スクリーンショット 2022-05-30 16.20.45

スポンサード リンク




 快進撃を続けるダークホースが、衝撃的な番狂わせを演じてみせた。

 県Aリーグ(1部)所属ながら、3回戦で常葉橘、準々決勝では浜松開誠館と、いずれもカテゴリーがひとつ上のプリンスリーグ東海勢を撃破。令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)静岡予選で磐田東は12年ぶりに4強入りすると、準決勝ではさらに、昨夏全国ベスト4であり、プレミアリーグWESTに所属する静岡学園をPK戦の末に下して大金星を挙げた。

 「選手が本当に切れずに最後まで守備を頑張ってくれた。全員が勝ちたい気持ちを持っていたし、ベンチもスタンドも一体感をもってやれたのが勝因かなと」

 磐田東を率いる山田智章監督は試合直後、興奮冷めやらぬ表情で語った。

 県内では絶対王者と言える静岡学園に対し、選手たちが見せたのは、驚異的な集中力だった。静岡学園のテクニカルな攻撃に対して粘り強く対応を続け、前後半の80分間を零封してみせた。

 MF高橋隆大(3年)、MF寺裏剣(3年)という全国レベルのサイドアタッカーに対して、DF倉田幸栄(3年)とMF5鈴木彩斗(3年)の両SB、MF8瀧井空(2年)とMF10谷野暁希(3年)のサイドハーフ、さらにはMF7熊野日路(3年)とMF6鈴木王太(3年)の両ボランチが囲い込み、自由を奪う。ゴール前に進入されれば、DF4森蓮太(3年)を中心とした守備陣が必死に身体を張った

 それでも何度も決定的なピンチを迎え、セットプレーでは長身のDF4行徳瑛(3年)にヘディングを許すシーンも度々あった。押し込まれた後半にはポストに一度ならず助けられた。しかし、最後の最後までゴールを割らせなかった。

 「守備のスイッチをどこで入れるかはハーフタイムに話しました。むやみやたらに引いても相手が自由にやるだけなので、決まり事としてはファーストディフェンダーをしっかり(定めようと)。あと外に対して(寄せに)いきたいねという話はしました。

 あとはオフのマーキング。スペースを埋めるのか、人につくのかは明確に。結果的に最後の10分間くらいは3ボランチみたいになってしまってどうしても守備の時間が長かったけど、やっぱり基本はスペースを与えないことなので、そこは徹底してできたかなと思います」

 山田監督は徹底した対策を明かす。

 ただし防戦一方だったわけではない。隙を見つければキープ力が光る鈴木王太と谷野暁希に素早くつなぎ、相手の焦りを誘うと、ファウルで得たセットプレーからゴールに迫ってもいた。

 「とにかく僕らは僕らのサッカーをしようと。ハーフタイムに言ったのは、『力関係では圧倒的に向こうのほうが上だけど、前半0-0で終えて相手は絶対にストレスが溜まっている。そこでこっちも落ち着いて対応できれば、どこかでチャンスがある』と、そういう話をしていた。

 だから相手もマイボールになりかけた時にノッキングしたりとか、連係が上手くいかなかったりする場面があった。ああいうところの隙を突くしかない」

 攻め込まれながらも反撃を狙ってファイティングポーズを取り続けたことも、相手のフラストレーションを生むのにつながったはずだ。

 そしてスコアレスで80分を終えると、迎えたPK戦では、GK1岡村虹輝(2年)が3本目と4本目を連続セーブ。5人目のキッカーを待たずしてトータル3-1で制した。

 「PK戦は昨日(準々決勝)もやっていたので。『くじ引きみたいなもので運だよ。だから、そこはしょうがない』と。『だけど勝とうね』と。でも、あんなにGKが当たるとは思わなかった」と指揮官は笑った。

 決勝では、プリンスリーグ東海で首位を走る藤枝明誠を相手にどんな戦いを見せるのか。17年ぶりの全国の舞台へ、あと1勝だ。

 「何も変えません。自分たちがやっているサッカーを貫くだけ。ただ攻守の切り替えとサポートの部分は課題なので、そこは確認します。あとは楽しんでやります。子どもらが自分たちで舞台を整えたので、楽しんでやってくれれば。結果はあとでついてくるので」

 山田監督はそう意気込んだ。

(文・写真=多田哲平) 










スポンサード リンク

ブログランキング にほんブログ村 サッカーブログへ