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 明治安田生命J1リーグ第17節の9試合が18日に行われ、最下位のヴィッセル神戸は敵地・三協フロンテア柏スタジアムで柏レイソルと対戦。前半28分にMF橋本拳人(28)の移籍後初ゴールで先制するも、3連続失点で逆転負けを喫した。前半アディショナルタイムにMFマテウス・サヴィオ(25)に決められた、勝ち越しPKに至る主審の判定をめぐって三木谷浩史会長(57)が激怒。Jリーグへ抗議文を提出すると自身のツイッターで明らかにした。

「いくらなんでも酷すぎる」とリーグへの正式抗議文提出を表明
 黙っていられなかった。試合中から「あれがファール。。。」や「いくらなんでも酷すぎると思う」と自身のツイッター(@hmikitani)へ投稿していた神戸の三木谷会長が、1-3の逆転負けで柏戦を終えてから2時間近くたって再びつぶやいた。
 敗戦に腹をすえかねていたのか。ツイートにはこう綴られていた。
「正式にJ Leagueに抗議文を提出します。VARを見て、どうしてこの判断になるのか、意味が不明だ」(原文ママ)
 三木谷会長が問題視した場面は、1-1で迎えた前半41分に訪れた。
 ペナルティーエリア内の左角あたりで、こぼれ球を神戸DF菊池流帆(25)と柏MF戸嶋祥郎(26)が競り合い、激しく接触した直後に佐藤隆治主審(45)のホイッスルが鳴り響いた。菊池にラフプレーがあったと判定され、イエローカードが提示された。
 もっとも、このときはペナルティーエリアのわずか外で、柏に直接フリーキックが与えられていた。直後にビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。交信した佐藤主審はピッチの脇に設置されたモニターのもとへ走っていった。
 自らの目で映像を確認するオン・フィールド・レビューの結果、佐藤主審は菊池がラフプレーを犯した地点がペナルティーエリア内だったと判定を修正。柏にPKが与えられた直後から、判定をめぐってピッチ上が騒然となった。
 PK献上に納得がいかない神戸の選手たちが佐藤主審を取り囲む。抗議の輪に加わっていたキャプテンのMFアンドレス・イニエスタ(38)は柏DF上島拓巳(25)と口論になり、上島を振り払おうと左手を振り上げるなど小競り合いになりかけた。
 もちろん判定は変わらない。マテウス・サヴィオに強烈な一撃を突き刺された神戸は、後半20分にもFW武藤雄樹(33)に追加点を決められてしまう。直後にコンディション不良でプレー時間が限定されているFW大迫勇也(32)を投入したがゴールを奪えず、シーズンを折り返す一戦で痛恨の逆転負けを喫してしまった。
 PKを与えた場面では、菊池の右足が先にボールに向かっていた。その点だけで言えば微妙な判定だったが、映像を見直すと菊池のスパイクの裏がボールではなく、戸嶋の左すねのあたりに入っている。言い訳のできないラフプレーだったと言っていい。
 つまりVARの介入と佐藤主審のオン・フィールド・レビューは、菊池がラフプレーを犯した場所を確認するものだった。PKか否かではなかった点で、三木谷会長の「VARを見て、どうしてこの判断になるのか、意味が不明だ」も的外れな批判となる。リーグ側へ抗議文を提出したとしても、意味をなさない可能性が大きい。
 PK判定うんぬんではなく、国際Aマッチデー期間中による中断に伴い、ある程度の準備期間があったにもかかわらず負けた点を深刻に受け止めた方がいい。補強を含めて何らの手を打たなければ、手遅れになりかねない状況にあるからだ。
 試合後のフラッシュインタビュー。この日が65歳の誕生日だった、スペイン出身のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は前半のサッカーを悔やんだ。
「先制はできたものの前半はボールを持てず、守備でも苦しめられる時間が多かった。後半はよくなった部分はあるがゴールを決めきれず、このような結果になってしまった」
 前半は中断期間中に準備してきた3バックでスタート。中盤もアンカーに山口蛍(31)、インサイドハーフには橋本と郷家友太(23)を並べ、イニエスタをFW武藤嘉紀(29)に近い位置でプレーさせた。しかし、シュート数はわずか2本と奏功しなかった。
 後半開始からはイニエスタをトップ下にすえた4-2-3-1へスイッチ。大迫の投入後は武藤を右サイドハーフへ移し、27分からはイニエスタに代えて元スペイン代表のボージャン・クルキッチ(31)を投入したが、一度傾いた流れを変えられなかった。
 自らを責めるように、ロティーナ監督はさらにこんな言葉を紡いでいる。
「準備してきたことが上手くいかなかった前半が敗因だと思っている。負けることは本当に痛いが、チームとして改善して成長していくしかない」
 今シーズンだけで3人目の指揮官として、ロティーナ監督が就任したのが4月上旬。もっとも期待された守備の再建はリーグで3番目に多い25失点と進まず、攻撃陣も依然としてリーグで3番目に少ない15得点に甘んじている。
 新体制になった後も2勝1分け5敗と黒星がたて込み、後半戦への最下位ターンが決まった。神戸の歴史を振り返れば2005シーズン以来の屈辱で、17年前は最終的に断トツの最下位に終わり、クラブ史上初のJ2降格を喫している。
 残留を争うチームでは16位の清水エスパルス、17位の湘南ベルマーレがともに勝利したため、神戸との勝ち点差は前節までの「2」から「5」へと再び広がった。J1残留圏の15位・ガンバ大阪との勝ち点差も「6」となっている。
 11月にカタールワールドカップが開催される今シーズンは、最終節も11月5日と約1ヵ月も前倒しされている。ただでさえ少ない立て直すための時間が刻一刻と減り、その分だけ3度目のJ2降格を喫する恐怖をも心の片隅に抱きながら、神戸は26日に後半戦の初戦として浦和レッズをホームのノエビアスタジアム神戸に迎える。
(文責・藤江直人/スポーツライター)










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