スクリーンショット 2023-03-11 13.08.53

スポンサード リンク

シュツットガルトは原口の獲得がポジティブに作用

(左から)浅野、吉田、遠藤はチームの残留に導けるか。(C)Getty Images

 ブンデスリーガの残留争いがかつてないほど白熱している。

 14位ヘルタが勝点20、15位シュツットガルト、16位ホッフェンハイム、17位ボーフム、18位シャルケの4クラブが勝点19と、勝点1差で5クラブがせめぎ合う大混戦だ。


 後半戦猛反撃に出ているのが吉田麻也、上月壮一郎がプレーするシャルケだ。前半戦終了時の勝点はわずかに9。シーズン途中早々に解任されたフランク・クラマー監督の後を継いだトーマス・ライスがワールドカップの中断期を利用してチームに確かな方向性をもたらした。

 18節ケルン戦から21節ウニオン戦まで4試合連続無失点を記録するなど安定感が劇的にアップ。前半戦17試合で41失点していたことを考えると、まるで別のチームのようだ。21節で遠藤航、伊藤洋輝、原口元気を擁するシュツットガルトに2-1で勝利すると、22節では浅野拓磨所属のボーフムを2-1で撃破。一気に勝点差を詰めた。

 前半戦は最後尾で孤立することが多かった吉田だが、冬の移籍でセルティックからレンタルで補強されたCBモーリツ・イェンツという信頼できるパートナーを得られた恩恵は大きい。試合ごとに4バックの布陣が変わってばっかりではさすがに組織だった守備は難しい。チームとしての守備が機能すると、吉田の持つ戦術眼やポジショニングは非常に冴えわたり、堅守に欠かせない存在として活躍している。

 CFミヒャエル・フライの補強も当たった。まだノーゴールだが、前線からのプレス、ポストワーク、味方の攻め上がりを引き出す動きに長けており、マリウス・ビュルター、ロドリゴ・ツァラツァーのチャンスにつながっている。そしてセカンドチームから昇格した上月は、その得点センスで重要な役割を担うことになりそうだ。

 後半戦の戦績は2勝4分けで7位につけており、5クラブの中で一番残留への可能性が高いと言えるかもしれない。

 シュツットガルトは原口の獲得がポジティブに作用し、チームとしてのパフォーマンスは悪くない。毎試合クオリティの高いチャンスを作り出すこともできている。中盤では原口と遠藤が攻守に中心として活躍し、伊藤も左CB、SBで随時出場。21節ではケルンに3-0で快勝した。

 ただ、チームとしての好不調の波が大きいのが気がかりだ。続くシャルケ戦では内容的にもふがいない出来での敗戦している。

 就任以来勝星がなかなかついてこないため、ブルーノ・ラッバディア監督の賛否を問う声も増えており、元SDのスベン・ミスリンタートにいたっては、「ラッバディアが監督としてパーフェクトにチームに合うとは思っていない。ただ彼の持つクオリティがあれば、コンパクトな守備と守備的な戦い方という異なるアプローチで残留を達成することはできる」と意味深なコメント。ホームでの勝利数を増やし、アウェーで粘り強く勝点を拾っていきたい。昨シーズンは最終節に遠藤による劇的なゴールで残留を果たしたが、今季も最後まで厳しい戦いが続きそうだ。

浅野のボーフムは後半戦1勝5敗と心配

 日本人所属クラブでは、浅野のボーフムも心配だ。後半戦は1勝5敗で17位。16節のヘルタ、19節ではホッフェンハイムという残留を直接争う相手に勝っているのは大きいものの、状況は極めて厳しい。

 特に23試合でリーグ最多の56失点という守備面をどうにかできないことには残留の可能性は見えてこない。冬の移籍でフライブルクからCBケビン・シュロッタ―ベックを補強したものの、不用意なミスから失点につながるケースが多すぎる。シャルケ戦でもキャプテンのGKマヌエル・リーマンが失点に絡むミスをしてしまった。

 加えて4試合連続無得点と攻撃面も寂しい数字に苦しんでいる。惜しいチャンスは少なからずあるものの、ゴールが遠い。シャルケ戦でもCFフィリップ・ホフマンがゴール前フリーのシュートを決めることができず。浅野やクリストファー・アントウィ=アジェイというスピードを武器にする両翼を生かす戦い方も見られない。状況を打破するために個々が気合いを入れすぎるとそれが逆にミスへとつながり、バランスを崩すという悪循環。3月の代表中断期までの2試合はケルンでのアウェー戦とホームでのRBライプツィヒ戦。勝点1でも何とか手にし、代表中断期に自分たちの戦い方を整理し直したい。
 
 残るヘルタとホッフェンハイムも決して状態はよくない。とくに後者は14試合未勝利で7連敗中と深刻だ。最後の勝利は10月14日のシャルケ戦までさかのぼらなければならない。冬に元ドルトムントでデンマーク代表のMFトーマス・ディレイニーを獲得し、守備バランスと安定感アップを狙ったが、そのディレイニーがミスを連発している。

 ヘルタも揺れている。代表取締役だったフレディ・ボビッチが1月下旬に解任され、そのプロセスをめぐって裁判沙汰にまで発展。ピッチ外の騒動がチームにいい影響をもたらすはずもない。

 それぞれ問題を抱えている各クラブがどのように課題を認知して、改善へと動き、流れに乗ることができるだろうか。ギリギリの戦いで生き残るのはどこだ?

文●中野吉之伴



スポンサード リンク

ブログランキング にほんブログ村 サッカーブログへ