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 新型コロナウイルスの影響で開幕が遅くなったため、今季のブンデスリーガは昨年12月中旬に行われた第13節終了後に冬休みに入った。シーズンは1月下旬にようやく折り返し地点となるわけだが、ここまでのシーズンで台風の目と言えるチームの1つが、遠藤航がプレーするシュツットガルトだ。

 昇格組ながら17試合を終えて5勝7分5敗の10位と健闘(1月21日現在)。そして勝ち点22という数字以上に、そのプレースタイルが魅力的で、高い評価を受けている。

ドイツを席巻する「勇敢なフットボール」
「勇敢でオフェンシブなサッカー」

 2019年12月、ペルグリノ・マタラッツォ監督は最初の会見で志向するサッカーに関してそうコメントした。当時はまだ無名で、ユリアン・ナーゲルスマン(現RBライプツィヒ監督)のアシスタントコーチという肩書はあったものの、プロクラブでの監督経験はゼロ。シュツットガルトが2部リーグで勝ち点を取り損ねる試合が続き、昇格が危うくなってきていた時期とあって、就任当初は疑心暗鬼だったファンも多かっただろう。

 あれから1年が経ち、マタラッツォ監督への評価は明らかに変わった。ファンは実際にピッチ上で繰り広げられるサッカーを見て、どれだけ喜んでいることだろう。

 シュツットガルトのファンは我慢強くない。記者席で試合を取材していると、少しでも攻め手を欠くだけですぐに焦れだす。横パスが続き、バックパスがGKに送られると厳しい罵声がスタジアム中に飛び交う。

 後ろに座っているファンから蹴られるんじゃないかと、ひやひやものだ。

 彼らは勇敢なサッカーを求め続けている。貪欲に、何度でも、前へチャレンジし続けるサッカー。ボールを奪われたら、すぐに奪い返しに走り出すサッカー。クラブへの誇りを胸に、ファンの思いを背負って、いつでも全力で勝利を目指すサッカー。

 そうした思いは選手にも届いているのだろう。遠藤はそんなファンの気持ちについて次のように語っていたことがある。昨シーズンのニュルンベルク戦後のことだ。

「(ブーイングとか)そういうのもしょうがないというか、僕は気にしていないというか、『前に行けよ』って合図を送ってくれているんだろうと思ってやっています」

躍進の原動力は1人の凄腕スカウト
 ただ、そうやってファンの思いを理解しても、体現できなければクラブとしては機能しない。クラブとしてのアイデンティティを、いかに確立するのか。そして、そのためにはどんな選手が必要なのか。

 口では壮大な叙述詩のように夢や希望に満ち溢れたことを語っておきながら、実際に補強される選手はチームの現在位置と合致しない――そんな例が、多々見受けられる世界だ。シュツットガルトにしても過去、そうした迷走を繰り返した時期もあった。

 そんなクラブに確かな方向性を示してくれているのが、スベン・ミスリンタートSDだ。ドルトムントやアーセナルでダイヤモンドの原石を見つける凄腕スカウトとして活躍した手腕を、ここシュツットガルトでも存分に見せてくれている。

 若くてポテンシャルがあり、驕ることなくいつでも全力で取り組むことができ、自分を向上させるために周囲の話に耳を傾けることができる。そんな選手を中心にピックアップし、補強策にずれがない。

 いまシュツットガルトでは、今後欧州トップクラブに注目されるであだろう逸材たちが野心ギラギラで暴れまくっている。

 オーストリア代表FWサーシャ・カライジッチ(23)は2mの長身を活かした空中戦の強さに加え、育成年代にはトップ下でプレーしていたほど技術とチャンスメイク能力に優れる。そして、粗削りながら爆発的なスピードと屈強なフィジカルで相手を跳ね飛ばすコンゴ人FWサイラス・ワマンギトゥカ(21)は、ここまでチームトップの9ゴールを挙げて存在感を発揮している。

 また、瞬発力とスピードでゴールへの道を作り出し、卓越したフィニッシュワークで得点を奪うアルゼンチン代表FWニコラス・ゴンサレス(22)。俊敏な身のこなしと鋭いドリブルでゴールに迫るフランス人FWタンギュイ・クリバリー(19)。さらには、守備を固める相手の隙をかぎ分けパスを引き出すアルゼンチン人MFマテオ・クリモビッツ(20)などが、恐れ知らずにゴールへ向けてチャレンジし続けるのだ。

若い選手にチャンスを与え、ダイナミックに
 攻撃だけではない。遠藤とボランチを組むU-23ベルギー代表MFオレル・マンガラ(22)は守備範囲が広く、ボール奪取能力に優れるだけでなくボールを運べて、得点にも絡める。左SBのU-23クロアチア代表DFボルナ・ソサ(21)は、1対1の強さに加え、クロスの精度とバリエーションが豊富でアシストが多い。また194cmのスイス代表GKグレゴール・コベル(23)は、判断力に磨きがかかったことで1つひとつのプレー精度が格段にレベルアップしている。

 若い選手にチャンスを与え、ワイルドでダイナミックなサッカーを展開する。そんなシュツットガルトのサッカーは見ていてワクワクするし、爽快だ。第17節終了時の32得点はリーグ3位タイで、その数字も高く評価されるべきだろう。

若き才能をまとめ上げる異色の指揮官
 とはいえ、サッカーは勢いだけではうまくいかない。現在の成績は、チームに確かな戦術的な方向性を与え、優先順位を明確にし、それぞれの選手が自分のパフォーマンスをしっかりと出せるように導いているマタラッツォ監督の手腕があってこそだ。

 マタラッツォは現役引退後、育成指導者として活動。リハビリ・アスレチックトレーナーとしての職歴もあり、ライフキネティックの資格も持っている。ニュルンベルクの育成アカデミーではメンタル部門で働いていたこともあるという。

 加えて、ドイツ語、英語、イタリア語に多少のスペイン語も操る。だから、選手たちにダイレクトにメッセージを伝えられる。そんなマタラッツォについてミスリンタートSDは「彼の持つ専門知識と社会性の組み合わせは、クラブにとって幸運でしかない」と絶大な信頼を口にしている。

不動のボランチとして君臨
 そして、遠藤だ。試合を動かすことができる貴重な選手である。“起点となる動き”と表現されることがあるが、攻撃でも守備でも、自分たちにとってポジティブに働くプレーを連続して生むためには、自分のプレーが次にどんな展開へ広がるのか――という全体像が見えていなければならない。

 そのためには試合全体の流れを適切に把握しながら状況を速やかに認知し、生じうる様々な選択肢を模索する。そして最適な決断を下しつつ、直前でキャンセルする可能性を残しながら正確でタイミングの良いプレーを繰り出す必要がある。

 それをブンデスリーガのプレッシャーの中で、相手チームの研究がある中でも披露し、攻守の起点となっているのだから素晴らしい。

 ミスリンタートSDが替えのきかない主軸として2024年まで契約を延長したのは、クラブの紛れもない期待の表れだし、オファーを受け入れた遠藤は、このクラブでもっとやるべきこと、やりたいことがあると信じているからではないだろうか。

遠藤とシュツットガルトの夢物語
 遠藤ほどのパフォーマンスを見せていると、「次のステップへ進むためによりレベルが高いクラブへ移籍することが必要」なんてことが考えらえられる。だから、「どこへ」というのが話題にあがったりする。

 しかし、いまこれだけの選手がそろっているのだ。敏腕SDと優秀な指導者に支えられたこのメンバーがシュツットガルトにとどまり、チームとして、クラブとして一丸となって成熟を重ねていったら、2年後、3年後にはものすごいチームになっているのではないかと想像してしまう。

 それぞれがレベルアップ、キャリアアップを図って移籍することよりも、このクラブでEL、あるいはCL出場権を狙えるチームに成長する。そしてその中心には遠藤がいる。

 それはとても夢のある話で、しかも可能性もある話ではないだろうか。

 ヒツルスペルガー代表取締役はミスリンタートSDの仕事ぶりに「大きなモチベーションと確固たる思いでメンバーの変革に取り組んでくれた。素晴らしい専門知識があるうえに、勇気と先見の明がある。昇格しただけでなく、その後ブンデスリーガでも内容的にも結果としても素晴らしい成長を見せている」と最大限の賛辞を送っていたことがある。

 ならばぜひ、まだまだここからも我慢強く、勇敢に、迷走せずに、一緒に進んでいってほしいと願う。

 現時点が、まだ到達点ではないはずだ。

(「欧州サッカーPRESS」中野吉之伴 = 文)
https://news.yahoo.co.jp/articles/cdd19d9f5648abbeab5026580c978ffb4b33db5e?page=1 

 

2021/01/22(金) 
この話を聞く前は今季終了後にレバークーゼンあたりにオファーあればなーと思ってたが、本当に2、3年後はCL狙えるチームになっている可能性があると感じました。
となると、残留も面白いですな。

2021/01/22(金)  
遠藤の成長は素晴らしいな。

ドイツでの評価も高いみたいだし同じ日本人として嬉しく思う。

2021/01/22(金) 
アーセナルはホント勿体無いことしたよ。
ビックスターを買う立場になりたいのは
若手育て屋ヴェンゲルさんの反発意識でそうなっちゃうのはわからなくもないけど、ミスリンタットさんにクラブ任せられなかったのは余りにも無能すぎる。

ビッグクラブ引き抜きも時間の問題。
若手起用積極的に続けてるユヴェントスなんてあり得るんじゃないかな?
香川遠藤に続く日本人選手が、ダイヤモンドアイの目に留まるのかもすごくこれから楽しみ。

2021/01/22(金)  
記事のような戦術眼・判断力もあって、しかも一対一や運動量にも強みがあるという…
ワンボランチができる選手は貴重。

2021/01/22(金) 
日本のCM,DMというと山口&名波、稲本&戸田(明神)、遠藤保仁&中村憲剛、遠藤保仁&長谷部

あたりが各大会で名コンビとして君臨してきたけど遠藤は歴代代表の中でも新しくベストイレブンに喰い込めるくらい対人に強くバランスがいい。まさにクビなったハリルが提唱していたデュエルのマスター。

2021/01/22(金)  
ピッチの中央でデュエルがここまで評価される日本人選手は今までいなかったように思う。
しかも欧州トップリーグの一つ、ブンデスリーガで。

2021/01/22(金)  
プライベートでは子煩悩で4人だったかな?お子さんいてチビちゃんの送り迎えとか普通にやってるみたいですね。チームでも年下が多く面白いサッカーやってますね。

2021/01/22(金) 
少なくとも柴崎は上回った。
代表で中心選手になるだけの実績は作ったと思う。

2021/01/22(金) 
遠藤は浦和に居る時にブーイングを浴びせられるのに慣れていたからね。そしてこの記事を読んでいたら、リカ監督を迎えた浦和が、シュツットガルトのようになってくれたらなと、重ねて考えてしまったのは、私が単に浦和サポだからでしょうか?

2021/01/22(金) 
遠藤選手は良いクラブ、良い監督に恵まれたね。シュツットガルトのサッカー面白いもん。

2021/01/22(金)  
10年間ほぼ安定して上位にいるドルに5-1は凄いと思った

2021/01/22(金) 
遠藤がここまでの選手になると思わなかった
もうすぐ28歳
浦和での時間が無駄だったかもしれないな・・

2021/01/22(金)  
日本代表の中心選手になれるよ。

2021/01/22(金) 
ヒッツルスペルガーがシュツットガルトの経営トップに居たとはおどろいた。

2021/01/22(金)  
湘南は良い選手出すよなー

2021/01/22(金) 
代表で、遠藤航と斉藤未月のダブルボランチがみたい











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