スクリーンショット 2022-11-04 19.45.45

スポンサード リンク




 イングランド2部のハダースフィールドは3日(日本時間4日未明)、DF中山雄太(25)が右アキレス腱を痛め、今シーズン中の復帰が絶望的になった発表した。現地時間2日のサンダーランド戦の前半終了間際に右足首を痛めて退場した中山は近日中に手術を受ける予定で、日本代表に選出されているカタールワールドカップ出場も不可能になったとクラブ側は発表した。左サイドバック候補の離脱は森保一監督(54)が描く構想にも大きな影響を及ぼす。

現地時間2日のサンダーランド戦で転倒
 日本の日付が4日に変わった直後に更新された、ハダースフィールドの公式ツイッター(@htafc)が悲報を告げた。投稿された英文には中山の長期離脱が綴られていた。
「専門医による診断の結果、中山雄太はアキレス腱に手術が必要な怪我を負ったことが確認された。残念ながら2022-23シーズンの残り試合には出場できない」
 柏レイソルをへて2019年1月からオランダのズヴォレでプレーしていた中山は、今シーズンからイングランド2部にあたるEFLチャンピオンシップのハダースフィールドに移籍。4バックの左サイドバック、あるいは3バックの左センターバックとして定位置をつかんでいた。
 現地時間2日のサンダーランド戦でも先発したが、前半終了間際に右足首を捻る形で転倒。ピッチ上に倒れ込み、自らプレー続行不可能をベンチへ伝えた中山は担架で退場。ハダースフィールド側は一夜明けた3日に精密検査を受けると発表していた。
 クラブ側は公式ツイッターに続いて公式ホームページも更新。中山の長期離脱とともに、マーク・フォザリンガム監督(38)の悲痛なコメントも発表している。
「雄太をこれほど長期間失うのは大きな痛手だが、彼のリハビリの間、私たちはあらゆる段階で彼をサポートする。(中略)雄太が代表に選出されたカタールワールドカップで日本チームと合流できない状況に、私たち全員が打ちのめされている」
 所属クラブで今シーズン中の復帰がかなわなければ、開幕が今月20日に迫るカタールワールドカップの舞台にもおのずと立てない。1日に代表メンバー入りが発表され、気持ちも新たにサンダーランド戦に臨んでいただけに、誰よりも中山自身がショックを受けているだろう。
 実際に中山が欠場となれば、森保監督の構想にも大きな影響を及ぼす。
 カタール大会に臨む26人のメンバーで、中山は長友佑都(36、FC東京)とともに左サイドバックを担う。これまでの国際親善試合を振り返れば、ワールドカップで4度優勝した実績を持つ23日のドイツ代表とのグループリーグ初戦で、指揮官は長友の先発を考えているはずだ。
 相手が強いほど、あるいは逆境に追い込まれるほど、長友は集中力を研ぎ澄ませてピッチに立つ。アップダウンを連発する若かりし頃の姿は見られないが、1対1の場面でうかつに飛び込まず、ボールを持つ相手を追い込んで仕留める守備にはさらに磨きがかかっている。
 ただ、スタミナの問題もあり、アジア最終予選では後半途中で中山と交代する形が続いた。サイドバックに交代枠を使う采配には批判が集中したが、頑固な一面を持ち合わせる森保監督は、本大会でもこのパターンを考えていたはずだ。
 中山は身長181cm体重76kgとサイズもあり、左利きというストロングポイントを生かして、アーリークロスを含めた良質なパスを相手ゴール前へ供給できる。ジョーカーのMF三笘薫(25、ブライトン)が投入された場合には、センターバックも務めるプレー強度の高さを生かして、三笘が不得手とする守備を後方で一手に担う補完関係も構築されていた。
 ボランチでもプレーできる中山は、もっとも不慣れなポジションとなる左サイドバックと、常にポジティブな姿勢で向き合ってきた。昨夏の東京五輪前にはこんな言葉を残している。
「これまでそれほどプレーしていないポジションですし、ボランチへのこだわりも強く持っていますけど、世界的に見てもサイドバックとボランチを両立できる選手は増えてきている。サッカーの流行じゃないですけど、サッカーの進化に対して挑戦できる部分で楽しさを感じています」
 実際に東京五輪では、3位決定戦を含めた全6試合に左サイドバックとして出場。戦う舞台をA代表へ変えてからは長友との交代を繰り返しながら、長友にはないプレースタイルを作り上げてきた。カタール大会のグループリーグは中3日の過密日程で行われるため、27日のコスタリカ代表との第2戦では中山を先発させるプランも考えられていたはずだ。
 しかし、緊急事態が起こった以上は、新たな戦い方を準備しなければいけない。
 今大会では代表選手に怪我や病気があった場合、各国ともグループリーグ初戦の24時間前まで入れ替えができる。日本対ドイツのキックオフは日本時間23日22時なので、同22日22時がデッドラインとなる。ただ、ハダースフィールド側が公式に発表した以上、JFAおよび森保監督としても中山の早期復帰を祈りながら、早急に代替選手を決めなければいけない。
 森保ジャパンで左サイドバックとしてプレーした選手は少ない。長友と中山、今年6月の初招集後に一気に台頭し、カタール大会代表にも名を連ねた伊藤洋輝(23、シュツットガルト)以外では佐々木翔(33、サンフレッチェ広島)しかいないのが現状だ。
 ただ、広島における佐々木の主戦場は3バックの左センターバックで、4バックでの左サイドバックは不得手としている。センターバックの冨安健洋(23)が所属するアーセナルで左サイドバックでもプレーしている状況も踏まえれば、佐々木よりも左右のサイドバックでプレーできる菅原由勢(22、AZ)を追加招集した方がベターなのではないか。
 身長186cm体重78kgのサイズを持つ伊藤はセンターバック要員でもあると考えれば、試合中に3バックへ移行する形を可能にするためにも、むしろセンターバックを厚くした方がいい。
 その場合は出場機会こそ得られなかったものの、9月のドイツ遠征に招集された瀬古歩夢(22、グラスホッパー)や、前回大会代表の植田直通(28、ニーム・オリンピック)が浮上してくる。
 複数のポジションでプレーできる、ユーティリティーさを持った選手を加える手もある。落選が国内外で波紋を広げた原口元気(31、ウニオン・ベルリン)は中盤や3バックにした場合のウイングバックで、セルティックで高い評価を得ている旗手怜央(24)は中盤のさまざまなポジションだけでなく、川崎フロンターレ時代には左サイドバックを務めた経験も持っている。
 5日にJ1リーグ最終節の9試合が行われるが、国内組の選手たちに先駆けて7日にカタールへ出発する、森保監督をはじめとするコーチングスタッフは視察しない予定だ。本番へ向けて最終的な準備に追われているなかで、緊急を要する重大な判断を突きつけられてしまった。
(文責・藤江直人/スポーツライター) 










スポンサード リンク

ブログランキング にほんブログ村 サッカーブログへ