スクリーンショット 2020-10-26 18.48.57

スポンサード リンク




 ついに、その日が来た。

 現地時間10月25日に行なわれたラ・リーガ第7節のカディス戦で、久保建英がビジャレアル加入後のリーグ戦で初先発した。直前のヨーロッパリーグ(EL)で今シーズン公式戦初スタメンを飾り、1得点2アシストの結果を残したことが、ウナイ・エメリ監督への確かなアピールとなったのは間違いない。

 カディス戦は0対0のスコアレスドローに終わった。62分に退いた日本人アタッカーに物足りなさを指摘するメディアもあるが、久保のプレー解説でお馴染みの中西哲生氏は立場を異にする。久保の技術はもちろんプレー中の思考までを汲み取り、まったく違った角度から分析するのだ。

 ◆◆◆


エメリ監督の評価を変える「1ゴール2アシスト」
 
 1得点2アシストを記録したELのシワススポル戦は、久保にとって簡単な試合ではありませんでした。

 スペイン国内でも先発起用を待望されてきたなかで、ようやくそのチャンスが巡ってきた。ヨーロッパのコンペティションへのデビュー戦でもあった。2つの意味で「初めて」の一戦だったわけですが、ここで結果を残せなければエメリ監督の評価を変えることはできない。「なぜ久保は先発じゃないのか」と報じてきたメディアの風向きも変わっていく。プレッシャーを感じてもおかしくない試合だったのです。

 そのなかで、前半13分にこぼれ球をプッシュして先制点をあげ、20分にカルロス・バッカへのアシストで2点目を演出しました。30分過ぎにはPK獲得につながるパスも通した。

 後半には左CKからもアシストを記録しています。この試合はピッチコンディションが滑りやすくなっていましたが、技術の高さを見せることができていました。

 4-2-3-1のシステムでトップ下のポジションに入り、ゴール、流れのなかからのアシスト、セットプレーでのアシストと、分かりやすい結果を残したのは一歩前進と言うことができるでしょう。ウナイ・エメリ監督のポジション序列に、変化を及ぼすことができたに違いない。


エメリ監督が久保に要求していた「3つのタスク」
 
 そして、3日後のカディス戦でも先発に名を連ねます。

 カディスは2部からの昇格チームですが、ビジャレアル戦以前の6試合で3勝をあげています。前週のリーグ戦では、レアル・マドリーを1対0で下している。自分たちの守備に対する自信を深めて、ビジャレアル戦を迎えていたと考えることができます。

 相手の守備を崩すのが簡単でないのは、エメリ監督ももちろん理解していたのでしょう。4-3-3のシステムで、久保とモイ・ゴメスの両ウイングを外に張らせるのではなく、内側にポジションを取らせて相手のセンターバックとサイドバックの間に立たせました。いい状態で守らせないための戦略を練っていたわけです。

 この試合の立ち位置はあくまでも一例で、エメリ監督は対戦相手に応じた細かな約束事を選手に課しています。久保に対してはどの試合にも共通するタスクとして、「ペナルティエリア内へいい形で入っていく・ポゼッションをしているときにボールを失わない・守備面の改善」の3つを要求しています。

 監督の要求を遂行しなければ、選手はピッチに立てません。とはいえ、監督の要求どおりにプレーするだけでは自分の良さを示せない。プラスアルファとして自分の色をいかに出していくか。その配分は答えのないもので、就任1年目の監督のもとでは手探りになりがちです。それでも、カディス戦の久保は迷いを感じさせず、とても工夫を凝らしていました。


あえてシビアな場所にポジションをとって……
 
 カディスの堅牢な守備組織を前にしたビジャレアルは、敵陣でスペースを見つけることが難しく、パスを受けても時間の余裕がない状況でした。そのなかで久保は、攻撃側からするとシビアな場所にポジションを取り、ボールを引き出していました。パスが出てこない場面もありましたが、守備側がストレスを感じるポジションをつねに探していたのです。

 パスを引き出すだけでなく、タイミングを見定めて仕掛けてもいた。38分には右サイドからドリブルで持ち込み、3人の相手選手が自分に意識を向けた瞬間にゴール前へクロスを送りました。前半終了間際の44分には、右サイドの深い位置からタテへ持ち出し、右足でクロスを入れました。相手の守備ブロックを崩すアクションを、チーム内でもっとも多く起こしたのは久保だったでしょう。オンザボールの局面でチームの誰よりもリスクを冒し、相手守備陣にカオスを生み出していました。


ライバル・モレノ不在でどこまで活躍できるか?
 
 カディス戦ではサムエル・チュクウェゼと交代しましたが、これまで競争相手と見なされてきたナイジェリア代表MFとは、ELで揃って先発していました。コンビネーションも悪くなかった。共存できる可能性を見せただけに、今後はリーグ戦でも同時にピッチに立つ機会がありそうです。

 また、カディス戦ではパスの供給役となるダニ・パレホが不在でしたが、マヌエル・トリゲロスが久保の動きに絶えず目配せをして、シビアな場所へ入り込んだ久保にためらうことなくパスを供給していました。パス交換とはならなかった場面で、サムズアップをする2人を見ることもできました。チーム内で信頼を深めているのだな、と読み取ることができます。

 久保と役割の重なるジェラール・モレノは、ケガから復帰するまでもう少し時間がかかると見られています。今週、来週もミッドウィークにELが行なわれる日程のなかで、久保がどんな役割を果たしていくのかが楽しみです。

(「欧州サッカーPRESS」中西哲生+戸塚啓 = 文)
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e310da36341e624ad77a7a3da5d14e7c28af543?page=1 










スポンサード リンク

ブログランキング にほんブログ村 サッカーブログへ