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 ピッチに座り込んだまま、横浜F・マリノスのMF三好康児(22)は虚ろな表情を浮かべていた。終わったばかりの一戦、そのラストシーンが何度も脳裏を駆け巡っていたのだろう。他の選手たちが挨拶へ向かうなかでただ一人、そのまま仰向けになって日産スタジアムの上に広がる夜空を見つめた。

「勝ち点3を取れるチャンスだったし、ああいう場面で決め切るか、決め切れないかで、自分の価値をどれだけ高められるか、というところもある。ああいう場面で決め切れる選手になっていきたいし、決め切ることができなければ先はないと思っているので」

 名古屋グランパスと対峙した13日の明治安田生命J1リーグ第7節。1-1で後半アディショナルタイムが、表示された4分台に入った直後だった。東京五輪世代となるU-22日本代表で「10番」を背負い続ける三好をして、何度も「ああいう場面」と悔やませたビッグチャンスが訪れた。

 自陣から発動させた乾坤一擲のカウンター。右サイドでパスを受けた三好がドリブルを加速させ、相手ゴールが見えてきたところで中央へ軌道を変える。左サイドにはキャプテンのMF天野純がフリーで走り込んでいたが、身長167cm、体重64kgのレフティーの選択は決まっていた。

「ただ、最後で相手がちょっと気になって、ちょっとミートしなかったところがあって」

 目の前にはDF宮原和也がブロックしようと、スライディングしながら飛び込んでくる。後方からはFW相馬勇紀の気配を感じた。早く打たなければ、という焦りが生じたのか。ペナルティーエリアに入ったあたりから放たれた、やや威力を欠いたシュートはGK武田洋平の真正面へ飛んでしまった。

 生まれ育った神奈川県川崎市をホームタウンとする、いまも愛してやまない王者・川崎フロンターレを自らの意思で飛び出して2年目となる今シーズン。期限付き移籍先を北海道コンサドーレ札幌からマリノスへと変えても、22歳のホープは代わりのきかない存在感を放っている。

フロンターレのU-12に加入したのが小学校5年生だった2007年。以来、U-15、U-18と順調にステップアップし、2015年は念願のトップチームへの昇格を果たしたが、特に厚い中盤の選手層に阻まれるかたちで、3年間のプレー時間の合計は955分間にとどまった。

「90分間を通してもちろん守備でも頑張りますけど、攻撃ではどこで力を発揮すればいいのか、という部分に関しては試合を重ねるごとに、自分のなかにおける経験値が上がってきている。ボールを受ければまず前を向いて、前線で仕掛けていく部分には自信をもっているし、それを繰り返していくことが自分の仕事と思っています」

 昨シーズンのコンサドーレでは1トップの背後、ダブルシャドーの一角を射止めて26試合に出場した。プレー時間も年間で1776分間に到達。先発としてコンスタントにピッチに立ち、長くプレーしてきた過程で初めてわかったことがあると、嬉しそうに語ったこともある。

 フロンターレの下部組織が生み出した最高傑作、とも評価された非凡な攻撃的センスは、グランパスのカウンターを何とか食い止めた直後の前半20分に決まった、FWマルコス・ジュニオールの同点ゴールを導いてもいる。

 自陣のペナルティーエリア内で、森保ジャパンにも選出されたDF畠中槙之輔が苦しい体勢から縦パスを送る。センターサークル内で反応した三好は自身の前方に大きなスペースが広がっていることと、前方には味方がジュニオールとFW仲川輝人、相手が3人という状況をすでに把握していた。

「スカウティングで相手が前から来る分、スペースが空くということはチームとして共通理解をもっていた。あの場面で言えば、シン君(畠中)が自分を見てくれていたので上手くボールをもらうことができたし、前の選手たちも自分の動きを見ていたので」

 ワンタッチでボールを前へ流し、そのまま勢いよく三好が前へ出る。下がりながら対応するグランパス守備陣を翻弄するように、隙間を通すスルーパスを一閃。マリノスで群を抜くスピードを誇る仲川が右側を抜け出し先へ、寸分狂わず到達したボールが中央のジュニオールへ折り返された。

「テルさん(仲川)がスピードを落とさないところへのパス、というのは練習の部分やここまでの試合でもイメージを共有できているので、そこを上手く合わせられたゴールだったと思います」

 前線の3人による、あうんのコンビネーションで生み出した同点弾に手応えをのぞかせた三好へ、仲川も「最高のパスをくれた」と賛辞を惜しまなかった。ただ、画竜点睛を欠くかたちとなった終了直前のシュートに関しては、三好自身が昨シーズンから掲げてきた課題でもあった。

「もうひとつ怖い選手になるためには、ゴールを奪わないと。アシストだけでは上にはいけないと思うし、フィニッシュの回数や精度を上げていくことが、自分の成長につながっていくので」

 昨シーズンは3ゴールをあげたが、初得点は9月29日のサガン鳥栖戦まで待たなければいけなかった。今シーズンはガンバ大阪との開幕戦で、ペナルティーエリアの外から目の覚めるようなミドルシュートを叩き込むも、第2節以降は無得点が続いている。

 フロンターレ時代から、同じ攻撃的MFとしてプレーするレジェンドの中村憲剛から、上手いだけでなく相手に脅威を与える選手になるための3カ条「相手の間でボールを受ける、すぐ前を向く、最後の仕掛けの部分で怖さを出す」を何度も叩き込まれてきた。いまも試行錯誤しながら実践している。

 コンサドーレ、そしてマリノスでは自らの希望で「41番」を背負っている。三好本人は「軽い気持ちでつけました」と照れ笑いを浮かべるが、同じレフティーで、フロンターレ時代に可愛がってもらった昨シーズンのMVP、MF家長昭博の背番号にあやかったものだ。

 そして、期限付き移籍の旅を終え、成長して戻って来るのを待っていると言わんばかりに、フロンターレは三好が2017シーズンに背負っていた「13番」を空けている。コンサドーレで輝きを放ちながらも1年間で退団したのも、完全移籍への切り替えを求められたからだ。

「代表の『10番』は責任があるし、誰しもがつけたいと望むはずなので、当然競争もあると思う。ただ、背番号でプレーが変わるわけではないし、それを背負うことで何かが特別変わるのかと言われれば、そうではないと思う」

 フロンターレに愛され続けるホープは、サッカーに対する真摯な姿勢と適応力の高さを介して、コンサドーレに続いてマリノスでも居場所を築きあげた。武者修行の先か、あるいは過程に待つはずの東京五輪へも自然体で臨む三好は、自らの課題にも真正面から向き合いながらたくましく成長していく。

(文責・藤江直人/スポーツライター)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190414-00010002-wordleafs-socc



1 2019/04/14(日)
三好はコンサドーレからマリノスとベストな軌道を描いている。両チームも外国人監督で、年齢で選手を見ないし任せる所は任せてくれる。これは若い世代にとっては最高の環境だ。
今では天野と2人で司令塔のようになっている。
三好の高校時代の恩師箕輪さんは最近トークイベントでフロサポから問われた質問に答える形で、コンサドーレ移籍の際に相談があった事を明かし、その際に「行った方がいい。そして川崎に戻るような小さい考えは捨てろ。お前は世界に出ろ。川崎に戻るのはそのチャレンジの後でもいい」ときつく言い渡したので当面川崎に戻らないはず。と語っていた。
来年は五輪イヤー。引き続き出場機会を得るために、横浜がOKなら引き続きプレーをし、五輪の活躍をステップに海外移籍が彼の今後の理想だろう。

2 2019/04/14(日)
期待はしているけども残念ながら遠藤と三好のレベルは雲泥の差だと思う。
同じく五輪のチームメイトという事での連携の良さもあまり見られないし、ガムシャラに球際まで競るのも三好だけ。
たまに見せたと思うと今回の事故みたいな軽いプレーが多くやはりこの記事の様な覚悟があるのかないのかの違いなのだろうか。
本人も話す様にシュートに関してはまだまだの余地はあるが、逆に言えばそこが伸びれば代表間違いなしのレベルの選手ではあると思う。
是非他の選手も見習ってもらいたいです。

4 2019/04/14(日)
久保くんとか三好とかは、ボール持ってないときの立ち姿がいいよね。
ボール持ってるときは、身体と一体化してるし。
札幌でも、もう少し活躍しても良かったかなとは思います。
マリノスで頑張ってほしい!

5 2019/04/14(日)
昨年の札幌への移籍が全て良かったな!あれで試合に出続けてコンディション調整の難しさやゲーム感覚を身につけて、周りの選手たちも上手いマリノスではさらに刺激を受けて、今本当の実力を出してる最中だと思う!フロンターレは中盤の選手層が厚すぎるから、期限付きでも移籍して良かったと思うし、来年フロンターレに戻った三好を見てみたいし、このままマリノスに完全移籍しても楽しみだ!

6 2019/04/14(日)
強いシュートではなく、角に入れるシュートを日本人は育成から練習しなきゃいけない
三好に限らず、日本の課題ですね
それ以外は、三好はすごくレベルが高いし
マリノスのサッカーが合っている
残念ながら、今の川崎では三好のドリブルを使えない
移籍して正解でしたね

8 2019/04/14(日)
今後のこと考えたら川崎にこだわらず所属を移したほうがいいと思う。いまのマリノスの気質に合っているし、こちらのほうが成長できる。川崎は本当に必要になったとき、金を積んで買い戻せばいい。その前に海外に行ってしまう方が現実味はあるが。

10 2019/04/14(日)
まさに今のりにのってるからこそ海外にチャレンジして欲しい。
ベルギーでも受け入れ先はありそうだし、スペインやドイツの2部からでもいいと思う
南野とかを追い越して欲しい
 
11 2019/04/14(日)
川崎に三好の居場所なんてあるのか?次は代表、海外だと思うけど……。海外で成功したいのなら、若いうちに出たほうがいいよ。

12 2019/04/14(日)
今の川崎では三好を生かせないのはわかっている。川崎に戻るのかもわからない。
ただFW宮代、トップ下に旗手、両サイドに三笘・三好が並ぶ攻撃陣を想像するだけでワクワクする。

15 2019/04/14(日)
決定力の課題は三好だけの問題では無い日本全体の問題!
育成年代からどうしても繋がりを教え込むからエゴイストな行為をする選手は嫌がられ出してくれなくなる。ここが改善されない限りストライカーはそう簡単に生まれない
大迫は鹿児島城西というそれまで全国で知られてないからのびのび出来たけど

16 2019/04/14(日)
移籍金を満額払っても完全移籍で獲得すべき。
それだけの価値がある選手。


17 2019/04/14(日)
最初彼のプレーを見た時はシティのシルバみたいでした、レフティだし、早くもう一段レベルを上げて、フロンターレに帰還して欲しいな。そろそろ憲剛もサブで使ってあげないとね。いつまで頼りにするのもね。

19 2019/04/14(日)
三好や久保君(何故か君付け)は、本当に才能感じるから、すぐにでもフル代表で見たくなってしまう。
ただまだ成長途中だから、過負荷は避けないといけないのでしょうがねー。。

21 2019/04/14(日)
ミヨッシも22歳か。海外に出て行って欲しいな。決して若い年齢では無いと思う。勢いのある間に。

22 2019/04/14(日)
いや〜昨日の試合は面白かった。
Jリーグは神戸だけしか注目してなかったがマリノスと名古屋は兎に角攻守の切り替えが早くていい試合だった。
ん〜これJリーグ?て思ってしまうほどスピード感があった。
ATの最後のシュートは決めて欲しかったな。
 
23 2019/04/14(日)
いずれ海外野望でしょうが、
いまのマリノスサッカーに必要不可欠です。
彼こそ10番
天の、わかっていたが…まだまだ足りないです。

24 2019/04/14(日)
経験を積むのも大事かもしれない

26 2019/04/14(日)
22歳は全然若くない。五輪世代は早くA代表に絡んできてほしい。
三好にももちろん期待している。

27 2019/04/14(日)
ただフロンターレでは居場所がない。そろそろフロンターレの補強策にも飽きてきたな。他チームの即戦力をベンチにしてどうする?

30 2019/04/14(日)
今期のマリノスが比較的攻撃連携出来てるのは戦術熟成されたというより、三好が入ったからではと思ってるくらい。
オリンピックまではマリノスにいて、そのまま海外へ行って欲しい。

31 2019/04/14(日)
○○ユースの最高傑作とよく言われる人はよくいますが、実際成功まで行った選手がいないですから、高望みはするべきではないでしょうね。
 
32 2019/04/14(日)
海外に行くべきでは?若いし。
 
35 2019/04/14(日)
三好も海外挑戦する時期だと思う。Jリーグで最高傑作と呼ばれたなら、尚更、海外でレベルアップして欲しい。
 
36 2019/04/14(日)
獲得発表~開幕戦までは良かったけど、なんか「完全移籍での獲得はないだろうし、どうせ川崎に戻るんだ・・・」と思ったら、最近はどうでもよくなってきた。
(久保の時もそうだったし・・・)
今年は開幕から怪我人多いから、まあシーズン中はせいぜい怪我しないように頑張ってくれ。

37 2019/04/14(日)
頑張って欲しい

38 2019/04/14(日)
三好はフィジカル少し上げれば、
ブンデスで大活躍する。
鹿島の安倍?とは違い、
三好は本物

40 2019/04/14(日)
足裏を見せてのタックルが、昨日も含め多すぎる。完璧レッド

41 2019/04/14(日)
東京五輪では間違いなく10番をつける男。チームの中心として日本をメダル獲得まで導いてほしい

42 2019/04/14(日)
三好が居るといないとでは
こうも違う、横浜と札幌の
順位差。

44 2019/04/14(日)
三好、天野、仲川のトライアングルは
新しい武器だな
本当はこれに扇原が巧く絡んでくれたら
楽しいのに













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