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ラ・リーガ1部レアル・ソシエダの日本代表MF久保建英(21)の活躍をスペイン紙が絶賛した。13日(日本時間14日)のエスパニョール戦に先発した久保は前半23分、先制点となる豪快なボレーを決め、後半18分には相手のオウンゴールを誘発するなど、3-2の勝利に貢献して2試合連続のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)を受賞した。スペインの各メディアは絶好調の久保を、バルセロナ、レアル・マドリードの2強を追い、現在3位のレアル・ソシエダの中心選手として称えた。


 1本の動画が、心技体が充実している久保の“いま”を物語っていた。
 3点のリードを最後は1点差にまで詰め寄られながら、何とか逃げ切った直後だった。敵地RCDEスタジアムのピッチ上で始まった久保への即席のインタビューが、レアル・ソシエダのクラブ公式日本語版ツイッター(@RealSociedad_JP)で公開された。
 時間にしてわずか20秒。インタビュアーが尋ねたのは前半23分の豪快な先制ボレーではなく、久保のクロスが誘発した後半18分の相手のオウンゴールだった。
 久保はちょっぴり苦笑いしながら、流暢なスペイン語でこう切り出した。
「主審と話したよ。可哀想だから僕のゴールにしてくれないかなって」
 レアル・ソシエダの3点目は右サイドで仕掛けた久保が中へ切れ込み、すかさず左足で上げたクロスから生まれた。鋭い弧を描きながら相手ゴールへ迫っていくボールを弾き返そうと、エスパニョールのDFレアンドロ・カブレラ(31)が必死に飛びついた。
 しかし、ウルグアイ出身のセンターバックのクリアは浅く、頭を介してニアポスト方向へ角度を変えた直後に無情にも自軍のゴールへ吸い込まれてしまった。しかもこのとき、ゴール正面とファーサイドにはレアル・ソシエダの選手2人が走り込んできていた。
 カブレラが触らなければ、正真正銘のゴールが生まれていたかもしれない。こうした状況を把握していたからこそ、久保は懸命にプレーしたカブレラに「可哀想だから」と言及しながら、自分のゴールにならないかなととっさにユーモアを織り交ぜた。
 もちろん、オウンゴールの判定が覆るはずがない。インタビュアーの反応を見た久保は、サッカーでいう切り返しを見せるように「だけど」と言葉を紡いだ。
「何よりも大事なのはチームの勝利であり、好守におけるダイナミズムであり、物事がこのまま続くかどうかを見極めることだと思っています」
 最後は左手でサムアップし、さらに右目でウインクする。スペイン語を自在に操りながら見せる、ウイットに富んだ立ち居振る舞い。クラブ公式日本語版ツイッターは「タケの得点だと思う人はリツイート」とつぶやき、久保のジョークに応えている。
エスパニョール戦を報じる記事のなかでこの動画を引用した、バルセロナに拠点を置く日刊のスポーツ紙『Mundo Deportivo』は久保をこう表現した。
「現時点で、地球上で最も幸せな男の一人に見える」
 敵地で13日(日本時間14日未明)にキックオフされた、ラ・リーガ第1部第21節を動かしたのも久保の左足だった。両チームともに無得点で迎えた前半23分。左サイドから上げられたクロスが相手のクリアにあい、右サイドへ大きく流れた直後だった。
 まるで落下地点がわかっていたかのように、久保がペナルティーエリアの右角近くで軽やかにトラップ。さらにワンバウンドさせたボールに対して、間髪入れずにシュート体勢に入った。ピッチすれすれに飛んでいった低く、強烈な弾道が狭いニアサイドを撃ち抜き、エスパニョールの守護神アルバロ・フェルナンデス(24)の右手を弾いてゴールネットを揺らした。
 トラップからシュートまでを利き足の左足で完結させた、今シーズン4ゴール目を含めた久保のパフォーマンスを、スポーツ紙の『MARCA』はこう表現した。
「ティキタケの勝利」
 スペインサッカー界には「ティキタカ」という言葉がある。ワンタッチ、ツータッチでショートパスをテンポよく動かす、スペイン代表やバルセロナの黄金時代が対象になった「ティキタカ」を、久保の愛称である「タケ」を用いて作り替えた。いま現在の久保に対する最大の賛辞となる造語をタイトル内で用いた『MARCA』の記事は、次のように綴られている。
「まるでシルクのようなレアル・ソシエダのフットボールがRCEDスタジアムを席巻した。マルティン・スビメンディが攻守を華麗に指揮し、久保建英が攻撃で違いを生み出すイマノル・アルグアシル監督のチームは、彼らよりも上の順位にバルセロナとレアル・マドリードしかいない理由を明確に示した。特に久保は試合を通して、誰よりも傑出していた」
 文句なしのMOMに選出された久保に、前出の『Mundo Deportivo』や『MARCA』は採点欄でともにチーム内で最高点をつけた。スポーツ紙の『AS』やバスク地方を本拠地とするレアル・ソシエダの地元紙『noticias de Gipuzkoa』も、久保への賛歌を掲載している。
 たとえば『AS』は、久保の存在を「圧倒的だった」と記した。
「彼はエスパニョールの守備陣にとって常に危険であり、ラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)に途方もない攻撃の流れを生み出した。ハイレベルな日本人選手が作り出すラ・レアルの攻撃は、現実的には予測不可能な状態にあると言っていい」
 さらに『noticias de Gipuzkoa』は、エスパニョール戦を含めて、リーグ戦で3試合続けて先発フル出場中の久保のスタミナ面に「もはや止められない」と言及した。
「この試合では右ウイングとしてプレーしていたにもかかわらず、彼はどこにでも現われる。相手にプレッシャーをかけ、身体をぶつけてボールを奪い、機動力だけでなくすさまじいゴールを奪う爆発力も見せつけ、3点目を呼び込むクロスまで送った」
 5日のバリャドリードとの第20節では、チームが0-1で敗れながらMOMに選出された。前所属となるレアル・マドリードのホーム、サンティアゴ・ベルナベウに乗り込んだ第19節でも、スコアレスドローに持ち込んだなかであわやのシュートを放っている。
 W杯カタール大会による中断明けにおける初ゴールをマークした、1月14日のアスレティック・ビルバオとの伝統の「バスク・ダービー」でもMOMを獲得。同25日のバルセロナとのスペイン国王杯準々決勝ではゴールバーを直撃するシュートを放つなど、0-1の惜敗を喫したなかで、多感な十代前半に下部組織に所属した“古巣”に脅威を与えた。
 2023年を迎えてからは、まさに覚醒した感があるパフォーマンスを立て続けに披露。ラ・リーガ全体のなかで注目される存在になっても、久保は「満足していません」と試合後に応じたヒーローインタビューのなかで、もちろんスペイン語で語っている。
「もっとゴールを決めたい。自分にはもっと求められているので」
 FC東京からレアル・マドリードへ完全移籍し、その上で武者修行としてマジョルカへ期限付き移籍した2019-20シーズンの4ゴールに並び、ラ・リーガ1部での通算ゴール数も「10」に伸ばした久保にとって、エスパニョール戦での八面六臂の活躍も通過点に過ぎない。
 レアル・マドリードからラ・レアルへ完全移籍した決断が、正しかったと証明している今シーズン。本拠地レアレ・アレーナにセルタを迎える、18日(日本時間同深夜)のセルタとの次節を含めてリーグ戦は残り17試合。3年前の自分を大きく上回っていくほどに、久保にとって未知の世界となる、来シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ出場も近づいてくる。 



















































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