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◆YBCルヴァン杯▽準々決勝・第1戦 名古屋1―1浦和(3日・豊田ス) 点【名】森下【浦】松尾

 アウェーゴールを奪ってドロー。試合後の取材エリアでは「決して悪くない結果」(DF岩波拓也)、「次の埼スタで僕たちのアドバンテージで臨める」(FW松尾佑介)と、浦和の選手からポジティブな声が飛び交った。後半に守備の要、DFショルツが負傷交代。マテウス、相馬勇紀らを投入した相手の勢いに押されて同点に追いつかれたが、8日間で異例の3連戦を戦う名古屋を混乱させたプレーが前半にはあった。

 序盤、名古屋は浦和の後方からのビルドアップに対し、マンツーマンで人数を合わせて強くプレス。GK鈴木彩艶が蹴ったボールを奪われてカウンターを食らうなど苦しめられた。状況を好転させたのは、前半22分すぎの飲水タイム明けだった。

 FW小泉佳穂は「(浦和は)ポジショナルプレーと言われるけど、マンツーマンは特効薬に近い。マンツーマンで来られると立ち位置で相手をズラせず、個の局面になってしまう」と相手の狙いを分析。その上で、「中(の選手)のアイデア」として、自身やMF大久保智明が極端にポジションを変えることで、相手のマークに狂いを生じさせた。

 いくらマンツーマンとはいえ、FWの小泉が大きく後方へ下がると、相手センターバックは着いて来られない。ボランチの岩尾憲、伊藤敦樹がいる中盤に小泉や大久保が入ることで数的優位を生み出してスムーズにビルドアップ。「僕が極端に低い位置を取ることで数的混乱を生めた。今までマンツー気味の相手に苦戦した感覚が大きかったけど、少し手応えを感じた」と小泉は振り返った。

 時にはトップ下の小泉と右サイドバックのDF大畑歩夢が入れ替わる動きも見られた。相手の“人数合わせ”の守備に対し、GK鈴木も含めて“1人余る人”を作り出して、数的優位でビルドアップ。名古屋の守備陣を「どっちに着いていいのか?」と迷わせ、前から奪えない状況へ徐々に追い込んだ。

 マンツーマン守備をかいくぐるビルドアップの1つの解をチームとして見いだしたが、背番号8はさらに先を見据える。「前半の最後は敵にプレッシャーに来させない、敵があきらめるような展開にできた。そこでじれて敵が出てきたところで裏を取って点を取りにいくところまでできるようになって、このサッカーは完成形だと思う」。就任2年目のリカルド・ロドリゲス監督が掲げる、立ち位置で優位性を作る戦術の“最終進化形”をイメージした。

 最近では攻撃時に岩尾がアンカー(中盤の底)、伊藤が右インサイドハーフ(IH)、小泉が左IHに入る陣形が確立され、リーグ3連勝中と好調だ。小泉は「その3枚は、それぞれの一番やりやすい役割ができるからやりやすい。今日はうまくポジションをズラして敵を混乱させられたけど、逆に言えば、自分たちでバランスを崩してるとも言える。前半の最後のやり方も1つ、わざとマンツーマンではめさせて質ではがすのも1つだと思う。出る選手や状況で使い分けられるようになりたい」。複数のビルドアップ術の併用を理想に掲げた。

 名古屋とは6日にリーグ戦(豊田ス)、10日にルヴァン杯準々決勝・第2戦(埼玉)と同一カード3連戦。真夏の過密日程だけに、選手の入れ替えは必須だ。小泉は「次にメンバーが変わった中で、やり方を変えつつバランスを崩さずできれば。個性を殺さずにチームの完成度を高めることは難しいけど、それができたらチームとして強くなったと言える」。同じ相手との3番勝負を、チーム全体の戦術熟成にむけた試金石としたいところだ。(浦和担当・星野 浩司)

報知新聞社










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