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難しい議題ではある

近年、最も世界に影響を与えた出来事といえば新型コロナウイルスの蔓延だろう。サッカー界への影響も大きく、交代枠が3人から5人になるルール変更が行われたほどだ。このルール変更だが、よりサッカーを面白くする出来事であったことは間違いない。サッカーは11人で戦うスポーツであり、GKを除くフィールドプレイヤーは10人いる。基本的にGKを怪我のようなアクシデントで交代させることは少なく、このルール変更でフィールドプレイヤーを最大で半分まで代えることが可能となった。そうなれば交代でチームの色が一変したり、失速することが減るなど、交対策がより重要となった。
 
プレミアリーグは今季も交代枠3人のままでシーズンを戦っていたが、先日来季から交代枠を3人から5人にすると発表している。
 
JリーグやCLなどプレミア以外のリーグではすでに今季から交代枠が5人となっていたが、なぜプレミアは遅れたのか。一つは上位クラブと下位クラブの金銭面での差があり、そこで上位クラブ、いわゆるBIG6がより有利になってしまうからだ。
 
監査法人デロイトでは欧州の各クラブの収益を調べランキング化しており、『Deloitte Football Money League』の2020-21シーズン版のランキングを公開した。20位までのクラブが公表されており、首位がマンチェスター・シティで6億4490万ユーロ(日本円にして約870億円)となった。プレミアのクラブであれば5位にマンチェスター・ユナイテッド、7位にリヴァプール、8位にチェルシー、10位にトッテナム、11位にアーセナル、15位にレスター、16位にウェストハム、17位にウルブズ、18位にエヴァートンと20位以内にプレミアの計10クラブがランクインしている。BIG6のクラブが入るのは当然としても、ウェストハムをはじめとする中堅クラブが他の5大リーグのトップクラブ、例えば14位のインテル、19位のミランと同じ資金力があるのはさすがプレミアだ。
 
英『THE SPORTSMAN』でもこの変更でバーンリーのような小さなクラブが不利になるとしており、上位と下位の差がより広がるこの変更を批判している。
 
確かにこの問題はある。プレミアリーグは競争力の高いクラブとして知られており、下位クラブが上位クラブを苦しめる戦いに楽しさを見出しているサッカーファンもいるだろう。それでも、プレミアリーグには莫大な放映権料が流入しており、下位のクラブでも控えが充実しているクラブも存在する。
 
また、放映権料以外にも収入が見込めるクラブは多く、ニューカッスルは買収されたことでマンチェスター・シティをも凌ぐリッチクラブに姿を変えている。彼らは今季買収されており、前述した『Deloitte Football Money League』が作成する次のランキングにはプレミアの12番目のクラブとして名前が載ることになるだろう。
 
スポンサーからの収入以外でいえば、レスターは選手売却でチームを大きくしたクラブだ。リヤド・マフレズ、エンゴロ・カンテらリーグ優勝を成し遂げた「ミラクル・レスター」の主力を放出して現在のスカッドを作った。それを成功させたのはスカウト陣の手腕とここまでチームをけん引したクラウディオ・ラニエリやブレンダン・ロジャーズの手腕だ。このように選手育成でクラブを大きくしているところもあり、BIG6とまではいわないが、ある程度の資金を獲得できる土台がすでに揃っているチームは多い。
 
ルール変更で不安視されているプレミアリーグ内での貧富の差。監査法人デロイトが毎年発表するサッカークラブの長者番付リストでは、上位20クラブ中11クラブをプレミア勢が占めており、中堅クラブは他の5大リーグでいえばトップレベルのクラブと同じような収益を得ている。工夫次第でBIG6と選手層の差を埋めることができ、若手の育成に積極的なところが多いことを考えれば、それほど影響はないのではないだろうか。

構成/ザ・ワールド編集部










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