2022年シーズンは、すでに動き出している。1月半ばには訪れる始動日に向けて、Jリーグの各クラブはチーム編成を進めている。

　サッカー批評では、J1クラブの動向をチェック。移籍の噂やクラブからの正式発表をサーチして、2022年の最速スタメン予想を試みた。「あなたのクラブ」は、どんな新しい姿を見せてくれるのか...。

■新指揮官もチームにフィット

　野心を前面に打ち出した補強が続いている。昇格組ではあるが、単なるJ2から上がってくるクラブではない。

　まずは、指揮官の招へいだ。J1昇格に導いた鈴木政一監督は退任したが、後任にはライバルとして戦ってきたヴァンフォーレ甲府の伊藤彰監督を迎え入れた。2021年の磐田は3-4-2-1のフォーメーションで戦っていたが、これは甲府も同様だった。対戦相手として嫌というほど手腕は知らしめられており、フィットすることに自信を持って迎えた指揮官と言えるだろう。

　その3-4-2-1のシステムに、力強い補強を施している。最終ラインには東京オリンピックに臨むU-24ブラジル代表として来日していたリカルド・グラッサを加えた。五輪では控えだったものの、名門ヴァスコ・ダ・ガマでは主力としてプレーしている。

　中盤の底にも、ブラジル人のドゥドゥを迎えた。攻撃力を持ち合わせており、ブラジルでは2部でプレーしていたが、評価は高いようだ。大ベテランの遠藤保仁を支え、さらに自らの実力を知らしめようとするだろう。

■野心を抱いた選手たちが集まる

　左ウィングバックには、横浜FCから袴田裕太郎を獲得。かつてアカデミーでプレーした選手が、経験を積んで帰還した。袴田と同じく2021年は横浜FCでプレーしたジャーメイン良も加入。20代半ばの良い時期に入っており、今後も見据えた補強となる。

　ジャーメインは横浜FCではシャドーのポジションに入ることもあり、この位置には大宮アルディージャで背番号10を与えられていた黒川敦史も獲得。大宮の生え抜きで、着実にタフさを身につけ、2021年にはキャリアハイの9ゴールも記録した。2021年のJ2で16位と苦しんだ大宮だったが、そのチームでの奮闘は好調チームでのそれよりも価値がある。

　J2得点王となったルキアンはアビスパ福岡へと移籍したが、1トップには杉本健勇を期限付き移籍で獲得した。ここ数年は悔しい時間が続いていたが、かつて日本代表にも入ったように、能力の高さに疑いはない。30歳になるシーズンに、本人もリベンジを狙っているはずだ。

　横浜FCでJ2降格の悔しさを味わった選手や、ポーランド移籍があと一歩で成立しなかった経験を持つ黒川と、反撃を期する選手が、クラブの野心を増幅させる。たとえ最初は選手たちが「J1残留」と謙虚な目標を口にしようとも、本当の狙いはさらなる高みにあるはずだ。

サッカー批評編集部