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2022-23シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)で最も注目を集めるであろう一戦、準決勝のレアル・マドリー対マンチェスター・シティ。サンティアゴ・ベルナベウでのファーストレグは互いに譲らず、結果は1-1のドローだが、至る所で世界最高レベルの戦いが繰り広げられた。

両チームを率いるカルロ・アンチェロッティとジョゼップ・グアルディオラは、キャラクターこそまったく異なるが、試合に勝つための“コツ”を熟知しているという点では共通している。2人合わせてビッグイヤーを4回、リーグ優勝を15回、国内カップ戦を13回制した。これは驚異的な成績であることは間違いない。

では、21世紀で彼ら以上に成功を収めた監督は存在するのだろうか? 『GOAL』グローバルのリチャード・マーティン氏が、獲得したタイトル数を中心にトップ10を選出する。

10位:アントニオ・コンテ

招聘されれば必ず結果を残す指揮官だ。確かに最近ではトッテナムのように、退任時に焼け野原に変えてしまうこともある。だがプレミアリーグ、セリエAで合わせて5回のリーグ優勝を達成。ユヴェントス、インテル、チェルシーといった偉大なクラブで成功を手にしたと言える監督は多くない。

そんなコンテだが、唯一の欠点は欧州カップ戦での成績だろう。インテル時代の2020年のヨーロッパリーグでは決勝戦でセビージャに敗れ、翌シーズンもチャンピオンズリーグのグループステージで敗退。同大会では一度も準々決勝を突破したことがなく、チーム規模を考えれば失敗と言っていいかもしれない。

9位:ルイス・エンリケ

ペップと同じくバルセロナのトップチームでプレーし、引退後はユースチームを指揮し、その後トップチームを指揮し、考え得るすべてのトロフィーを獲得した。

リオネル・メッシやチャビ、アンドレス・イニエスタらが君臨していたチームにネイマールとルイス・スアレスを溶け込ませ、おそらく史上最高の3トップを形成。2015年1月にベンチに置いたことでメッシとの間に緊張が広がったが、自らが引くことで問題を解消。その5ヶ月後、ラ・リーガ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグの三冠を達成している。

その後はスペイン代表監督に就任し、EURO2020では準決勝まで導いている。

8位:ビセンテ・デル・ボスケ

口ひげを蓄えた知将がレアル・マドリーの指揮官を務めたのは3シーズン半だったが、2度のチャンピオンズリーグ制覇にラ・リーガ優勝を含む7つのトロフィーを掲げた。さらに8年間スペイン代表を指揮し、ワールドカップ初優勝とEURO制覇をもたらしている。

驚異的な成功をもたらす指揮官ではあるが、レアル・マドリーでの最後は彼にふさわしいリスペクトを得ることはできず。2003年に2度目のリーグ優勝を達成した後、サンティアゴ・ベルナベウの廊下で自身が解任されたことをニュースで知ることに。フロレンティーノ・ペレス会長は当時、デル・ボスケのやり方が「古典的」と語っているが、その後マドリーがチャンピオンズリーグを制覇するまで11年を要している。

7位:ディエゴ・シメオネ

スペインのクラブは監督に対して長い時間を与えることは少ないが、シメオネはアトレティコ・マドリーで11年以上指導し、降格の危機にひんしていたクラブからヨーロッパ最大のクラブの1にまで成長させた。シメオネ政権下のアトレティコは、11シーズン全てでリーグ3位以内に入り、2度の優勝を達成。チャンピオンズリーグでも決勝に2回進出し、ヨーロッパリーグは2回、コパ・デル・レイは1回制覇している。

だが、彼の貢献はタイトルだけではない。熱血漢はクラブを完全に変えてしまった。スタジアムを常に煽り続け、今では世界屈指の熱狂が溢れるスタジアムに。「オレ! オレ! オレ! チョロ・シメオネ」のチャントがこだましている。“チョリスモ”はもはや宗教の1つだろう。

6位:ジョゼ・モウリーニョ

常に人々に強烈な記憶を植え付け、誰もが羨むようなタイトルを次々に獲得してきた名将。そして彼はそれだけでなく、監督の地位を「ロックスター」に昇華させた。まるで監督界のミック・ジャガーであり、どこへ行っても彼は独特のステージに立っている。

2004年にポルトでチャンピオンズリーグを制し、同年夏にチェルシー指揮官に就任。自らを「スペシャル・ワン」と呼んだあの伝説の会見から、常にサッカー界に話題を振りまき続けてきた。現時点で、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、カンファレンス・リーグと欧州カップ戦3タイトルを手にする唯一の存在である。今でもどのクラブからでも声がかかり、現在はパリ・サンジェルマンが招へいに躍起になっている。

5位:ジネディーヌ・ジダン

「いつも幸運だっただけ」と彼の能力を疑問視する批評家もいるようだが、運だけで史上初のチャンピオンズリーグ三連覇や2度のラ・リーガ優勝を成し遂げることは不可能だ。さらに世界最高峰のスター軍団の尊敬を集め、彼らからの献身を勝ち取ることなんてもっと不可能である。

強烈な個性を持った選手たち、メディア各方面からの圧力、サンティアゴ・ベルナベウの厳しい要求、フロレンティーノ・ペレスのプレッシャーを考えると、レアル・マドリーほど難しいクラブはない。だがジダンの笑顔はすべてを超越し、すべてを最高の形でコントロールする。絶対的なカリスマであることは間違いない。

4位:ユルゲン・クロップ

「私はヘヴィメタルを愛している。いつだって爆音をかき鳴らしたい」。2013年、クロップはそう語っている。そして10年経った今でも耳をつんざくような爆音は鳴り響き、リヴァプールはそれを愛してやまない。

強烈な情熱を持った彼は最初にドルトムント、次にリヴァプールと長年苦しんでいた強豪に巨大なエネルギーをもたらした。ドルトムントの「ゲーゲンプレス」は欧州サッカー界に旋風を巻き起こし、ブンデスリーガ連覇とチャンピオンズリーグ決勝進出を達成。リヴァプールではプレミアリーグ初優勝を達成したほか、チャンピオンズリーグ決勝に3回進出し、1回ビッグイヤーを掲げている。

彼が見せるユーモアや情熱、カリスマは世界中のファンを魅了している。それはアンフィールドだけではない。どのチームのファンにせよ、タッチライン際の彼の振る舞いを見れば退屈することはないだろう。

3位:カルロ・アンチェロッティ

「Quiet Leadership(邦題=戦術としての監督)」は、彼のマネジメントを完璧に要約している。取り乱すことはめったになく、自身にリスペクトを要求することもなく、審判を責めることもほとんどない。そして手にしてきたタイトルが、彼自身を物語っている。欧州5大リーグを制した史上唯一の指揮官にして、欧州カップ戦で彼以上にタイトルを手にした者もいない。

マドリー第1次政権中、アンチェロッティは「(選手を)甘やかしている(soft hand)」と非難されたことがある。しかし、返しは完璧だった。「そうだ、手が柔らかいんだ。そしてこの柔らかい手で、チャンピオンズリーグを3回優勝したんだ」。優れた戦術家であることはもちろんだが、彼の人間としての評判はさらに抜群であり、指導を受けた選手たちは口を揃えて彼への崇拝を口にしている。

2位:サー・アレックス・ファーガソン

1993年、サー・アレックス・ファーガソンはマンチェスター・ユナイテッドに26年ぶりのリーグ優勝をもたらした。オールド・トラフォードで鉄拳を振り、常に未来を見据え、一日も休むことはないほど全力で働き続けた。ユナイテッドでの27年間でリーグ優勝13回、FAカップ優勝5回、チャンピオンズリーグ優勝2回。サッカー史上最もタイトルを手にしてきた指導者の1人である。ユナイテッドのイングランドリーグ内での立場を完全に変え、世界屈指のメガクラブへと成長させた手腕は、彼が退任してから10年経っても未だに感じられる。

だが、ようやく兆しが見えたとは言え、彼の退任後のユナイテッドの目も当てられない運営を考えると、再びリーグを制するまでに26年かかってしまうかもしれない。

1位:ジョゼップ・グアルディオラ

指導したチームすべてをさらなる高みへ引き上げた名将。12シーズンで10回リーグタイトルを獲得し、ラ・リーガとプレミアリーグでは史上最多勝点を更新。ブンデスリーガでは史上最速優勝を達成している。完璧主義者で現状に満足することは決してなく、常に革新を続け、新たな戦術を生み出し、世界中にその影響を広げていく。

「グアルディオラが史上最高の指揮官か?」という問いに対し、唯一反論できる方法が「バルセロナ以外でチャンピオンズリーグを優勝できていない」という事実だろう。しかし、リオネル・メッシの“偽9番”で2度ビッグイヤーを掲げた彼は、今季それ以来のビッグイヤーを手にするため、典型的なストライカーであるアーリング・ハーランドをチームの中心に据えた。この変化の結果がどう結実するのか、目が離せない。



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