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 「決して悪くないが、良くもない。この感情がわかるかい?」。ドイツ西部ドルトムント中心部のパブで会社員ミハイル・シュルトさん(53)はため息交じりに漏らした。愛する地元クラブ、ドルトムントは昨季ドイツ1部リーグで2位。ただ、優勝したライバルのバイエルン・ミュンヘンには勝ち点8差をつけられた。

 今月には21歳のエースFWハーランドのマンチェスター・シティー(イングランド)移籍が正式に決まった。「驚きはない」とシュルトさん。1997年に欧州チャンピオンズリーグ(CL)を制し、2010~12年は元日本代表MF香川真司らを擁してドイツ1部を連覇したが、今は若手の「ステップアップの場」というイメージが定着した。

 バイエルンは昨季ドイツ1部で10連覇を達成したが、偉業の一方で優勝争いは早々に終了。クラブOBからもリーグの競争力を懸念する声が聞かれた。競争力の低下はトップ選手の流出や今後の放映権料に影響しうる問題だ。

 打倒バイエルンには、昨季欧州リーグ(EL)を制したフランクフルトなどに期待がかかる。リーグの国際部門マーケティング責任者ペア・ナウベルト氏は「理想を言えば、優勝争いはより緊迫してほしい。今は、残留争いへの関心が高くなっている」と語る。

 昨季の欧州CLではバイエルンが準々決勝で敗れ、イングランドとスペインのクラブが4強を占めた。両国のリーグは世界的にも人気が高く、ドイツは「3番手」の位置づけ。バイエルンのエースFWレバンドフスキは、今夏のスペイン移籍希望が報じられている。

より魅力的なリーグを目指す改革

 より魅力的なリーグを目指し、改革も進められている。自国開催だった06年ワールドカップ(W杯)を機にスタジアムの環境を整え、1試合平均観客数(13~18年)は欧州トップの4万人超で、女性や子どもも多い。20年からは米アマゾン傘下企業が運用するクラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス」(AWS)と提携。試合と同時進行で最新の戦術を紹介し、打ったシュートの角度や距離、GKの位置などから「決まる確率」を瞬時に算出して提供するなど、イングランドやスペインに先駆けて娯楽性の高いサービスを導入し、人気を得ている。

  1970年代に欧州のリーグで初めてクラブのユニホームにスポンサー企業のロゴが掲示されるなど「ドイツは常に革新的だった」とナウベルト氏。イングランドやスペインとの差を、いかに詰めていくか。「これはスプリント勝負ではなくマラソンであり、10年先を見据えて取り組む」。強い決意をのぞかせた。(おわり。ドイツ編は、ロンドン支局 岡田浩幸が担当しました)

連載「サッカーの惑星」 ドイツ編
 4年に1度のW杯が11月に開幕します。出場を決めた国・地域を訪ね、サッカー事情や社会の変化、人々の思いを探る。第2部は日本と初戦で対戦するドイツです。










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