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 ワールドカップ(W杯)カタール大会1次リーグで「死の組」と呼ばれるE組にあって、日本(FIFAランキング24位)が23日の初戦で対戦するのがドイツ(同11位)だ。

 W杯4度の優勝を誇り、世界的な強豪として知られる。大方の予想はドイツ勝利だが、日本が太刀打ちできない相手だろうか。そこで9月に行われた欧州ネーションズリーグ2試合(0●1ハンガリー、3△3イングランド)をもとに、日本が勝機を見いだすための3つのポイントをまとめた。

    ◇   ◇   ◇

 (1)【セットプレーで相手の出ばなをくじく】

 ハンガリー戦では自陣にブロックを敷く相手に攻めきれず、逆に前半にセットプレーから失点。その後も相手を押し込みながらも1点差で敗れている。以前から指摘していた通り、セットプレーの重要性が浮き彫りとなった試合であった。ドイツがどのように守るかを分析し、どこに精度の高いボールを入れてプレーするか。また、どのようにして目標とする選手が(できるだけ相手に邪魔をされずに)ボールに合わせることができるかは、本大会の事前合宿で十分に落とし込むことができる。

 私は14年のW杯ブラジル大会でドイツ代表のサポートをしたが、その時も初戦(ポルトガルに4-0勝ち)が終わった後、次に対戦するガーナのセットプレーを多角的に分析し、現地にリポートを送った。その点を考慮すると、日本に有利に働く可能性があるとすれば、ドイツが初戦で当たる相手だということだ。合宿で大会のために周到に準備したものを予想できないため、事前に分析のしようがない。ここは大きなポイントの1つだろう。

 (2)【相手のハイプレスに動じずに我慢してビルドアップをする】

 ドイツは9月の2試合で、局所的に前から相手にプレッシャーをかける場面が何度もあった。それには相手に自由にプレーをさせずに苦し紛れのロングボールを蹴らせて、自陣ゴールから遠い位置でボールを回収しようとする狙いがあってのことである。



 それでもハンガリー、イングランドともにドイツのハイプレスに動じずに勇気を持って後ろからボールをつなぐ意識を見せた。もちろん、ボールを失う危険性はあるにしても相手を前掛かりにさせ、片方のサイドに誘導した後にボールを斜めに動かしながら、ドイツ陣内にできる広大なスペースを使っていけたら大きなチャンスになる。

 さらに選手の心理として90分を通じて後ろにブロックを敷き続け、相手の攻撃を耐え続けるのは肉体的にも精神的にも大きな負担がかかる。ボールを保持している時も止まらずに走り続けることは当たり前だが、守備の後にはボールを少しでもキープし、ボールと一緒に「休む」時間が必要になる。

 (3)【ボール奪取後は相手の内側に立ち、トップスピードでカウンターを仕掛ける】

 イングランドが前半に4~5回、ボール奪取後に攻め込んだ形は非常に参考になるものだった。

 ・自陣で我慢してドイツにプレッシャーをかけ、ミスを誘うか、局地的に数的有利を作る。

 ・ボールを奪ってもすぐには前に蹴らず、味方が上がる時間を稼ぎながら、準備ができたら3~4人で攻撃を仕掛ける。

 ・ドイツの両サイドバック(SB)はポジションを上げてくるので、彼らとセンターバック(CB)の間、物理的にSBが間に合わないところに位置を取り、SBが戻ってくる前にゴールへと一直線に走りながらカウンターを実行する。

 結果は3-3の引き分けだったが、イングランドが前半にカウンターから勝負を決めることもできたといえる内容だった。

 この9月シリーズで見えたものがドイツの実力の全てではないことはもちろんで、大会にはキッチリと調整してくるだろう。それでも本大会の初戦だからこそ、ドイツを動揺させられる手段はある。そう感じられた2試合だった。

 (UEFA・A級コーチ)

 ◆浜野裕樹(はまの・ゆうき)1988年(昭63)7月4日生まれ、横浜市出身。日体大卒-ケルン体育大留学。「チーム・ケルン」の一員として14年W杯優勝のドイツ代表で試合分析を担当。現在は小学校の教員の傍ら、フォルトゥナ・ケルンでU15ブンデスリーガ監督を兼任。UEFA・A級ライセンス保持。ドイツ生活10年目でケルン在住。2児の父。










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