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 自分の立ち位置を少し変わった表現で説明した。「まあ、お店のマスコットキャラクターみたいな感じでしょうか」。長崎・国見高出身で、現役時代にアビスパ福岡やサガン鳥栖でDFとして活躍した三好拓児さん(44)は、福岡県内で展開する焼き肉店「龍園」の営業本部長を務める。

 高校時代は世代別の日本代表の常連で、1997年にアビスパ福岡に入団した。激しいチャージと左足のキックを武器にしたセンターバックとして活躍。99年から3シーズンでJ1リーグ戦18試合に出場した。

 2002年からは経営難に苦しんだ鳥栖に移籍。「後輩の選手と牛丼を食べに行ったら白飯しか頼まない。『どうした?』と聞いたら『金欠で…』って。そんな時代でした」と笑い飛ばす。

 08年には日本フットボールリーグ(JFL)のFC琉球に在籍した。チームの総監督は、02年のワールドカップ(W杯)日韓大会で日本代表監督を務めたフィリップ・トルシエ氏だった。荒い気性で知られる総監督の方針は結果に結び付かず、代名詞だった守備戦術の「フラット3」も機能しなかった。そこで練習中に事件が起きた。

 「試合前日の紅白戦でトルシエと言い合いになって、声を荒らげて顔を近づけてきたので、思わず頭突きしました。『出て行け』と言われ、そのまま出て行って…。トルシエのおかげでスポンサーが増えたりもしたけど、勝てない時期が続いた。自分はキャプテンでもあったし、勝ちたくて必死だったから」。その“一撃”をきっかけに出場機会を減らし、08年に現役引退。武闘派DFらしく、ピッチを去った。

 引退後は地元の北九州市に戻り、サラリーマンも経験した。6年前から勤務する「龍園」では交流サイト(SNS)で店の新メニューをPRするほか、集客増への取り組みを行う。サッカーとの関わりも続き、高校や大学、女子チームで指導者を務めた。現在は九州各地のデイサービスの事業にも携わり、サッカーを教えるだけでなく、障害を抱える子どもがスポーツと触れ合う場を生み出している。

 「龍園」の壺山貴生社長は「サッカー選手としてのキャリアを地域に還元することは、彼にしかできない役目。こちらの仕事と両立しながら、サッカーを中心とした活動の幅を広げてほしい」と理解を示す。

 三好さんはピッチでの激しさの半面、在籍したチームで主将や選手会長などを任されてきた。「支えてくれる皆さんのおかげで、サッカーに関わることができた。小嶺先生(元国見高サッカー部監督の小嶺忠敏さん)の教えも大きい。元Jリーガーという肩書は関係ない。でも、Jリーガーってちゃんとしてるなと思ってもらいたいじゃないですか」。人情味あふれる熱血漢は柔和な表情で未来を語った。(松田達也)










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