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 10分強という限られた時間で、確かなインパクトを残した。

 現地時間9月19日に行なわれたラ・リーガ第2節のビジャレアル対エイバル戦で、久保は後半40分からピッチに立った。開幕戦に続いての途中出場で、ゴールやアシストは記録できなかったものの、そのプレーは好印象を与えるものだった。“TAKE”は一歩ずつ前進している。

 背番号16を着けた19歳のパフォーマンスを、開幕戦(https://number.bunshun.jp/articles/-/845051)に続いて中西哲生氏に分析してもらおう。

 ◆◆◆

後半40分の最終盤から途中出場となった久保
 エイバル戦の久保に課せられたテーマは、「大胆さと繊細さの両立」でした。

 2対1でリードする最終盤に途中出場した選手は、チームが逃げ切るためのタスクを求められます。アタッカーならボールを保持して時間を作る、前線からのチェイスで守備陣を助ける、といったプレーが優先されます。

 そこで「ボールを失ってはいけない」といった気持ちが先行すると、プレーが慎重になり過ぎることがあります。あるいは、「何かひとつでも見せ場を作らなければ」といったギラギラした思いが膨らみ過ぎると、無謀な仕掛けをしてボールを失うことにつながったりもします。

 エイバル戦の久保は、とてもフラットなメンタリティでピッチに立ちました。ウナイ・エメリ監督から交代出場を告げられるまでには、「今日はもう出番がないのかな」とか「もう少し早く出たいな」といった気持ちがよぎったかもしれませんが、交代選手としてのタスクがきちんと整理されていました。

ファーストプレーから迷わず大胆に仕掛ける
 ファーストプレーは右サイドからの突破でした。

 右サイドバックのマリオ・ガスパルから浮き球のパスを受ける直前に、久保は自陣へステップしてDFをつり出し、その直後に裏へ飛び出しています。しっかりとした予備動作からパスを引き出すと、相手に身体をぶつけてボールをブロックし、一瞬減速したのちに加速してタテへ抜け出しました。

 右サイドからの突破は、マジョルカでも何度も見せてきました。1対1の局面を制するのは驚きでないものの、逃げ切るためにはボールロストを避けたい場面です。成功すれば周囲を納得させることができる一方で、失敗したらプレーの判断が良くないと言われかねない。さらに言えば、どんな選手でも慎重になりがちなファーストプレーで、迷わず大胆に仕掛けたのです。

チームメイトの信頼を深めた「ラストパス」
 GKと最終ラインの間を通したグラウンダーのラストパスは、残念ながら味方選手につながりませんでした。ゴール前へ詰めていたエースストライカーのヘラルド・モレノは、目の前を通り過ぎていくボールを見送ると頭を抱え、すぐに久保に向かって拍手をしました。

 次に同じような場面が訪れたら、ヘラルド・モレノはクロスが入ってくることを疑わないでしょう。迷うことなく飛び込んでいくでしょう。このワンプレーで久保は自らのクオリティを示し、チームメイトの信頼を深めたのです。

「もう少し早く使われていたら」と感じるシーンも
 久保自身がゴール間へ走り込んでパスを受け、ヘラルド・モレノにラストパスを通す場面もありました。前線でパスを引き出すのは途中交代の選手に求められるプレーで、強引に打つのではなく確実性の高いパスを選択したのはクレバーでした。

 また、ヘラルド・モレノからラストパスを受ける場面もありました。ゴールのほぼ正面でDFと1対1になり、抜き切る前に左足シュートへ持ち込みましたが、得点にはつながりませんでした。

 とはいえ、フィニッシュの判断は悪くなかったでしょう。彼にとって難しかったのは、この試合で初めてのシュートだったということです。ウエスカとの開幕戦は30分過ぎからの出場で、この日は終了間際からの登場です。試合のなかでシュートを打つ感覚が、まだ磨かれていませんでした。

 たとえば後半開始から投入されていれば、この時点で何本かシュートを打っていて、左足を振る感覚をつかめていたかもしれない。1本目のシュートを受けて2本目、2本目までを受けて3本目といったように、シュートを何本か打つことがDFとの駆け引きで伏線になる効果もある。エメリ監督は正しい競争原理を持ち込んでいると感じますが、あのシュートシーンだけを抽出すると「もう少し早く使われていたら」と感じました。

たった10分でも、監督を納得させるプレーだった
 この試合で1得点1アシストを記録したヘラルド・モレノは、同じ左利きのプレーヤーとして久保の参考になる存在です。同点ゴールとなった1点目は効き足ではない右足で決めていますが、ペナルティエリア内で慌てることがなく、相手のリアクションを見てギリギリでプレーを変更することができています。右足のシュートの技術も高い。

 スペイン代表にも招集されているヘラルド・モレノとポジションを争っていくなかで、久保は多くの気づきを得ることができるでしょう。右ウイングのサムエル・チュクエゼもレフティーです。「切磋琢磨」という表現が、まさしく当てはまる環境です。

 逃げ切りのカードにふわさしいタスクを果たしつつ、大胆な仕掛けで相手守備陣を脅かしたこの日のプレーは、エメリ監督を納得させるものだったに違いありません。トラップやパスをミスしない繊細さを目の当たりにしたチームメイトは、「タケにボールをあずけておけば大丈夫だな」と感じたでしょう。

 出場時間は10分強でしたが、ただの10分強ではなかったのです。

(「欧州サッカーPRESS」戸塚啓 = 文)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e4d0e5d7e62547fe1bbc6e5085bdbce9f0209f32?page=1 










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