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祝、Jリーグ30周年! そこで週刊プレイボーイのサッカーご意見番であるセルジオ越後氏に、独断と偏見で「30年間のベストイレブン」を選んでもらった。

こういう企画が一番困るんだ(苦笑)。選びたい選手がたくさんいるから悩みに悩んだよ。

選考の基準は「インパクト」と「Jリーグに長く貢献」を優先した。例えば、ヒデ(中田英寿)や長友(佑都)のように海外でのプレー期間の方が長い選手は外した。あと、外国籍の選手は3人まで。そうしないと外国籍の選手だらけになるからね。

GKは川口能活(横浜FM、磐田ほか)。日本で初めてスターになったGKだ。GKとしては小柄なのに(180㎝)、高卒2年目で日本代表の松永(成立)からポジションを奪い、アトランタ五輪での活躍もあり、Jリーグの看板選手として長く活躍してくれた。ビッグセーブも多く、とにかく華のある選手だったね。

DFはまず右サイドバックのジョルジーニョ(鹿島)。現役ブラジル代表でバイエルン・ミュンヘンでもキャプテンを務めていた選手。そんな大物が日本に来るとは信じられなかったよ。

どんどん攻め上がり、自らも得点を奪い、日本サッカー界にサイドバックの攻撃力の重要性を教えてくれた。守備の駆け引きもうまくて、マークする相手には試合序盤に必ずガツンと一発かますんだ。そうすることで精神的に優位に立つ。

引退したジーコの後を受け継ぎ、強い鹿島をけん引。チームへの貢献度はレオナルドよりも高かったね。

センターバックのひとり目は田中マルクス闘莉王(浦和、名古屋ほか)。浦和と名古屋をリーグ優勝に導き、J1通算75得点。こんな決定力の高いセンターバックはいないでしょ(笑)。

ふたり目は中澤佑二(横浜FMほか)。V川崎(現・東京V)の練習生から這い上がってきた努力の男。

最初に彼を見たとき、高さと強さはあったけど足元はヘタだったんだよ。相当頑張ったんだろうね。まさにJリーグで育った最高のセンターバック。彼もセットプレーからの得点が多く、それも魅力だった。

左サイドバックは......なし。FWの候補を3人からふたりに絞れなかったので、DFをひとり減らして3バックにさせてもらう。さすがにちょっと無理があるけど仕方ないね(苦笑)。

もし左サイドバックを入れるなら中西永輔(市原、横浜FM)か三浦淳宏(横浜Fほか)かな。

ボランチはラモス瑠偉(V川崎ほか)と遠藤保仁(G大阪、磐田ほか)。

ラモスはV川崎黄金時代の中心。個性的な選手が多いスター軍団をまとめる親分的な存在だった。これまで日本国籍を取得したブラジル人選手はたくさんいるけど、プレーでも言葉でも、日本のサッカーに一番影響を与えてくれた選手だと思う。

遠藤は、たとえるなら〝教科書〟。正確なパスとポジショニングで高い戦術眼もある。独特の自分のリズムで、あれだけのびのびとプレーできるのは彼くらいでしょ。日本代表でも歴代最多の152試合出場。海外のクラブに移籍しても普通に活躍していただろう。

2列目は一番悩んだポジション。中村俊輔(横浜FMほか)、中村憲剛(川崎)も選びたかったけど、ドラガン・ストイコビッチ(名古屋)と小野伸二(浦和、札幌ほか)とする。

ピクシー(ストイコビッチ)のプレーは衝撃的だった。右足も左足もキックはとにかく正確。それでいて一瞬のひらめきや遊び心のあるプレーを見せる。日本人と同じような体格(175㎝)なのに、世界の大舞台であれだけ活躍できたのも納得だった。ブラジル人よりうまい。

伸二は、ずば抜けたテクニックを持っていて、ボールはピタッと足元に止めるし、バックスピンをかけたパスなど、プレーしている本人も観ている僕らも楽しい。

浦和、清水、札幌、琉球とどこに行っても彼はアイドル。海外のクラブでもそうだったね。練習中に彼がリフティングをすれば、周りの選手はみんな見入ってしまう。同じプロなのに(笑)。

FWは3トップ。まずはジーコ(鹿島)。現役を一度引退してからJリーグが開幕する前に来日し、復帰したわけだけど、それでもプレーの質がひとりだけ違った。開幕戦のハットトリックは全部すごいゴールだった。

そして、チームメイトにはプロ意識を植え付け、クラブにも今では当たり前のホペイロ(用具係)やフィジオセラピスト(理学療法士)を採用させるなど、プレー以外の部分でもプロとはどういうものかを教えてくれた。

プレーした期間は短かったけど、ジーコがいたからこそJリーグは世界から注目されたし、多くの大物ブラジル人選手が来日した。引退後も鹿島との関わりは続いているし、これだけJリーグに貢献した外国人はほかにいない。文句なしでしょ。

ふたり目は大久保嘉人(C大阪、川崎Fほか)。FWは数字がすべて。J1通算最多得点(191点)と3年連続得点王という記録には説得力があるし、今後も簡単には破られないだろう。

闘争心を前面に出すタイプで、J1通算最多イエローカード(104枚)、J1通算日本人最多レッドカード(12枚)という不名誉な記録も持っているけど、それほどの闘争心があったからこそ大記録を作れたんじゃないかな。 

そして最後はやっぱりカズ(三浦知良)(V川崎、横浜FCほか)。最高のタイミングでブラジルから日本に戻ってきて、Jリーグを機関車のように引っ張ってくれた。日本人なら誰でもカズダンスを知っている。

56歳になった今でも、ポルトガル2部のチームに所属して、日本にニュースを届けてくれる。そんな選手はいないし、これからも出てこないと思う。

Jリーグはこれから40年、50年と歴史を重ねていくけど、今回、僕が選んだ選手を超える新たなスターに出てきてほしいね。


構成/渡辺達也



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