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渡独から1年2か月「伸びている実感はある」
初戦白星に大きく貢献したアンリ。(C)Getty Images

[U-20W杯]日本 1-0 セネガル/5月21日/ラ・プラタ・スタジアム

 ドイツの地での、たしかな前進を感じさせる90分間だった。


 シュツットガルトのU-19チームに所属するDFチェイス・アンリが、セネガルを食い止め、無失点勝利の一助となった。

「最後後半、きつい状況で攻められていたので、やっぱり最後無失点に抑えられて良かった」

 価値ある1勝。喜び。達成感。安堵……。様々な感情が表情に見て取れた。

「相手はでかいし、足も長くてめっちゃパワーも凄かった」。想像以上の“個”の強さに驚きを隠さなかった選手は多く、ドイツで研鑽の日々を積むアンリもその一人。アフリカ王者を相手に、まさしくワールドカップならではのレベルを感じた。

 ひるまなかった。サイドから進入されるシーンも少なくなかったが、最後の局面でセンターバックがシュートを打たせない。1-0の前半終了間際には、決死のスライディングでピンチを防いだ。

 ロングボールがより増えた後半は中盤での回収が難しくなり、ビルドアップも苦戦。守備を固めた終盤は「ラインの上げ下げが曖昧になった」と反省しつつ、「強み」という空中戦でも地上戦でもはね返し続けた。さらに、アンリ“らしい”機を見たドリブルでの持ち上がりも見せつけた。

 自信を持って臨んだからこその、堂々たるプレーだ。「守備のところは全然大丈夫。最初は緊張感もワクワクもあったし、最後は自分のプレーに慣れてきた」。
 
 福島・尚志高から海を渡って1年と2か月。コンディション不良により試合に出られない期間も長かったが、常に「試合をイメージ」してトレーニングに励んだ。身体全体のバランスを考えながら鍛え、体重は3キロ増加。苦しい時期で「精神的な強さはついた。センターバックは強くないと」。

 4月は同国4部相当のリーグ3試合に出場し、「試合に出ることで、自分がめちゃめちゃ伸びている実感はある」と、表情には自信がみなぎった。

 日の丸を背負うのは1年ぶり。昨年、一つ上のパリ五輪チームで挑んだU-23アジアカップ以来だ。当時は緊張がプレーにそのまま表われ、ミスや不安定さが目立った。PKを献上した試合もある。

「自分はまだまだ」「ふがいない」と、後ろ向きの発言も少なくなかった。この日のプレーについて、冨樫剛一監督は「まだまだ足りてない部分はたくさんある」としたものの、少なくとも1年前のアンリとは、違う。

 緊張の立ち上がりを、主将のMF松木玖生(FC東京)が豪快なシュートで一蹴して決勝点。虎の子の1点を守り切った。

 アジア杯で不在だったアンリや中盤のMF福井太智(バイエルン)ら新たな海外組は、「日本のウィークを埋める役割」(冨樫監督)を見事に果たしたと言えるだろう。

「ビルドアップでもっと簡単に回せるところもあったし、初戦の難しさもあった。ワンタッチでボランチを使えるところもあった。そういうところは自分ももっと出さないといけない」

 課題を明確に整理する様子からも、“頭とプレーの連動”が上手くできていることがうかがえる。たくましさを増すCBが、「世界一」を目ざす日本の躍進を支えるのでは――。そんな大きな期待感を抱かせた。

取材・文●小口瑞乃(報知新聞社)



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