スクリーンショット 2022-11-12 23.17.05

スポンサード リンク




 11月20日にカタールで開幕するサッカーワールドカップ(W杯)に7大会連続出場となる日本代表が挑む。強豪国を相手に厳しい戦いが予想されるが、26人の選手たちはどう戦うのか。長く取材を続けるジャーナリストに躍進の秘訣を聞いた。


*  *  *

 日本代表はグループリーグ(GL)で、ドイツ(23日)、コスタリカ(27日)、スペイン(12月1日)と対戦する。4月にカタール・ドーハで行われた組み合わせ抽選会で、日本は欧州の強豪2国と同組に決まった。果たして、GLを突破して、初の8強入りを果たせるのか。

 代表メンバー26人が1日に発表された。森保一監督が読み上げたメンバーから、大迫勇也や原口元気といった、これまで代表に大きく貢献してきた選手が外れるといった“波乱”もあった。メンバー選出をどう評価するか。2006年のW杯ドイツ大会から現地取材を続けるスポーツライターの栗原正夫さんは「選出に驚きはなかった」と話す。

「森保監督は継続性を重視する監督。大迫選手は今年2月を最後に代表に呼ばれていませんでしたし、驚きの選出と捉えられた柴崎(岳)選手については、9月のドイツ遠征メンバーに選ばれていたことを考えても順当といえる」

 大迫は敵陣で体を張ってボールを保持し、味方が前線に上がる時間を稼いでくれる選手だ。一方で、選出されたフォワード(FW)陣の顔ぶれを見ると、前田大然、浅野拓磨はスピードに特徴があり、カウンター攻撃に適した選手が並ぶ。大迫の落選はカウンター一辺倒で戦うというメッセージなのか。「大迫の落選に疑問を覚える」と漏らすのは、元週刊サッカーダイジェスト編集長でサッカージャーナリストの六川亨さんだ。

「上田(綺世)選手はどちらかと言えば大迫選手と同タイプとはいえ、代表での経験は浅く、大舞台でどこまでできるかは未知数。森保監督は自ら戦い方の幅を狭めたも同じで、前線でボールを収める選択肢を放棄したのかと。劣勢が予想される中でカウンターに賭けるということなのだろうが、戦い方がワンパターンでは相手チームも対処がたやすい」

 こうした選手選考になったのは、新たに代表の主軸に上り詰めた選手の存在があると両氏は指摘する。

「鎌田(大地)選手中心の戦い方をするということでしょう。ボールを保持できてパスも出せる鎌田選手は、敵陣の裏に向かって走る選手と相性がいい」(栗原さん)

 鎌田は今季絶好調で、所属する独フランクフルトでは主力を務める。欧州最強チームを決めるチャンピオンズリーグでもゴールを重ね、代表でもエースの座を手中に収めつつある。


 森保監督はこれまで、FWの軸を誰にするかさまざまに探ってきたが、どれも決め手に欠けた。FWの後ろに陣取るいわゆる2列目のMFの選手は、鎌田含め、伊東純也、久保建英、三笘薫らが好調で、代表での結果も出ている。

「2列目に計算が立つだけに、前線の選手がどれだけ仕事ができるか。得点はもちろん、前線からのハイプレスを試合を通して継続できるか。この成否がGL突破の鍵になると思います」(六川さん)

 森保監督の手腕にも不安は残る。まずは短期決戦への適性だ。これまでの監督実績で言えば、広島時代にリーグ戦は制しているが、カップ戦には勝ったことがない。

「つまり、長期のマネジメントに長けている監督なんです。これは選手を信じて使い続けるという選手選考にも表れている。W杯という短期決戦においては、だめだと思ったらすぱっと選手を切り替える非情さも必要になるが、そうした姿勢はこれまでなかった」(栗原さん)

 今大会は試合中の交代枠が3人から5人へと変更されているだけに監督采配にも注目したい。

 GLの星勘定は「1分け2敗が現実的」「よくて1勝2敗」という評価が多いようだが、GL突破に向けどう戦うか。栗原さんは「国名だけを見て恐れる必要はない」と力説する。

「ドイツは14年のブラジル大会は優勝しましたが、前回のロシア大会(18年)はGL敗退。スペインは南アフリカ大会(10年)、08年と12年の欧州選手権を制した黄金時代の選手たちがほぼ代表に残っていない。どちらも世代交代の過渡期にあり、付け入る隙はあります」

 栗原、六川両氏ともに「まずは初戦のドイツ戦勝利。最低でも引き分け」と話す。GL突破には勝ち点5、もしくは4が欲しいだけに初戦は重要だ。

「過去に日本代表がGLを突破した日韓大会(02年)、南アフリカ大会、ロシア大会の初戦はすべて引き分け以上。初戦でつまずいた大会はすべてGL敗退しています」(六川さん)

 ポイントは得点が取れるかどうか。鎌田に加え、キーマンとして挙げたいのは南野拓実だ。W杯2次予選での7試合連続ゴールなど、代表のエースとして期待されたが、最終予選は低調に終わり、さらに今夏移籍した仏モナコでも苦戦中。南野の調子が戻ってくれば、その決定力に期待できる。

「久保選手の台頭などで代表に居場所がなくなりつつあり、落選もあると見ていたが残った。どのポジションで使うのかという疑問はあるが、南アフリカ大会で中盤の選手の本田圭佑をFWとして起用した『ゼロトップ』の採用もありかもしれない」(同)

 振り返れば、日本代表は前評判が低いほど、本大会で結果を残してきた。

「選手からは、だからこそ一致団結するという声を聞く。気合が入るし、やってやろうという気持ちになると」(栗原さん)

 期待値は低いかもしれない。それだけにやってくれるのでは、と夢を抱きながら声援を送りたい。(本誌・秦正理)

※週刊朝日  2022年11月18日号










スポンサード リンク

ブログランキング にほんブログ村 サッカーブログへ