スクリーンショット 2023-02-26 17.15.10

スポンサード リンク






























【専門家の目|玉田圭司】J2降格は1チームのみ、京都、札幌、福岡、横浜FC の4チームの争いを予想

玉田氏がJ1残留争いに注目(写真はイメージです)【写真:Getty Images】

 J1リーグは来シーズン以降、クラブ数が20クラブに増加。そのため、2023年シーズンの降格枠は最下位の1チームのみとなる。「FOOTBALL ZONE」では30周年を迎えるJリーグを特集し、熱戦が予想されるJ1残留争いに注目。現役時代、柏レイソルや名古屋グランパス、セレッソ大阪などで活躍した元日本代表FW玉田圭司氏に展望を聞いた。(取材・構成=河合 拓)


   ◇   ◇   ◇

 シーズン終盤まで残留争いに巻き込まれるクラブが複数出てくるのか。2チームが競い合うような形になるのか、それとも勝ち点を伸ばせないチームが1つだけ出てくるのか。

 J1のクラブについて、上位と下位の差があまりないと考える玉田氏は、「嫌われてしまうかもしれませんが」と苦笑いしつつ、「パッと思い浮かんだのは4チームあります」と、残留争いを繰り広げるチームが複数になると予想した。そして、京都サンガF.C.、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡、横浜FCという4チームの名前を挙げた。

 今シーズン、J2からJ1に昇格したのは2チーム。昨季J2で2位の横浜FCが残留争いをするチームの予想に入った一方、J2を制したアルビレックス新潟については、もう少し上を目指す戦いをすると予想した。

「新潟は、やっているサッカーがすごく好きですね。開幕戦でも、すごくいいパスワークを見せていました。得点力もあって、チャンスも作れるチームなので、点は取れるとは思います。あとは、失点数をどうやって減らすのかっていうチームだと思うんです。失点数さえある程度安定してくれば、下位争いはしないんじゃないかなと思っています」と分析した。

 過去には柏レイソルやガンバ大阪が、J2で力をつけて、J1で即優勝という結果を出したこともあった。優勝は難しいかもしれないが、C大阪との開幕戦(2-2)を経て、J2での成果に手応えを感じられたのではないか、と玉田氏は言う。

「新潟の選手たちは、開幕戦でJ2での成長を感じられたんじゃないでしょうか。『いけるぞ』という自信を持てたというか、『自分たちの強みを出せるんじゃないか』というのが、見えたと思うんです。それと同時に、自分たちの課題も明確になったんじゃないかと思いますね。やっぱり攻撃的なチームで、ボールを動かせるので、ボールを取られたあとのリスクマネジメントだったり、どうやって守り切るかというところだったりは、J2のクラブとJ1のクラブで違うと感じたと思うんです。その課題を修正していければ、上位に食い込む力はなくとも、中位とか、中位の上までは行ける力があると思います」

京都は戦力補強の不足、札幌は不安定さ、横浜FCは不透明さを懸念

 京都、札幌、福岡、横浜FCの4チームが苦戦すると見た理由はどこにあるのか。昨季、プレーオフの末にJ1に残留した京都だが、2020年にJ2得点王となる21ゴールを挙げてチームの昇格に貢献し、昨季も9ゴールを挙げたFWピーター・ウタカ(→ヴァンフォーレ甲府)がクラブを離れている。玉田氏は「やっぱり戦力補強が十分ではなかったかなと思います。そこを含めて去年からの積み上げという点でも、ちょっと不安定かなと感じます」と分析した。

 また昨季10位だった札幌については、「上に行ける力もあるけれど、下に行ってしまう可能性もあると思います。点を取れる時もあるけれど、取れない時もある。昨年の戦いぶりを見ても、守備でも、攻撃でも安定感があまりないと感じていたんです。DF高嶺智樹選手(→柏レイソルへ移籍)も移籍しましたし、上に行くかもしれないけど、下に行くかもしれないというところで、僕は下に行くのではないかと予想しました」と、理由を説明した。

 J2から2年ぶりに昇格してきた横浜FCは、昨季の戦力をベースにしようとしている新潟とは対照的に、新戦力として19名の選手を補強した。FW小川航基のように軸となる選手は残っている一方で、どういうチームができ上がるのか不透明な部分も大きい。玉田氏も「これだけ変わると、読めないですよね」と言い、J1残留へのポイントを語った。

「やっぱり決めきれる選手の存在ですね。昨シーズンは小川選手がJ2得点王となる26ゴールを上げましたが、彼を筆頭にゴールを期待される選手が、どれだけ点を取れるかによるでしょう。小川選手も昨年はJ2で結果を残しましたが、まだJ1では結果を残せていません。今年、昨年のように数字が残せれば、グッと自信もついて、ものすごくいい選手になると思います。そういう意味でも、チームにとっても、彼にとっても、すごく大事なシーズンではないでしょうか」

最も苦戦を予想する福岡、課題は「負けないサッカーをすること」
 そして福岡について、玉田氏はこう見解を示す。

「FWフアンマ・デルガド(→V・ファーレン長崎)、FWジョン・マリ(→チャイクル・リゼスポル/トルコ)、MFジョルディ・クルークス(→C大阪)と、外国籍選手がいなくなった影響が、すごく大きいんじゃないかと思います。アビスパは堅守速攻のスタイルで、守はある程度、できると思うんです。そこからの速攻で武器となる選手たちがいなくなってしまいました。そこがどうかなと思いますし、そのなかで崩れてしまう、崩れていってしまう可能性はある感じがしますね」

 FWの補強はJ2の東京ヴェルディから加入したFW佐藤凌我と福岡大の新卒FW鶴野怜樹の2人。ほかのポジションではMF紺野和也(←FC東京)、さらにスコットランド1部セルティックから元日本代表MF井手口陽介も加入したが、「彼(井手口)に関しては、能力があるというのは、誰もが分かります。ただ、試合を決める選手ではないので戦力的にはアップしましたが、アビスパの課題を克服できる選手ではないです」と指摘した。

 そんな福岡が残留するための課題は何か。「負けないサッカーをするっていうのも1つかもしれない」と玉田氏は言う。

 具体的には、「どの試合でも、徹底して失点ゼロを目指す。もちろん、全部引き分けるっていうのは難しいですが、仮にそれができれば勝ち点30以上は取れます。そのなかで何個か勝っていけば、勝ち点40に乗せることができます」と堅実な勝ち点の積み重ねの重要性を説いた。

「今年は降格が1チームなので、もっと少なくても残留できるはずです。負けないサッカーをしながら、どこかで勝ち点3を取る。そうすれば、ちょっとずつ勝ち点を積み重ねていけますし、シーズン終盤に勝ち点を計算した戦いもできるでしょう。とはいえ、そこまで計算できるものでもないので、自分たちの戦力と相談しながら、1試合1試合やっていくことが一番大事でしょうね」

 加えて今季は、シーズン途中の補強も注目だと玉田氏は続ける。

「上手くいっていないチームは、シーズン途中で外国籍の選手を獲得してどうにかするっていうことがありますが、今年はそういうチームも出てくるんじゃないでしょうか。シーズン中のフロントの修正力も、非常に重要になると思います。そこは、またシーズンを戦っていくなかで注目したいところですね」

 玉田氏が危惧するように、この4チームが残留争いに巻き込まれるのか。それとも別のチームが一大事に直面するのか。最下位を逃れるためのサバイバル争いは、熾烈な戦いになりそうだ。

[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役引退を引退した。

河合 拓 / Taku Kawai 



















































スポンサード リンク

ブログランキング にほんブログ村 サッカーブログへ