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 W杯カタール大会(11月20日開幕)に臨む日本代表のメンバー26名が発表された。選手選考の最終判断は指揮官である森保一監督に委ねられるべきで、本戦へ向けた“最適な26人”であると信じたいが、それでもやはり疑問と不安が残る。彼らの落選は正しかったのか。ポジション毎に「選んで欲しかった11人」(システムは4-3-3)を選びたい。


 GKは谷晃生(湘南)だ。東京五輪でも活躍した実力者で才能は確か。190センチの高さ、何より21歳という年齢に魅力がある。今回のGK陣(川島永嗣、権田修一、シュミット・ダニエル)それぞれを見ると選出に異論はないが、39歳、33歳、30歳という年齢は明らかに高く、バランスが悪い。レギュラーとサブ、3番手と立場がハッキリするポジションだけに、若手を1人は招集してW杯本大会の雰囲気を肌で感じさせることは代表チームの将来的には有意義なことになったはず。谷以外にも、23歳の大迫敬介(広島)、20歳の鈴木彩艶(浦和)と候補者は多くいただけに、4年後を考えた際には今回の3人の選出は残念だ。

 CB陣は大方の予想通りだったが、他にも候補は多くおり、その中でも瀬古歩夢(グラスホッパー)は惜しい人材だ。高さとスピード、優れたフィード力を持つセンターバックとして、2020年にルヴァン杯のニューヒーロー賞とJリーグのベストヤングプレーヤー賞をダブル受賞した22歳。今年1月に海外移籍し、9月の欧州遠征にサプライズ的に招集されたが、2試合ともにベンチ外だった。冨安健洋が2019年のアジア杯で急成長したように、起用される中で評価を高める場合は多々ある。瀬古にもアピールするチャンスを与えて欲しかった。

 もう1人、前回ロシア大会でメンバー入りした現在28歳の植田直通(ニーム)も、試合展開次第で戦力になり得たはずだ。空中戦に抜群の強さを見せるファイター。海外生活5年目で屈強な外国人FWとの対戦も多く経験している。課題は“粗さ”にあり、それ故にスタメンでの出場には不安があるが、試合終盤に相手のパワープレーを跳ね返すための“逃げ切り要員”として考えた際、谷口彰悟、伊藤洋輝よりも適任だったのではないか。

 SB陣で、実に“もったいなかった”と感じるのが、菅原由勢(AZ)だ。2019年夏にオランダに渡り、高い攻撃性能を披露しながらレギュラーとして活躍。課題だった対人守備も格段にレベルアップした。その働きが認められて今年6月に代表に招集されたが、負傷によって無念の離脱。万能性の高さは優れた戦術眼を持っている証であり、森保ジャパンにもすぐに順応できたはず。まだ22歳で“次”があるとは言え、アピールの舞台が整わなかったのは残念。今回は運がなかった。

 長友佑都と中山雄太、伊藤洋輝が選ばれた左SBでは、小川諒也(ビトーリア)に可能性があったのではないか。183センチのサイズに優れたスピードを備え、左足から高精度のクロスを供給できる。ダイナミックなプレーは魅力十分だ。足りないのは経験だが、だからこそW杯予選を含めて試してもらいたかった。まだ25歳。才能はある。すべての面でレベルアップして、次回大会ではメンバー入りしてもらいたい。

 MF陣は3人。まずは、岩田智輝(横浜FM)の名前を挙げたい。豊富な運動量と球際の強さ、優れた戦術眼を持ち、今年7月のE-1選手権でも確かな実力を見せた。チーム的にも9月の欧州遠征で改めて浮かび上がったのは、遠藤航と守田英正の2人の“強度”が鍵であるということ。だが、過密日程の中でこの2人がグループリーグ3試合(突破すればその先の決勝トーナメント)を通して100%のコンディションでフル稼働することは困難。柴崎岳と田中碧ではプレースタイルが異なる。控えで岩田のようなタイプが必要だったのではないか。さらに言うならば、現在J1優勝に王手をかけている首位チームから誰もW杯メンバーに選出されないのは不自然であることも訴えたい。

 森保ジャパンの常連組ながら落選した原口元気(ウニオン・ベルリン)は、本人としても非常に残念だろう。現在31歳。前回のロシアW杯でのヒーローの1人であり、同時に悔しさも味わったことでリベンジの想いは強かった。だからこそ、ここまで様々なポジションに適応しながら、どんな場面でも全力で戦ってきた。ベンチの中からでも仲間たちを鼓舞してきた男を26人の中に入れておく意味は、大いにあったはずだ。

 旗手怜央(セルティック)も選んで欲しかった選手だ。万能性が魅力の24歳だが、9月の欧州遠征で招集されながらも出番なし。それでも所属クラブでは好調を維持しており、欧州CLではレアル・マドリード相手にも好プレーを披露し、シャフタール戦では幻のゴールもあった。メンバー枠が26人に拡大されたことで、旗手の複数ポジションをこなせる強みが活かせなかった面はあるだろうが、現在の調子を考えれば選ぶべきであり、「未知数」な部分が心配ならば、それまでに出番を与えておくべきだった。

 アタッカーでは、中村敬斗(LASKリンツ)を抜擢してもらいたかった。現在22歳。左サイドからのドリブル突破と強烈な右足シュートを武器に、今季はオーストリア1部リーグ戦で14試合中13試合に先発出場して8得点5アシストと出色の働きを見せている。もちろんリーグのレベルは考慮しなければならないが、若き才能の“ケチャドバ状態”は無視できない。左ウイングは多くの候補者がいたが、経験不足などお構いなしに若手を抜擢してきたスペイン代表ルイス・エンリケ監督ならば招集していたかもしれない。

 続いて右ウイング。実現性は低かっただろうが、家長昭博(川崎)はW杯の舞台で是非とも見てみたかった選手だ。G大阪の下部組織時代から世代随一の才能を認められてきた天才プレイヤー。国内外のクラブを渡り歩いた20代を経て、30歳で加入した川崎で持ち味全開。卓越した技術、戦術眼、そして圧倒的なキープ力でピッチ上に“違い”を作り出し、2018年にはJリーグ年間最優秀選手に選ばれた。そして36歳となった今季も衰えなど感じさせず、孤高の存在として攻撃を牽引している。起用法の難しさは間違いなくあるが、一度でいいから試してもらいたかった。

 最後の1トップには「選んで欲しかった選手」が多くいるが、やはり森保ジャパン発足時から戦術的な柱だった大迫勇也(神戸)が議論の的になる。確かに年齢的な衰えは隠し切れず、コンディション面への不安もあったが、J1残留争いの中で見せた勝負強さはW杯の舞台でも日本を救えるものだと感じさせていただけに残念だ。

 さらに問題は、前線で体を張って攻撃の起点になれるFWが上田綺世のみである点だ。その上田も最大の武器は素早い動き出しからの「裏抜け」にある。日本の強みである両サイドのスピードを生かすためにも、「守」から「攻」に移る際に中央でボールを収められるポストプレイヤータイプのFWが必要。9月のアメリカ戦でハマったハイプレス戦術が理想なのかも知れないが、ドイツ、スペイン相手には簡単にいなされ、通用しない可能性がある。そうなった場合、どのようにして攻撃するのか……。

 彼ら以外にも多くの候補者がおり、考え方ひとつで選出メンバーも変わってくる。果たして今回、森保監督が選んだ26人は最適だったのか。サプライズ選出がなかった今回のメンバー発表だが、サプライズ落選が多かっただけに、その疑問と不安が残る。この意見を黙らせるためには「結果」しかない。日本にとって7度目のW杯、「この26人で良かった」と納得できる戦いをカタールの地で披露してもらいたい。(文・三和直樹) 










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