◆スコットランド１部・第２４節　セルティック３─０レンジャーズ（２日、英国・グラスゴー、セルティック・パーク）

　英国スコットランドではセルティックとレンジャーズのグラスゴー２大クラブが雌雄を決する伝統のオールドファーム・ダービーが行われ、１月に加入したばかりの旗手怜央は、最近の定位置となっている中盤左サイドで先発。ここで衝撃的な２ゴール１アシストを決めて、セルティックの全得点に絡み、３─０勝利の立役者となった。

　前節で１０人の戦いを１─０で制し、同日引き分けに終わった首位レンジャーズに勝ち点差２まで詰め寄っていた。勝てば逆に１点差をつけて首位に躍り出る決戦。グラスゴーを揺るがす伝統のオールドファーム・ダービーが文字通りの天王山となった。

　１月に加入したばかりの旗手にとっては初のダービー戦。しかも勝てば首位。そんな試合で２４歳日本人ＭＦが誰にも負けない強烈な輝きを放って、大ヒーローとなった。

　まずは前半５分。味方のコーナーキックを相手ＤＦが頭でクリア。そのボールがＰＡの外にいた旗手の足元でバウンドした。しかし目前には敵味方が入り乱れている。ところが旗手が右足を振り抜くと、ボールは目の前の人の壁を魔法のようにすり抜け、対角線上のゴール右隅に吸い込まれた。

　「（シュートコースが）見えたので、本当にそこに蹴ればいいと思いました。（キーパーから逃げるように）シュート回転をかけて蹴れば、弾かれても、味方の誰かが詰めて決められるとも思いました」

　クリアボールが目の前に落ちてシュートするまで、一瞬の出来事だった。しかし旗手はシュートコースを見つけただけはなく、シュート回転させて、ボールがゴールの右隅に逃げるように蹴った。それは、万が一キーパーがセーブしても、触るのがやっとで、そのこぼれ球に味方が飛びつけるというところまでイメージしたシュートだったのだ。

　前半４２分の２点目も、練習で監督に言われている動きが自然にできたという。

　「（ゴール前の）あそこの位置に入って蹴って、というのは常に監督から言われています。そのポジションに入って行きながら、ボールを止めて、どこにでもボールが出せる、自分が選択できる位置にボール置けた。まあ、その位置まで入れたら、シュートしかないなと思いましたが。すごく落ち着いて蹴れたのが良かったと思います」

　右サイドから入ったスルーパスをゴール前に飛び込みながら受け、ＰＡラインのやや手前で思い切り右足を振った。中盤からトップスピードで飛び出しながら、ボールを受けた。そのファーストタッチが完璧だった。どこにでも思い通りに動かせる足元にボールを置けた。するとシュートが自然な選択だった。そんなふうに落ち着いて蹴ったシュートがあっさり２点目となった。

　さらにはこの２ゴール目のわずか２分後、今度は旗手にアシストがついた。左から日本人ＭＦが放ったクロスにアバタが飛び込み３点目を奪って、セルティックがレンジャーズに引導を渡した。

　「狙ってはいたのですが、あそこに入ってきてくれと思いながら（クロスを）上げた。そしたらそこに入ってきてくれた。本当に、今日は持っていましたね」

　旗手は幸運だと目を丸くした。そしてマンチェスター、マージーサイド、北ロンドンといった英国の有名ダービーと肩を並べるオールドファーム・ダービーのデビュー戦で２ゴール１アシストという驚異的な結果を出したことについては「確かに出来過ぎです」と語り出した。

　しかし「日頃から練習からだったり自分のケアを怠っていなかったという自負はあります。その結果がこういう試合で表現できたのかなと思う。すごく表現は難しいですけど、準備してきてよかったなと思います」と続け、日頃の地道な精進があってこその結果と自信をみなぎらせ、今後のさらなる活躍を誓っていた。

報知新聞社