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2022年のJリーグでは、例年になく多くの20歳前後の選手が出場を重ねている。「国内組」のうちにぜひ試合で見てほしいキラリと輝く選手たち。育成年代の取材を重ねるサッカージャーナリストの川端暁彦氏に、次世代のヤングスターをピックアップしてもらう企画の第2弾をお届けする。

「価値」を持った選手が育つJリーグ
「またJリーグの選手が欧州に旅立ってしまった……」
 
 そういった嘆き節も多く聞こえてくる昨今のJリーグだが、逆に言えば、それだけの「価値」を持った選手が次から次へと現れるようになっているということでもある。ブラジルやアルゼンチンのようなタレント供給大国にはまだまだ及ばないものの、村井満前チェアマンも掲げていた「選手が育つリーグ」になりつつあるのは確かだろう。

 一人の選手が巣立っていくのは、次の選手が出てくる前触れのようなものでもある。選手の流動化が進んだことで、若手選手たちの出番は総じて増えつつあるのも確かだ。

「若手の登竜門」として知られるJリーグYBCルヴァンカップでは、そうした選手たちが続々とピッチに立ち、その可能性を示している。

「早めに」出て行ってしまう選手が多いならば、より「早く」チェックしておく価値も大きい。各監督が若いタレントにチャンスを与える傾向の強いルヴァンカップは、より一層、観ておく価値の大きい大会になっているとも言えるだろう。

 今回はJ1リーグやルヴァンカップで注目を集める若手選手たちに改めてフォーカス。5人の選手を紹介してみたい。

MF 藤田譲瑠チマ|横浜F・マリノス

 パリ五輪を目指すU-21日本代表が3月に初招集され、その最初の対外試合でキャプテンマークを託されたのがこの藤田だった。「とにかく常にしゃべっている」と周りから評されるとおり、試合中でも練習中でもマシンガントークで周囲とコミュニケーション。鼓舞する声も戦術的な指示出しの双方にしっかり対応する。

 今季、徳島ヴォルティスから横浜F・マリノスへ移籍。ボールを奪う、運ぶ、繋ぐ能力に秀でたボランチだが、「前に行くところは去年より増やせている」と攻撃面で進化の手応えも感じている。

「年始に同世代の選手たちがA代表に選ばれているのを見てすごく悔しかったし、自分もそういうところで戦いたい気持ちが強くなった」と語るように、意識するステージはもっと上。横浜FMでタフなポジション争いを制し、カタールW杯での代表滑り込みも虎視眈々と狙っていく。

FW 北野颯太|セレッソ大阪

 2日のルヴァンカップ第2節・鹿島アントラーズ戦で決勝点を決めたのは、まだ高校2年生のスター候補だった。ペナルティーエリア左でクロスボールを受け、反転からの強烈なシュート。「北野颯太」の名前を鮮烈に伝えるゴールは、日本代表MF南野拓実が持っていたルヴァンカップでのクラブ最年少得点記録を塗り替えるものでもあった。

 元々「ドリブルでは負けたくない」と語る、能動的に仕掛けるタイプのテクニシャン。「相手の嫌な位置で受けるポジショニング」も持ち味の一つで、サイドハーフやFWでプレーする。また日本サッカー協会の山本昌邦技術副委員長が「守備が本当に良くなった。久しぶりに見たら凄く変わっていて驚いた」と語ったように、かつて課題として厳しく指摘を受けることもあった運動量や守備の切り替えも大きく改善。向上心の強さを武器に、課題克服に余念がない点も早期デビューと活躍を引き寄せる原動力となっている。

DF 大畑歩夢|浦和レッズ

 サガン鳥栖のアカデミーから育った左サイドバックは、今季から浦和レッズへ移籍。ビッグクラブでのポジション争いにその身を投じた。前シーズンからの負傷を引きずってキャンプ入りする苦しいスタートだったが、復帰後すぐに出場機会を掴むと、浦和の左サイドへ瞬く間に定着。リーグ戦4試合に先発出場を果たしている。

 タフに戦う選手を多く輩出している北九州の強豪クラブ・小倉南FCの出身で、大畑自身も戦う姿勢、球際の強さが売りの一つ。元々はボランチで、鳥栖U-18時代に左SBへコンバートされた経緯もあるため、大外だけでなく、インサイドに入った位置で苦もなくボールを持てる技術、感覚もある。

「最後の質は課題」と常々語るが、J1第3節・湘南ベルマーレ戦で、左足クロスから早くも初アシストを記録。浦和の左サイドで特別な存在になる日も、そう遠くないかもしれない。パリ五輪を目指すU-21代表にも選出されている。

MF 甲田英將|名古屋グランパス

 足元にあるボールなど一切観ていないかのような姿勢から、小気味良くボールを運び出し、変幻自在の両足でのボールタッチから、対面するDFを出し抜くスルーパス、シュートを繰り出す世代屈指の技巧派だ。「自分の武器はドリブル。そこで負けたらポジションを失う。そこだけは絶対に負けられない」と、幼少期にメッシに憧れて練習を重ねたドリブルには、特に強いこだわりがある。

 この3月に卒業式を迎えたばかりのルーキーだが、ルヴァンカップのグループステージ第1節・清水エスパルス戦にてトップチームデビュー。リーグ戦にも出場を果たし、早くも才能の片鱗をうかがわせている。

 もっとも本人は、「(松木)玖生(FC東京)や中野伸哉(サガン鳥栖)はしっかりレギュラーを張っている」と同い年のライバルたちの現状を踏まえて、満足の色はない。長谷川健太監督の下で強く要求される守備の強度も確実に向上させており、いまがまさに成長期。観ておいて損はないタレントだ。パリ五輪を目指すU-21代表にも選出されている。

FW 細谷真大|柏レイソル

 若手選手が最前線を担っているチームはそう多くない。ハイレベルな外国籍ストライカーも揃うJ1となれば、なおさらだ。だが熟練のネルシーニョ監督の信頼を獲得し、昨季からそのポジションを占めているパリ五輪世代の若手ストライカーがいる。それが細谷だ。

 肉体的な頑健さと精神的なストライカー気質を兼ね備えるタイプで、柏U-18時代には山中真監督(当時)が、この細谷の「個性を活かして伸ばす」ことも考えて、ロングパスを多用する形へ戦い方をアレンジしたほどの異能の持ち主である。

 年代別日本代表としての実績は乏しかったが、昨年10月にはAFC U-23アジアカップ予選に出場。初めて君が代を聴いて臨んだ大会で2得点と結果を残し、パリ五輪世代のストライカー有力候補として名乗りをあげている。

 アグレッシブに戦いながら、クールにゴールを狙える男は、常に「まず結果を残したい」と語る生粋のゴールハンターだ。

川端暁彦










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