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 J開幕から3週間が経った。春の訪れを感じさせる中、まだ3試合ではあるが明暗が分かれ、手応え十分のチームがある一方、課題山積で暗雲立ち込めるチームもある。J1第3節が終了した時点で、今後の戦いに「期待できるチーム」と「危ないチーム」は、果たしてどこか。


 18チーム中、唯一の開幕3連勝を飾ったのが神戸だ。昨季は残留争いに巻き込まれる苦しいシーズンを過ごしたが、今季は第1節・福岡戦(○1-0)、第2節・札幌戦(○3-1)、第3節・G大阪戦(○4-0)の好スタートを切った。選手全員がコンディション良さを感じさせながらピッチ全体で強度の高いプレーを続け、3試合で計8得点1失点。最終ラインで山川哲史が安定したプレーぶりを見せ、中盤で齊藤未月が縦横無尽に動き回れば、サイドからは酒井高徳が効果的に攻撃参加。そして前線では大迫勇也と武藤嘉紀がクオリティの高いプレーを披露し、彼らがゴールネットを揺らす度にチームは安定感を増していった。今後、イニエスタとサンペールのスペイン人コンビが戦列復帰した際にどう戦うのかが課題になるが、ここまでの戦いで「今年は強い」を大いに感じさせている。

 6年ぶりのJ1舞台で堂々たる戦いぶりを披露しているのが、松橋力蔵監督率いる新潟だ。第1節のC大阪戦(△2-2)では、ボール支配率59%、1試合パス本数725本(C大阪はパス本数425本)とJ2で磨き上げてきた組織的な攻撃的パスサッカーを披露すると、続く第2節・広島戦(○2-1)で昨季3位のチームに快勝。第3節の札幌戦(△2-2)では再びドロー決着となったが、3試合で1勝2分は悪くない。GKを含めたビルドアップから千葉和彦が巧みなパス出しを見せれば、トップ下の伊藤涼太郎が高い技術を披露しながら攻撃を牽引。昨季の所属選手29人中26人が残留して連携面に不安はなく、数少ない新戦力のうちの1人である太田修介が早くも自慢の左足で2得点を挙げているのも頼もしい。今後、相手から研究されて対策を練られることは間違いないが、その不安を上回る期待感がある。

“旋風”の気配を漂わせているのが、1勝2分スタートの湘南だ。昨季12位のチームから主力数人に入れ替えがあったが、山口智監督の下で目指すスタイルに変化なし。第1節・鳥栖戦(○5-1)で鋭いカウンターから大量得点を奪って快勝。第2節・横浜FC戦(△2-2)、第3節・川崎戦(△1-1)では勝ち切れなかった悔しさと反省点はあるが、前線からの連動したプレッシングで試合のペースを握り、攻守に一体感のある戦いぶりは実に爽快だ。新加入の小野瀬康介が躍動し、馬力と献身性の高い町野修斗&大橋祐紀の2トップも機能している。運動量がベースになるために夏場をどう乗り切るかが毎年の課題になるが、交代枠をうまく使いながら「湘南スタイル」のアップデートが完了すれば、「5位以内」という目標も大袈裟ではなくなってくる。

 一方で、1分2敗で“早くも”最下位に沈んだのが横浜FCだ。第1節・名古屋戦(●0-1)でボール支配率68%を全く生かせず、第2節・湘南戦(△2-2)では小川航基の2得点で引き分けに持ち込んだが、第3節・鹿島戦(●1-3)ではシュート4本のみの完全な力負け。J2では個人能力の高さと選手層の厚さで勝点を積み上げたが、その2つの強みがJ1の中では平均以下という点が苦しく、エース・小川が封じられれば、八方塞がりとなる恐れがある。まだ順位を気にする段階ではないが、チームの半数以上となる21人が新加入組(レンタル復帰も含む)という編成において心配なのは、選手たちの自信喪失と四方田修平監督の求心力の低下。このまま未勝利の状態が長引くと、脆弱な組織の急造チームは、あっさりと瓦解へと向かうことになる。

 どこまで我慢できるかが鍵になるのは、G大阪も同じだ。新たにダニエル・ポヤトス監督を迎えてポゼッション重視の攻撃的サッカーへの回帰を目指しているが、第1節・柏戦(△2-2)、第2節・鳥栖戦(△1-1)と2戦連続ドロー発進から、第3節の神戸戦(●0-4)で大敗。補強の目玉であるイッサム・ジェバリ&ネタ・ラヴィが初めて揃って先発のピッチに立ったことで「いよいよ」という期待感があっただけにショッキングな敗戦となった。ビルドアップ時のボールの運び方など確実に進歩している部分はあるが、ウイングの人選で最適解を見つけられず、インサイドハーフの守備力不足、宇佐美貴史の起用法など、解決すべき課題は多い。同じく新監督を迎えた浦和が、開幕2試合を非常に不安の募る内容で連敗しながらも第3節で勝利して靄(もや)が晴れたように、G大阪も「勝利」が何よりの薬になるが、果たしてどうなるか。

 G大阪と浦和に関しては「新監督だから」が理由になるが、その言い訳を使えない開幕3戦未勝利チームが、横浜FC、C大阪、札幌、広島、柏の5チーム。その中で現状、横浜FCとともに「危ない」と感じるのが、柏だ。ここまで第1節・G大阪戦(△2-2)、第2節・FC東京戦(△1-1)、第3節・福岡戦(●0-1)の結果。細谷真大が力強さを増し、マテウス・サヴィオも健在だが、新加入組が多いことでの連携不足とGKのミスが目立って白星は挙げられず。これで昨季後半の10試合と合わせてリーグ戦13試合未勝利(7分6敗)、最後の白星が昨年8月6日の京都戦という危機的状況となっている。チームを率いるネルシーニョ監督は、今季が通算9年目(2009年~14年、20年~)で戦術的な上積みがほぼ見込めないという点も気がかり。起用する選手の人選、配置を考え直すのか、このまま連携向上に励むのか。とにもかくにも、このままズルズル行くと危ない。

 2024年シーズンからJ1~J3の各カテゴリーを20クラブで編成することが決まっており、今季のJ2降格は1チームのみという余裕はある。だが、「自分たちは大丈夫」の油断は命取り。まだ3試合だが、されど3試合。今後、桜前線が北上する中、好スタートを切ったチームはさらなる「歓喜」と「興奮」を、出遅れたチームはサポーターに「希望」と「安心」を、届けたい。(文・三和直樹)



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