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「もう1個上に行きたかった」ドイツの名門ボルシアMGで主軸に成長した板倉。(C)Getty Images日本代表DF板倉滉が、毎試合のように素晴らしいパフォーマンスを披露している。森保ジャパンの一員として、カタール・ワールドカップで非常に安定感のある守備と攻撃の起点となるパスでチームの決勝トーナメント進出に大きな貢献を果たし、1月に再開されたブンデスリーガではセンターバックとして連続スタメン。レギュラーの一人ではなく、すでに主軸選手として、チームの構成に欠かせない存在となっている22節の王者バイエルン戦でも3-2の勝利に大貢献。早い時間帯に相手のフランス代表CBダヨ・ウパメカノが一発レッドで退場処分となったことで、殆どの時間を数的有利で進めることができたというアドバンテージがあったとはいえ、相手はワールドクラスのプレーヤーをそろえるバイエルンだ。一瞬のスキがそのまま失点のピンチとなる。実際、押し込まれる時間帯もあった。だが、最後のところで板倉を中心とした守備陣が相手の攻撃を跳ね返し、切れ味鋭いカウンターからゴールを重ねて勝ち切ることができた。ここからどのような成長を遂げようとしているのだろう。期待は高まるばかりだ。そんな板倉に、カタールW杯は自身にとってどんな経験になったのかを尋ねてみた。取材に訪れたのは中断明けのレバークーゼン戦。試合後のミックスゾーンで、W杯を振り返り、自身の胸中を言葉にしてくれた。「結果としては本当に悔しいし、それは今でも思っている。やっぱりもう1個上に行きたかった、もう1回戦いたかったなっていう思いは今でもあります。ただ、あそこで勝つために、堂々と日本がプレーするんだっていうところを考えたら、(ブンデスリーガという)この上ない舞台で普段からプレーできているなと感じています。ここでもっと、存在感を出してやっていけるようにという思いがあります」大舞台でつかんだ手ごたえ。ドイツ代表やスペイン代表相手に、納得のいくパフォーマンスを披露できた。だが、あそこがピークではないし、そのつもりもない。改めて感じた課題とともに、視線は次へと向いている。「チームとしての手応えはもちろんドイツを倒して、スペインも倒せたっていうところはあります。ただ個人としてはもっともっとできるなっていうふうに自分でも思う。もっともっとできるし、もっともっと成長しなきゃいけないって。ああいう大舞台、一発勝負のところでは、どれだけ普段やってることが出せるかっていうところもすごく大事になってくる。それをするには普段からの積み重ねだと思います。もっとスケールの大きい選手になりたいなというのは感じましたね」スケールの大きな選手を目指して。1人でも相手の攻撃を跳ね返し、難しい状況でもチームを落ち着け、攻撃の起点ともなっていく。板倉のさらなる成長と発展が、日本代表を次のステージへ引き上げるための間違いない力となるはずだ。「スタンドから最後の終わりを見てたんで…」W杯への思いはさらに高まっている。日本代表のカタールでのラストマッチ、クロアチアとの決勝トーナメント1回戦で、板倉は累積警告のために出場できなかった。勝てると信じていた。スタンドからチームを信じて応援したが、もう一度ピッチに立つ機会は訪れなかった。「スタンドから最後の終わりを見てたんで、すごく悔しかった。もう絶対勝つと思ったんで、なかなか結果を受け入れられなかったりしました。でも外から見ると本当にチームとしてすごく戦っていたと思う。次のワールドカップは、3年半後ですけど、そこに常にピッチに立って中心でいられるようにならないといけないかなと思います」ワールドカップ前のシャルケ時代、2部優勝での1部昇格を決めたニュルンベルク戦後にこんなことを語っていたことを思い出す。「周りの世界を見ても若い選手がどんどん活躍している世界。これからの日本代表のことを考えたら、日本のサッカーのことを考えたら、僕たちがもっともっと試合に出て、僕たち世代がもっともっと上を驚かせるような存在になって、試合に出ていかないと行けないなと強く感じています」その言葉通り、板倉はブンデスリーガのピッチに立ち続け、世間を驚かせるような存在になりつつある。そしてその成長意欲は、とどまることを知らない。取材・文●中野吉之伴翻訳●下村正幸
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