代表は、10日にU-22イングランド代表、14日にU-22オランダ代表と対戦する。五輪まで約1年となり、今年9月と来年4月には五輪本大会出場を懸けた戦いも待ち受ける。そこで、今回はチームの主力を担うであろう海外組を6人ピックアップして、所属クラブでの活躍を振り返る。

MF:田中聡

所属クラブ:コルトレイク(ベルギー)
生年月日:2002年8月13日(20歳)
22/23リーグ戦成績:15試合0得点0アシスト

 湘南ベルマーレで主力として活躍していた田中聡がベルギーに渡ったのは、20歳の誕生日を迎えたばかりの昨年8月だった。まだ高校3年生だった2020年にアカデミー時代の恩師でもある浮嶋敏監督に抜擢されてリーグ戦17試合に出場。足掛け3シーズンに渡り、湘南らしさを体現する存在としてチームを引っ張った。

 初の海外挑戦、開幕直前での加入にもかかわらず、田中はコルトレイクですぐさまレギュラーに定着している。しかし、10月に負傷し、ワールドカップによる中断期間に監督が解任されたこと重なり立場が一変する。中断明けは先発のチャンスがほとんどなく、後半戦17試合のうち8試合はベンチすらも入れなかった。

 パリ五輪世代の日本代表のボランチは激戦区で、昨年11月の欧州遠征で田中は招集されなかった。攻撃でも守備でも、ボールを持っていても、そうでなくとも躍動感を生み出すことのできる田中は、ベルギーで過ごした1年で酸いも甘いも経験した。その経験は今後、どのような形でキャリアに反映されるのだろうか。

MF:鈴木唯人

所属クラブ:ストラスブール(フランス)
生年月日:2001年10月25日(21歳)
22/23リーグ戦成績:2試合1得点0アシスト
 
 鈴木唯人にとって2022年は大きな転機となる年だった。1月に行われたA代表の候補合宿に招集され、その経験を活かすかのように開幕2戦連続ゴールと気を吐いている。6月のAFC U-23アジアカップではU-23韓国代表戦の2得点を含む3得点の活躍で、その名をアジアに知らしめる格好となった。ただ、同大会で負った怪我の影響で後半戦はなかなか試合に絡むことができず、結果的に20試合3得点という数字に留まっている。

 今年1月28日、開幕に向けてプレシーズンを消化している段階でストラスブールへの期限付き移籍が発表された。翌月1日には早速ベンチメンバーに入ったが、デビューには2か月半を要した。ようやく回ってきた初出場のチャンスで、鈴木は細かいタッチで相手を次々とかわしてゴールを決めている。

 しかし、このゴールが鈴木の立場を変えることはなかった。その後に訪れた出場機会はリヨン戦の試合終盤で、10分にも満たないものだった。辛くも残留を決めたチームでほとんど出場機会を得られないまま、鈴木は欧州挑戦1年目のシーズンを終えようとしている。期限付き移籍期間は今季終了までのため、その去就には注目が集まる。

FW:小田裕太郎

所属クラブ:ハート・オブ・ミドロシアン(スコットランド)
生年月日:2001年8月12日(21歳)
22/23リーグ戦成績:7試合0得点0アシスト
 
 ヴィッセル神戸の育成組織で6年間プレーし、トップチームで公式戦通算60試合に出場した小田裕太郎は今年1月にスコットランドのハート・オブ・ミドロシアン(ハーツ)へ完全移籍した。パリ五輪世代の日本代表にコンスタントに呼ばれるほど大岩剛監督の信頼を掴んではいないが、昨年11月の欧州遠征ではU-21ポルトガル代表からゴールを決めている。

 移籍が発表された1週間後に公式戦デビューを果たすも、続く試合では先発しながら45分で交代。リーグ戦は半年で7試合の出場で、先発は2試合に留まった。しかし、上位プレーオフでは5試合すべてに先発し、最終戦となったハイバーニアン戦では強烈な左足のシュートでゴールネットを揺らし、加入後初得点を記録した。

 地元紙『エジンバラ・イブニング・ニュース』によると、「彼はハーツで成功するだろう」とスティーブン・ネイスミス監督は小田を称賛しており、「彼に備わっている選手としての本能とインテリジェンスはとてもいい」とも評していた。海外挑戦1年目は苦戦する選手も多い中、公式戦ラスト6試合すべてに先発して、ゴールでシーズンを締めくくった。来季のUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ予選への出場権を手にしたハーツで、小田はどのような活躍を見せるのだろうか。

FW:斉藤光毅

所属クラブ:スパルタ・ロッテルダム(オランダ)
生年月日:2001年8月10日(21歳)
22/23リーグ戦成績:26試合7得点5アシスト
 
 昨年のAFC U-23アジアカップでU-21日本代表の10番を背負った斉藤光毅は、この世代の出世頭と言っていいだろう。横浜FCの最高傑作とも称された逸材は16歳でトップチームデビューを果たし、2019年には17歳ながら飛び級でFIFA U-20ワールドカップにも出場。19歳だった21年冬に海を渡り、シティ・フットボール・グループ傘下のロンメルに完全移籍している。

 ベルギー2部で1年半プレーした後、今季はオランダ1部のスパルタ・ロッテルダムに期限付き移籍で加入。徐々にプレータイムを伸ばしていき、後半戦はチームに欠かせない存在となった。3試合連続ゴールを3月と5月の2度マークし、最終的にリーグ戦26試合7得点5アシストという数字を残している。左サイドからの切れ味鋭いドリブルや精度の高いフィニッシュワークはオランダでも輝いている。

 オランダ1部でこれだけの結果を残した選手が、保有元のベルギー2部へ戻ることは一般的に考えにくい。来季のUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ出場の可能性も残すロッテルダムに残る可能性もあるだろう。

GK:小久保玲央ブライアン

所属クラブ:ベンフィカB(ポルトガル)
生年月日:2001年1月23日(22歳)
22/23リーグ戦成績:なし(ベンフィカB)
22/23リーグ戦成績:3試合6失点(ベンフィカU-23)
 
 海外に活躍の場を求めた小久保玲央ブライアンは、ポルトガルの強豪ベンフィカに籍を置いている。4年前に18歳で加入した当初はU-19チームでプレーしていたが、ベンフィカB(セカンドチーム)まで登りつめた。

 ベンフィカでは熾烈なポジション争いの中にいる。開幕当初はU-23チームでプレーしていたが、冬に控えGKのエウトン・レイチが移籍したことなどもあり、1月31日のリーグ戦でベンチ入りを果たしている。ただ、昨季はベンフィカBで2部リーグ9試合に出場したが、今季は出場ゼロに終わった。シーズン後半はU-23チャンピオンシップで10試合中9試合に起用されたが、チームは1勝4分4敗という結果に終わった。

 トップチームはギリシャ代表正GKのオディッセアス・ヴラホディモスが絶対的な存在で、20歳のサムエル・ソアレス、18歳のアンドレ・ゴメスがベンフィカBで経験を積みながらトップチームでもベンチ入りしている。22歳の小久保は20歳のペドロ・ソウザらとその次の座を狙うような状況だ。

DF:内野貴史

所属クラブ:フォルトゥナ・デュッセルドルフ(ドイツ)
生年月日:2001年3月7日(22歳)
22/23リーグ戦成績:4試合0得点0アシスト
 
 ジェフユナイテッド千葉U-18からトップチームに昇格できなかった内野貴史は、海外でプロを目指すという道を選んだ。ドイツ5部デューレンの下部組織に加入し、1年で同4部アレマニア・アーヘンの下部組織に移籍。ここでトップチーム出場のチャンスを掴み、同2部フォルトゥナ・デュッセルドルフU-23に加入している。

 昨年3月には新型コロナウイルスのクラスターが発生したことで、トップチームデビューの機会が回ってきた。その数日後にはU-21日本代表メンバーに選出され、パリ五輪世代の日本代表デビューを果たしている。精度の高いクロスが武器で、両サイドバックをこなせる器用さとドイツで培った粘り強さを併せ持つ。

 人生の転機とも言える21/22シーズンとは対照的に、今季は苦しいシーズンになった。7月の開幕直後に左足首の靭帯を断裂していたことが分かり、長期に渡って離脱することとなった。11月にはU-23チームで復帰を果たしたが、トップチームではなかなか出番が回ってこなかった。ただ、リハビリ中の昨年10月にプロ契約を結んでおり、来季以降の活躍に期待が集まる。



スポンサード リンク

ブログランキング にほんブログ村 サッカーブログへ