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移籍を望むスーパースター

またしても起きてしまった。クリスティアーノ・ロナウドが退団を希望し、クラブは大混乱に陥った。2021年夏はユヴェントス、そして2022年夏はマンチェスター・ユナイテッドだ。

昨年の今頃、C・ロナウドは「トリノを去る決意を固めた」と報じたメディアを厳しく非難していた。しかし移籍市場終了4日前、彼はマンチェスター・Uへと去っていった――報道は正しかった。

当時のユヴェントス主将ジョルジョ・キエッリーニは、C・ロナウド退団によって引き起こされた混乱が、クラブの序盤戦に影響を与えたと証言している。『DAZN』に対し、「もっと早く退団していれば、我々にとっては良かっただろう。あれでちょっとショックを受けたし、勝ち点を失ったね。もっと早く去っていれば、準備をする時間も会ったはずだ」。

マンチェスター・Uは今、同じような“C・ロナウド効果”を恐れているだろう。少なくともプレシーズンの準備はうまくいっている。それが「C・ロナウドがいないせいなのか」、それとも関係ないのかはまだわからない。新指揮官エリック・テン・ハーグでさえもそうだろう。彼はC・ロナウドが自身の思考するハイプレス・ゲームに「適応できる力がある」と語るが、一方で「選手に合わせなければならない」とも語っている。

しかし確実にわかっているのは、C・ロナウドがマンチェスター・Uで「早すぎる失敗」をしたことだろう(もちろん要因は様々だ)。

『GOAL』の取材では、テン・ハーグは今夏新しいアタッカーを探す必要はないと考えていることがわかっている。少なくとも1月までは遅らせるつもりだ。

だがC・ロナウドの移籍希望がすべてを変えた。さらなる不安と不確実性を生み出した。

アーリング・ハーランドは同じ街のライバルへと移籍し、その後ダルウィン・ヌニュエスは宿敵リヴァプールへ奪われた。結果として、今のマーケットにはアタッカーの選択肢が著しく不足している。

また、C・ロナウドが望んだような移籍を達成できる保証もどこにもない。

実際問題として、昨夏のユヴェントスと今夏のマンチェスター・Uでは状況が違う。37歳の彼の獲得に手を挙げるクラブがいないのだ。彼とその代理人ジョルジュ・メンデスは、今回ばかりは決断のタイミングを見誤った。

彼の希望は「チャンピオンズリーグ(CL)でプレーする」こと。マンチェスター・Uが来季そうなることはない。トップ4入が不可能とわかった時点で、メンデスは彼のNo.1クライアントのために新天地を用意する必要があったのだろう。

シーズン開幕まで残り2週間。だが、ヨーロッパのエリートクラブの中に彼を欲しがるクラブは(現時点で)ない。それは金銭的なものもあるし、中には全く必要としていないクラブもある。

チャンピオンズリーグ優勝候補クラブは…
直近の報道では、アトレティコ・マドリーの名前も聞こえている。しかし、彼がレアル・マドリー時代にアトレティコを小馬鹿にするようなジェスチャーを見せていたのは有名な話だ。また、ディエゴ・シメオネの要求するスタイルには全く適していないだろう。さらに重要なことに、C・ロナウドの賃金要求はアトレティコにとって大きな障害だ。

だが、現時点では最も実現性の高い契約だと考えられている。C・ロナウドの選択肢の少なさを物語るいい例だ。

そしてパリ・サンジェルマン(PSG)の可能性も聞こえている。彼らの左サイドが空くからだろうか? クラブ側はネイマールへのオファーに耳を傾けるつもりだ。しかし、C・ロナウドとネイマールは同じような状況下にある。つまり、要求する年俸額が高額すぎて移籍先が見つからない。またネイマール本人もは、ワールドカップへ集中するために移籍を望んでいない。ブラジル代表スーパースターが退団しない限り、ポルトガル代表スーパースターを雇う余裕はないだろう。

一部で聞こえるバルセロナはどうだろうか? 実際、彼らは30歳を超えるゴールゲッターとの契約に何ら抵抗はなかった。ただ、それはロベルト・レヴァンドフスキに限るものだった。そして、彼らは手に入れたのだ(クラブの未来を担保としなければならなかったが……)。またハフィーニャの獲得とウスマン・デンベレの契約延長もあって、攻撃陣は充実している。バルセロナは移籍マーケットで無意味な動きをすることで一時有名ではあったが、C・ロナウドを獲得することはないだろう。

トッド・ベーリー新オーナーが就任したチェルシーは、このアイデアに乗り気だった。そしてC・ロナウドと代理人もそうだった。しかし、トーマス・トゥヘル監督が明らかにそれを拒絶していた。それもそうだろう。彼はロメル・ルカクを放出したばかりで、自身の戦術にそぐわないFWを求めていない。そしてお気に入りであったラヒーム・スターリングを手に入れている。

この夏始め、メンデスがプレイベートジェットでレアル・マドリーに飛んだことが報じられた。一斉に「C・ロナウドの復帰か?」との報道がなされた。だが、全くのデタラメだ。彼らが欲しがったのはただ1人、キリアン・エンバペだった(結局PSGと契約延長したが)。

フロレンティーノ・ペレスが慌ててC・ロナウドを呼び戻す可能性はゼロとはいえないが、カリム・ベンゼマとヴィニシウス・ジュニオールが君臨する現チームに必要はないだろう。昨年C・ロナウドが語ったように、「レアル・マドリーでの物語は終わった」のである。

マンチェスター・シティ? リヴァプール? 絶対にあり得ない。ペップ・グアルディオラとユルゲン・クロップのスタイルには相容れないし、両クラブ共に今夏ストライカー獲得へ大金を投じたばかりだ。

では、レヴァンドフスキを放出したバイエルン・ミュンヘンはどうだろう。前会長ウリ・ヘーネスは、ユヴェントスが当時33歳のC・ロナウドの獲得に1億ユーロを支払ったことを「理解できない」と語ったことがある。そして会長が交代しても、その方針は変わっていない。オリヴァー・カーンCEOは「偉大な選手であるが、我々の哲学には合わない」と断言している。

移籍市場は予測不可能だが…
そしてこのカーンの言葉が、ヨーロッパのエリートクラブに共通する考えだ。

もちろん、移籍市場は「悪名高く」予測不可能なものだ。ここから摩訶不思議なことが起きることだってある。C・ロナウドは昨夏期限ギリギリでユヴェントスを離れ、マンチェスター・Uを探し当てた。同じことができる可能性だってゼロではない。

しかし少なくとも、来シーズンにビッグイヤーを狙うクラブの一員として名を連ねることはないだろう。

文=マーク・ドイル 










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