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雑誌「Sports Graphic Number」と「NumberWeb」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」を紹介します。今回はカタールW杯イヤーとなる2022年、日本サッカーと世界の距離感にまつわる4つの言葉です。

<名言1>
ヨーロッパではトラップが乱れたときに、『あ、これは削られる』と思う瞬間があるんですよ。
(酒井高徳/NumberWeb 2021年11月9日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/850539

◇解説◇
 ヴィッセル神戸と言えばポドルスキやアンドレス・イニエスタの加入を契機に、J1屈指の戦力を有する強豪となった。彼ら外国人選手と同等以上の影響力を及ぼしているのは、酒井高徳だろう。ドイツで揉まれた経験をベースに、デュエルでのタフさを発揮しつつ高い戦術眼とスキルで、サイドでの攻守で優位性を築いているからだ。

「Jリーグ全体がやっているサッカーが、世界と比べられないイメージ。そもそも世界に向かっている感覚すらない」

 酒井がこのように提言したのは、2021年2月のこと。Jリーグでプレーしている現役選手がこのような発言をしたことに大きな反響があったが、その後も酒井は「インテンシティ」の大事さを繰り返し説いている。

「攻撃に時間をかけてしまう傾向があるリーグ」
 そんな酒井が、2021シーズンが進んだ段階でインタビューに応じてくれた。

「Jリーグはぎりぎりのところで相手より先に裏へ走り込んだりとか、ワンツーで裏を狙ったりせず、攻撃に時間をかけてしまう傾向があるリーグだと思うんですよ」

「これは批判ではなくて、Jリーグの特徴がそうだということ。この形で試合をしている選手が多いから、なかなかインテンシティを身につけられない。その結果、Jリーグの選手はインテンシティを持っていないと、欧州の人たちに思われてしまう。だから声がかかりづらい。かかっても欧州5大リーグじゃなくて、下のランクのリーグになってしまう」

 ヨーロッパのサッカーには“ゴールに近づく動き”や“ボールを奪いにいく守備”が根本にあるため、インテンシティが自然と高くなる。ただ日本ではそのマインドセットが“食いつきすぎ”と取られることもあったという。

 冒頭の酒井の言葉は、神戸に加入した武藤嘉紀と話した際の気づきである。リーグの特徴と言えばそれまでなのかもしれないが、選手の立場からヨーロッパ視点での意見が出ることによって、Jリーグに多様性が生まれることを期待したい。

日本は良くも悪くもゲームモデルを変えることはない
<名言2>
日本は良くも悪くもゲームモデルを変えることはないだろうと。
(西村亮太/NumberWeb 2021年10月6日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/850055

◇解説◇
 2021年、日本サッカーが世界との距離を痛感させられた大会は東京五輪だった。

 メダル獲得を目指したU-24日本代表のグループステージは南アフリカ、メキシコ、フランスと難敵がそろう組み合わせになった。それでも久保建英の3試合連続ゴールなど攻守ともに躍動し、首位での突破を果たした。準々決勝ではニュージーランドとのタフマッチを120分間戦った末、PK戦でGK谷晃生のビッグセーブで勝利を手繰りよせた。

 準決勝のスペイン戦、日本はペドリやスピメンディ、オヤルサバルら擁するスペインにポゼッションを握られる展開となった。それでも吉田麻也と板倉滉を中心にした4バックや遠藤航と田中碧のダブルボランチ、前線も規律を持った守備で応戦。時にカウンターでゴールに迫る場面もあった。しかし延長後半、最後は途中出場のマルコ・アセンシオが見せた個の力に沈み、悲願の金メダルへの道は潰えた。

 せめて銅メダルを――その気持ちで臨んだ3位決定戦で立ちはだかったのは、グループステージ(GL)では勝利したメキシコ代表だった。中2日が連続した超ハードスケジュールの中で、日本の主力メンバーの足は止まっていた。それを見逃さなかったメキシコは13分、22分と立て続けにゴールを奪って優位に立つと、58分には決定的な3点目を奪う。日本も78分に途中出場の三笘薫が一矢を報いたが、反撃はここまでだった。

 日本をきっちりと分析し、銅メダルを手にしたメキシコ。そのチームで分析を任されたのは、日本人の西村亮太コーチである。GLで日本と同組になったこともあり、西村は大会前に計4試合の分析を進め、3位決定戦前にはメキシコが敗戦したGLを含む3試合をチェックしていたという。

 西村はフォーメーションについて《3-4-2-1》で来る方が嫌だったなど、準備のプロセスを包み隠さず語ってくれたが……それ以上にサッカーファンに突き刺さるのは、戦術の噛み合わせ以上に、試合中に選手たちが見せた柔軟性についてだろう。このようにも話している。

「たぶんメキシコの選手って、日本の選手みたいに“しっかりとした環境”で育てられていないんです。つまり、彼らは子どもの頃からピッチの中で、自分で生き残る方法を考えて問題を解決しながらトップまでたどり着いている。そうした経験がベースにあるので、枠組みを少し与えてあげるだけで、彼らの良さが勝手に引き出されていく」

 なお西村は「一人ひとりの能力を足していって平均を作ったら、日本のほうが上」とも評している。個の力をどう結合してチーム力に落とし込むか。東京五輪の4位はその課題を突き付けたと言える。

三都主が「人が良すぎる」と語った問題
<名言3>
多くのJクラブが日本代表や年齢別日本代表クラスの国内トップ選手を無償で外国のクラブへ差し出している。人が良すぎる。
(三都主アレサンドロ/NumberWeb 2021年11月24日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/850795

◇解説◇
 日本サッカーが学ぶべき点は、ピッチ内だけではない。チーム運営・強化といった面もである。それを選手育成、そして売却するという立場から語るのは三都主だ。

 ジーコ、オシムジャパン時代に左サイドを任され続けた男は引退後、日本サッカー協会の指導者B級ライセンスを取得後、ブラジルへと戻って『三都主サッカーアカデミー』という選手育成クラブを立ち上げた。

 日本人の16歳・杉浦響くんも在籍する同クラブは、すでにブラジルのトップクラブに選手を送り込んでいる。

「売却ではなく、選手の保有権の一部を保持していて、将来、選手が他のクラブに移籍した際に移籍金の一部を受け取る仕組み。将来有望な選手が多く、これからどんな選手になるかとても楽しみだ」

 彼らがビッグネームになってくれれば、運営資金のベースになる。そういった経験があるゆえ、三都主は契約期間満了となっての“ゼロ円移籍”や微々たる移籍金で主力を手放すケースについて「人が良すぎる」と看破するのだ。

「優秀な選手を育成し、外国のクラブや国内の裕福なクラブへ移籍する際に正当な対価を受け取れば、それをアカデミーでの選手育成に再投資できるし、クラブの施設を充実させたり、選手にもっと高い給料を払うこともできる……。Jリーグのクラブが外国のクラブを見習うべき点は、まだまだ多いと感じている」

憲剛が語るフロンターレの「意識の変化」とは
<名言4>
いまのフロンターレは、サポーターもクラブのスタッフも、「優勝しなきゃいけないんだ」と思っている。それは、あと一歩で優勝できなかった当時との明らかな違いです。そういう目線でスタジアムに来てもらい、応援をしてもらうと、選手の意識は変わっていきます。
(中村憲剛/NumberWeb 2021年11月4日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/850513

◇解説◇
 現在のJリーグで圧倒的な力を誇っているのは、川崎フロンターレだ。

 鬼木達監督のもとで、直近5シーズンのうち4回のJ1制覇を成し遂げ、その間に天皇杯、ルヴァン杯も制覇している。特に2021年はクラブの象徴だった中村の引退、さらにはA代表にも定着した守田英正、シーズン中に田中碧と三笘薫が海外移籍しても、抜群の強さを誇ったからだ。

 的確な解説が評判の中村は現在、フロンターレで「FRO(フロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー)」という立場にある。

 しかし日常的にチーム内にいるわけでなく、「皆さんと似たような位置から見ているので、ホントに凄いと思います」と後輩たちを讃えていた。「シルバーコレクター」と呼ばれていたのがウソのような常勝軍団ぶりだが、取り上げた言葉通り、中村は勝利を積み重ねたことによって、クラブ全体を取り巻くマインドが変わったと感じている。

「17年以降はタイトルを毎シーズン獲っています。言い方を変えれば、自分たちの取り組みが肯定されている。『自分たちがやっていることは優勝につながるんだ、サポーターに喜びをもたらすんだ』と思うことができるわけですから、選手はさらに前向きになれます」

 国内三大タイトルを制した川崎に足りないのは、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のタイトルだ。2022年は浦和レッズ、ガンバ大阪、鹿島アントラーズに次いで、Jで4クラブ目の「アジア最強クラブ」へと駆け上がれるか。

(「スポーツ名言セレクション」NumberWeb編集部 = 文)



2022/01/03(月)
確かに12、3年前ならJリーグで大活躍した選手は長谷部、香川の活躍もあってブンデスに移籍する事が多かったけど、今はベルギーが主な移籍先ですもんね。Jで他のチームを圧倒しているフロンターレの主力だった田中碧がブンデス2部で主力に定着出来ていないですし。
記事の通りでJリーグのレベルが低いというよりも欧州のサッカーのトレンドと違う方向にJが向かってるのが主な理由なのかな?と思いますが。
だから、逆に欧州から来た外国籍の選手でJリーグで全く活躍出来ないパターンもありますし。
後は三都主さんの言う通りで0円移籍が多過ぎますね。しかも若手選手の。そして海外で失敗したら簡単に元のチームに受け入れるパターンも多いですし。

2022/01/03(月)
一般的な日本人の特性として、予定、想定に沿って型どおりにこなすことは得意だが、予定、想定が崩れた中で臨機応変に対応することは苦手。組織においては一定の約束事は大事だけれども、プランAが崩れた時にプランB、プランCへ移行したり、個別の局面でのアドリブを自分で判断してこなすことが本当に強い組織では求められる。スポーツの中では非常に自由度の高いチームスポーツであるサッカーでは、日本人のいつもの癖を取り払って型を破ることが出来ないと、次のステージに進むことは難しいのかもしれない。

2022/01/03(月)
Jリーグが発足して30年程、実は世界的に見てもこんなに短い期間でここまで
サッカーが強くなった国というのも珍しい例、という話も聞いた事があります。

とはいえまだまだ世界との差は大きい、日本人的ともいえるけどプレーする選手、
周囲の運営、人が良すぎるってのはその通りかもしれないですね。

2022/01/03(月)
共通するのは日本サッカーの成長に最も重要なことはJリーグを含めた日本サッカーの環境、特に育成環境の向上ってことだな。
代表とか海外移籍とかは最終結果であって、そこだけを見ていたらそのうち国内が枯渇する。
移籍に際してはクラブが将来的にプラスになる金額を得なければならないし、親会社やスポンサーが「こりゃ儲かる商売だな」と思わせなければならないし、何よりその選手を育成した指導者が報われなければならない。
個人的に一番厄介な現状は、他ならぬサッカーファンがJリーグを軽視してることだと思う。
何かの雑誌で欧州スカウトが「Jリーグを最も過小評価しているのは日本人」と言ってたのを思い出す。

2022/01/03(月)
攻撃に時間がかかりすぎる傾向がある→企業も決定するまでに時間がかかるし、スピード感が足りないのは日本人特有のものかもしれませんね。

2022/01/03(月)
高徳はシュツットガルト時代、活躍してドイツ代表の可能性も言われ始めた時に、現地で話したことがあるけど、もう、人がよすぎると思うぐらい、腰が低かった。いやーまだまだです、って。他のドイツ人や海外の選手に比べたら、もう威圧感のレベルが違った。しかし、神戸に戻った彼は、もう全く別人、あの海外選手の威圧感が。

私はこのインテンションって、案外メンタルな部分は大きいように思う。もちろん経験とフィジカルだけどね。最近のJから海外へ行く多くの若手選手のあの佇まいは、あの当時の高徳なんだよね。伊藤くんが、ちょっと一味違うけれど。この空気感はやはり最近のJの空気感のように感じる。シティフットボールが関わってから強くなったマリノスとか、戦術とかテクニカルなものじゃないと思うんだよね。

2022/01/03(月)
野球もそうだけど、なんか日本は型通りにやらせようとしすぎじゃない?

点を取るため、勝つため、が最優先ではなく、伝統と規律を守る、監督コーチの指示を守る、が最優先になってる気がしてならない。

2022/01/03(月)
日本人アスリートはもう個人競技の方が活躍するようになった感じだね。

団体競技では「個人の特徴を出さないのがチームプレー」というような価値観が邪魔していると思う。

2022/01/03(月)
東京五輪敗因はまず森保だけどな。
前回対戦を元にしっかりと研究、対策してきたメキシコに対し、何の工夫もなく前回と同じどころか、休まさせれるとこで休ませなかった分疲労困憊で前回以下の日本。
本当に指揮官の差がはっきり出た試合。
まあ何言ったところで絶対に退任されない、目に見えない聖域に守られてるんだけど

2022/01/03(月)
特にサッカーで感じるのは、世界に触れている頻度が、プレイヤー>指導者(管理職)>経営者。一方、日本の組織の一般的ヒエラルキーが契約者>指導者>プレイヤーなのが悲劇。サッカー協会、日本代表で如実に感じる。既得権者の既得権を取り払うのが日本全体の課題。











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