スクリーンショット 2023-02-11 12.34.30

スポンサード リンク






























【識者コラム】森保監督は「研究されたなかでできると積み上げてほしい」と三笘に言及

日本代表の森保一監督【写真:ロイター】

 日本代表の森保一監督は2月8日、ヨーロッパからオンライン取材に応じて視察の様子などを明かした。監督は渡欧前に今回の視察の目的をこう語っていた。


「ワールドカップ(W杯)の振り返りと今後の我々をやるべきことの整理ということで。そうですね。1つ大きなテーマとすれば、W杯に出た選手を中心に会っていきたいと思いますので、W杯の振り返りということで成果と課題を、我々スタッフが考えているということではなくて、選手目線のW杯の振り返りを聞ければ」

 これはこれで大切な話ではあるが、今回のコラムの主旨とはちょっと違う。今回問題にしたいのは、こういう一連の発言をどう切り取るかという話だ。

 たとえば森保監督の上記の発言は、文字数をできる限り少なくして整理して出したい原稿だと、以下のように要約されるだろう。

「W杯に出た選手を中心に、大会の成果と課題を選手目線で振り返ってもらおうと思います」

 森保監督は丁寧に事細かく話そうとしているので、どうしても発言が長くなる。字数制限があると省略せざるを得ない。そして、その省略が森保監督への批判を招いている部分があるのだ。

 2月8日の監督の発言で、切り取り方によっては「炎上」を狙える話題があった。それは三笘薫に関する部分だ。

 現在、プレミアリーグでプレーする三笘薫は絶好調。先発フル出場し、多くのチャンスを作り出すとともに素晴らしいゴールを挙げ続けている。

 その三笘を森保監督はカタールW杯の4戦とも先発させず、交代で出場させた。果たして「温存」采配はどうだったのか。森保監督が選手起用を間違ったのではないかという議論も起きている。

 そんななか、「もし3日後に試合があったら先発か」と聞かれた森保監督はこう答えた。

「もちろん、そうですね。ただ、シーズンをとおして、これを1シーズンだけじゃなく、2シーズン、相手に研究されたなかでできるということをさらに積み上げてほしいと思います」

「質問の答えで言うと、W杯では途中出場で、五輪の時もそういう起用が多かったですけど、先発でプレーできるだけの力はあると思って見ています」

「薫のような選手が、同じポジションで2人、3人、もっともっと出てきて来てほしいと思います。先発で出ても、ジョーカーとして出ても相手が嫌がる、チームの勝利につながるプレーのできるような選手にもっともっと出てきてほしい」

 この答えに対しても「森保監督が三笘に上から目線で語っていた」などという意見も出てきそうだが、実は前後にこういうやり取りがあったのだ。

質問者はW杯では状態を気にしながら起用しなければいけなかったのではないか、と前提で会話
 質問者は、三笘がW杯前に発熱したり足首を怪我していたことを指摘していた。つまり、W杯ではコンディションに気を遣いながら起用しなければいけなかったのではないか、という点を前提として話していたのだ。

 また、森保監督は質問への答えが終わったあとに、「薫の状態のことはよくご存じで。起用の仕方とか。そのうえでいろんなことを言っていただくのはすごくいいと思います」と付け加えている。

 質問の前提をわざわざ取り上げたということは、おそらく質問者の考えが正しいということを匂わせたのだろう。それに、もしかすると森保監督は三笘に関する采配への批判を知っているのではないかという答え方だった。

 実際のところ「切り取り」方によっては、このような誤解が生じても仕方がない。もちろん報道するほうにも難しさがあって、質問者の言葉よりも監督の言葉を多く伝えようとすると、前提条件として話していた部分は省略することもあるだろうし、まして回答後に付け加えたセリフを入れるのは無理だろう。

 これまでの4年間も同じような切り取りでさまざまな意図が伝わっていないことが起きた。たとえば「戦術は三笘」のように誤解を持ったまま使われている言葉もある。今後は記事が長くなっても仕方がないと考え、もう少し森保監督の意図が伝わるようにしたい、というのは自戒を込めて書き残しておこう。

 ところで、この取材では森保監督が質問と質問の間に「すみません、いつも長々と、簡潔に答えられない森保がいますので、どうぞお許しください。コミュニケーションということで。文字にする時の話し方をレクチャーしてください、みなさん」と語る場面もあった。

 これまでの取材の中で誰も森保監督に「話が長い」と言った報道陣はいないはずだ。そう思って振り返ると、「森保監督の濃密な4年半 何を成し遂げ、何ができなかったのか…一番の問題点だったのは?」という過去の記事で、「(改善してほしいのは)森保監督のトーク力」「その長さ故に伝わりにくくなっていることがある」と指摘していた。

 もしかしたら、森保監督から「チクリ」と入れられたのかもしれない。新代表発足前からすでに監督と報道陣の戦いは始まっているということなのだろうか……。

[著者プロフィール]
森雅史(もり・まさふみ)/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

森雅史 / Masafumi Mori 


















































スポンサード リンク

ブログランキング にほんブログ村 サッカーブログへ