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 11月20日に開幕予定のカタール・ワールドカップ(W杯)に向けて、同1日に日本代表のメンバーが発表される。森保一監督下で過去最高のベスト8以上を目標に掲げる代表チームは、どのようなメンバーを選出するのだろうか。継続的に取材を行ってきたジャーナリストの河治良幸氏に、全26名を予想してもらった。【文=河治良幸】

日本にはサプライズが必要

 今回はメンバー発表の前日ということで、推奨ではなく予想という基準で26人を選んだ。やはり最近は多めに招集していることもあり、常連メンバーでも「漏れ」出てしまう。これでもコロナ禍の特例として、従来の23人から26人から増枠されたので、外れる側に大きなサプライズ無く選ぶことはできる。ヒザの負傷で9月のシリーズを欠場した板倉滉と浅野拓磨は間に合う想定で入れている。

 この中でやはり一番悩んだのが柴崎岳の位置付けだ。これまでにチームへの貢献や森保一監督の信頼を考えると外しがたいが、グループステージの3試合をシミュレーションした時に、いつどこで起用するかが想定しにくいのだ。当然、本番になれば頼りになるし、大舞台でこそ本領を発揮するタイプであることは筆者も重々承知しているが、ドイツやスペインに対する守備強度、コスタリカに対する攻撃の決め手ということで評価すると、最終予選以降のエビデンスからは見出しにくいのが正直な評価だ。

 一方で世界的に見れば有力国とは言えない日本がW杯を勝ち上がるために、相手を驚かせる武器は必要になる。それがこれまでの主力で十分に足りているかと言われたら難しい。そこでやはり旗手怜央のような個人で違いを作れ、相手を崩していなくてもゴールできる可能性のあるミドルシュートというのは魅力で、筆者が森保監督であれば、どこかを一枚削ってでも入れたい。また相馬勇紀も、彼を入れることで三笘薫との補完関係がイメージしやすい。ただ、やはり彼を入れるには常連の誰かを外す必要が出てくる。そういう意味でともに次点としている。

【W杯メンバー26名:最終予想】
▽GK
シュミット・ダニエル、権田修一、川島永嗣
▽DF
酒井宏樹、山根視来、吉田麻也、冨安健洋、板倉滉、谷口彰悟、伊藤洋輝、長友佑都、中山雄太
▽MF
遠藤航、守田英正、田中碧、鎌田大地、原口元気、久保建英、伊東純也、堂安律、三笘薫、南野拓実
▽FW
前田大然、古橋亨梧、上田綺世、浅野拓磨

【次点】
GK谷晃生、DF瀬古歩夢、MF柴崎岳、MF旗手怜央、MF相馬勇紀、FW大迫勇也

【サプライズ】
GK中村航輔、DF菅原由勢、MF西村拓真、FW町野修斗

GK(3名)選出理由

本命:シュミット・ダニエル、権田修一、川島永嗣
次点:谷晃生
サプライズ:中村航輔

 順当ならこの3人だろう。ただ、東京五輪を経験した谷晃生、大迫敬介、鈴木彩艶の中から誰かを加えることで4年後にも大きくつながってくる。第3GKが試合を経験する可能性は限りなく低いが、だからこそ若手の活力というものが重視される余地はある。仮に谷が入った場合は誰が外れるのか。

 出場データを踏まえれば9月のシリーズで試合に出なかった川島永嗣だが、やはり過去三大会で正GKを担ってきた経験があり、吉田麻也とは違うリーダーシップも非常に大きい。GKの専門トレーニングでルーティーンを回していくにも、川島がいると引き締まる。そうなるとシュミット・ダニエルと権田修一のどちらかが外れることになるが、9月のパフォーマンスやドイツ戦などでGKのビルドアップ参加が重要になる戦術的な事情を加味すると、シュミットがファーストチョイスで、結果的に権田が3人枠から外れる可能性はある。

 ただ、下田GKコーチはGKに4枠を割く可能性も否定しなかった。やはりコロナ禍のリスクに加えて、延長PKを想定した場合に、そこに強い選手を用意しておくことも考えられるからだ。そうしたことも踏まえて、サプライズ枠にポルトガルのポルティモネンセで存在感を高めている中村航輔を挙げた。

DF(9名)選出理由

本命:酒井宏樹、山根視来、吉田麻也、冨安健洋、板倉滉、谷口彰悟、伊藤洋輝、長友佑都、中山雄太
次点:瀬古歩夢
サプライズ:菅原由勢

 ここも森保監督の基準でシミュレートした結果、この9人になった。ただ、冨安健洋が右サイドバックをこなしたり、伊藤洋輝が左サイドバックとセンターバックをこなせること、さらに長友佑都が左右サイドバックで計算できることも考えた場合、ここから誰か1人が外れ、中盤やアタッカーに枠が割かれる可能性もある。

 そうなった時に、基本的に右サイドバックが専門職である山根視来かセンターバックの谷口彰悟どちらかが外れることも否定できない。ともに川崎フロンターレの選手で心苦しくはあるが、順当なら2人とも選ばれる前提で、可能性として想定はしておきたい。次点としては人に強く、ボランチもこなせる瀬古歩夢、サプライズとして菅原由勢をあげた。菅原は世界基準の強度で不安が無く、本職の右サイドバック加えて左サイド、ボランチ、右サイドのアタッカーもできるスーパーマルチで、そうした補完性で山根と入れ替わる可能性もある。

MF(10名)選出理由

本命:遠藤航、守田英正、田中碧、鎌田大地、原口元気、久保建英、伊東純也、堂安律、三笘薫、南野拓実
次点:柴崎岳、旗手怜央、相馬勇紀
サプライズ:西村拓真

 中盤で絶対に外せないのが遠藤航、守田英正、鎌田大地の3人。彼らはそのままドイツ戦のファーストセットになるだろう。さらに右サイド伊東純也、左の三笘薫、二列目のマルチである久保建英の6人は森保監督ならずとも異論の余地が少ない。三笘と久保は試合によってスタメンかジョーカーかが変わってくるが、おそらくどんな形であれ毎試合出る選手たちだろう。

 ボランチの田中碧はヒザの検査を受けたとの情報もあり、遠藤と守田に比べると少し序列は下がるが、状態次第では3試合はもちろん4試合目、5試合目を想定した編成上外しにくい。さらに攻守で強度の高い原口元気、右サイドでスタメンの計算も立つ堂安律が有力候補となる。そうなると上記のMF枠で一番立ち位置が難しいのは南野拓実だ。最終予選はサウジアラビア戦の1得点で、所属クラブのモナコでも定位置を獲得できていない状況を考えても、決して安泰とは言えない。ただ、選ばれれば10番を付けると想定される南野は、やはり大一番で結果を出せる千両役者の雰囲気はある。

 次点の3人から誰か柴崎入る場合、原口、堂安、南野の誰かと入れ替えるか、DF枠から一枚削る必要が出てくる。非常に悩ましいが、旗手も相馬も効果的なオプションになることは明らかなので、ひとつリスクをかける価値はある。柴崎に関してはロジカルな理由プラスアルファで、大会を戦う上での人間性、苦しい時にチームを助けられるゲームコントロールの部分を森保監督が重視している証拠になる。

 これまでも何かに付けて柴崎と話し込む姿が目に付き、プレイングコーチ的な役どころとして外しにくいのは確かだ。ただ、筆者が期待する柴崎というのはもっと誰もが納得する決定的な仕事を大舞台でやってのけることで、もしメンバー入りを果たすのであれば、そこはこだわってほしい。また、サプライズに西村拓真を挙げたのは欧州組に勝るとも劣らないギラギラ感、そして唯一無二の特長を持っているからだ。強豪国であるほど、何をやってくるか分からない選手は怖い。そういった不気味さを加える価値は高い。

FW(4名)選出理由

本命:前田大然、古橋亨梧、上田綺世、浅野拓磨
次点:大迫勇也
サプライズ:町野修斗

 ここは最終予選の後半戦、さらに6月、9月シリーズで招集されているメンバーを素直に評価した。グループステージ突破、さらにベスト16の壁を破る鍵を握るのはスピードタイプのアタッカーだ。前田大然は現在、最も頼りにしやすい。浅野拓磨も怪我の回復が順調であれば、前線に加えてサイドでも計算できる。

 古橋亨梧は代表にフィットし切れていないこと、そして一時はケガ明けということもあり、セルティックでの調子も心配されたが、ここに来て復調。直近の試合でもゴールを決めた。上田綺世も9月のエクアドル戦はゴールこそなかったが、ポストプレーなどで成長を感じさせ、所属クラブのセルクル・ブルージュでも二桁得点ペースに乗ってきている。

 やはり難しいのは大迫勇也の位置付けで、森保監督が横内コーチとともにメンバー発表前の最後の視察に川崎フロンターレvsヴィッセル神戸を選んだことからも、1番の見極めどころになっていることが考えられる。ただ、大迫を入れる場合は編成バランスを考えてもFWの増枠が難しいので、いわゆるスピードタイプの3人から誰かを外すか、上田との二者択一になる可能性も。

 サプライズ枠としてはサガン鳥栖戦で2得点した町野修斗を挙げた。ドイツ遠征では欧州組の意識や国際レベルの厳しい環境、アメリカ戦での相手とのマッチアップを通じて「何もかもが違った」と語ったが、その経験を成長の糧にしている様子で、他のFW陣とも違ったゴール感覚を持っていることも評価ポイントになる。完成度だけを見ていけば外れるのが順当だが、日本代表はある意味でサプライズを起こさないといけない立場なので、多少歪であっても、こういった選手を抜擢してほしい。

河治良幸 










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