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地獄から這い上がってきた宮市亮に「今、楽しいですか?」と聞いてみる。

「ようやくサッカー選手らしくなってきた、サッカー選手になった。そんな感じです」



笑っていた。少し恥ずかしそうにしながら。ただ、言葉は力強かった。プロになって9年、26歳になった。けがも完全に癒え、ようやくサッカー選手としての日々を思う存分、生きている。

「毎日痛みもなく練習場に行って、練習着に着替えて、外に出て、サッカーをして、週末に向けて準備する。週末は試合に出てゴールを決める。もう、半端ないです」

大迫の活躍で流行語になったフレーズも飛び出した。

アーセン・ベンゲル監督に才能を認められ、18歳の誕生日に名門アーセナルと契約を結んだ。中京大中京高の卒業式にも出ず、Jリーグも経験せず直接、欧州に渡った。

◆存在そのものが日本の明るい未来だった…

10代で日本代表に初招集され、国際Aマッチデビュー。あの時は、宮市の存在そのものが、ある意味、日本サッカーの輝ける未来だった。

だが、度重なるけがに泣かされ、いまだに1シーズン通してプレーした経験がない。今はドイツ2部。北部の大都市ハンブルクのザンクトパウリというチームで、開幕からずっと戦力として存在感を示し、シーズン終盤の激しい1部昇格争いに力を注ぐ。

「ここまで、けがもなく、常にいい状態。今シーズンは1度も離脱していない。それが大きなこと。離脱せず、毎日毎日練習を積み重ねることがどれだけ大事かを、身に染みて実感しています」

練習から常に100%を求められ、日々、過酷な生存競争にさらされている。その先にようやく、週末のリーグ戦や各国代表での国際Aマッチ、晴れ舞台がある。注目を浴びる試合の90分は、気の遠くなるような日々の地道な積み重ねの先にだけある。今は、それを確かな手ごたえともに痛感する毎日だ。

「昔、若い時はビッグクラブ、プレミアリーグにいましたし、もちろんプロなんで結果を求めるんですけど、とにかく結果だけを求めていた。バクチというか、1発当ててやろうと。でも、けがをして地道に積み重ねて結果を出すことが大事で、それでしか結果は出ないんだということを学びました。結果は出すものじゃなくてついてくるものだと」

日本人離れした爆発的なスピードで相手をぶち抜くプレースタイルを引っさげ、欧州に乗り込んだ。高校時代、100メートルを10秒84で走った。異次元ともいえるスピードは欧州でも通用した。だが、常にフルスロットル。いつもけがと隣り合わせ。復帰しても、すぐまたアクセルをベタ踏み。取り返そうとして、けがを繰り返す悪循環。いつしか自分を見失ってしまった。それが長い、長いトンネルの入り口だった。

「常に焦りがあった。早く結果を出さないといけないと。海外に行って、まわりを見たら、ビッグクラブでみんなどんどんステップアップして上に行く。ネイマールも同世代。毎日すごく焦っていた。とにかくあいつらに追い付きたいし、できる、できるはずだって」

いつしかもう、宮市亮ではなくなってしまう。

◆エジルになろうかと思った

「アーセナルに行って、自分の持ち味だったスピードが長所と思えなくなった。今思えば、速いし、できていたんですけど。その当時は、全くまわりが見えていなかった。まわりがうますぎて、自分なんて全然だめなんじゃないかと自信を失っていた。エジルのパスがいい、あんなパスを出せたら、もう足なんて速くなくてもいい。もうエジルになろうかと思った時もありました。自分が見えなくなった。隣の芝は青く見えるじゃないですけど、自分にないものを求めすぎて、自分を見失ってましたね、当時は」
スピードという最大の武器を信じられなくなった。ドイツ代表でワールドカップ(W杯)も制した同僚の司令塔メスト・エジルは練習からため息がでるほど、サッカーがうまかった。あこがれ、本気でなろうとしたことさえあった。今は笑い話にできるが、当時は本気だった。

器用なタイプではない。物事を突き詰めて考えるまじめな性格。日常生活なら、それらすべてがプラスの要素として、いい人・宮市を形作るが、世界中からダイヤモンドの原石とスターだけを集めた極限の日常では、気持ち1つでその長所がマイナスに。

◆「フェラーリより強く、速く」

欧州では、自分探しの旅をしている悠長な時間はない。心と体のバランスを崩し、けがの直後も、1発で取り戻そうと無理をして、けがを重ねる悪循環。泥沼にはまりこむ。以降、移籍を繰り返し、結局アーセナルを飛び出し、ドイツ2部に新天地を求め再起を期す。

しかし、ここでも挫折が。無理がたたったのか、選手生命を脅かす2度のけがを負う。致命傷ともいえる膝の大けが。左、右と、前十字靱帯(じんたい)断裂を2度も。「もう終わった」なんていう声もあった。

「けがした瞬間は、もう、この世のネガティブな要素がすべて体に襲ってくるような、そんな感覚でした。ずっとYahoo!とかで前十字靱帯と調べたり、手術のことを調べたりしていました」

家族や周囲にも支えられ、合計2年以上の長期離脱を、無駄にはしなかった。けがの功名と表現すれば簡単すぎるが、自分自身を見直す時間とし、宮市亮という存在を取り戻していく。ようやくつかんだ、サッカーをプレーできる日常。単純だが、その計り知れない喜びで、大事なことに気づく。

「あの時は焦っていた。地道な取り組みでしか結果は出せない。今、焦りなんてものは全くない。むしろその焦りがないことで、サッカーを楽しめている。今、サッカー選手であることがどれだけ幸せなことか」

2度、膝を手術してもらったドイツの名医からは、リハビリ後に「お前の膝はもうフェラーリより強く、速く走れる」と背中を押された。完治した両膝への手ごたえも頼りに、1日1日、1歩1歩着実に、地道に前に進む。

ごく身近なJリーグから踏み出さず、いきなり欧州、それも最高峰のプレミアでプロの世界に飛び込んだ。それゆえ、これだけ回り道をしたという見方もある。「今、18歳だとして、アーセナルから話が来たら?」と聞くと「行きます」と即答だった。

「プロとして大事なもの、こういうメンタリティーでいてはいけないんだというものを若くして感じられたことが、今に生きている。もう自分を確立しました。リハビリの期間中、生きていく道はここしかないんだ、スピードを高めていくだけだと確認できた。アーセナルの時は速いといっても、ただ、親からいただいた天性のものを発揮する、それだけ。それでけがをした。今はけがをしない走り方、速く、力強く、自分の武器を感覚的ではなく、研ぎ澄ませて、考えられるようになった。自分の武器をさらに明確にできるようになりました」

あの時があるから、今がある。けがも乗り越えた。つらい思いも、前向きに振り返ることができる今があるから、迷わず言うことができる。10代に戻って、やり直すとしても同じ道を選ぶ。

宮市亮は死んでいなかった。生き返った、いや、生まれ変わった。

今はもう、未来もまわりも気にならない。焦りもない。そんな宮市が、話の途中に何げなく、こうつぶやいた。

「でも、やっぱり、僕も日本代表でW杯を戦うために、海外に行きましたし」

やはり今も、宮市亮は、日本サッカーの未来になり得る。遅いなんてことはない、そう信じたい。

今を必死で生きる。地道な積み重ねの先にだけ、未来がある。

「今シーズン、毎日毎日しっかりやっていたら、結果はついてくる。結果がついてくれば、その先に、どんな未来でも待っているのがヨーロッパのサッカーの世界ですから」

こうして壁をクリアし、這い上がっていく。【八反誠】

日刊スポーツ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190406-00010000-nksportsg-socc



1 2019/04/06(土)
ケガの多さはスプリンターの宿命みたいなところもあるからね
2部とはいえヨーロッパのクラブから声がかかるのはまだ期待してくれる人がいる証拠
なんとか結果をだして代表にも復帰してほしいな

2 2019/04/06(土)
宮市選手は中京時代から応援しています^ ^ あのベンゲル監督に見いだされ永い年月、大怪我などもありましたが、ここにきて活躍が目立ってきました^ ^ やはり経験値が上がって円熟味が増している感じがします。まだまだスピードで勝負出来ますし、代表にも必要な選手だと思う。怪我だけに注意して活躍期待しています。頑張って下さい。

3 2019/04/06(土)
サッカーってめぐりあわせというか、その時の運というものが強く作用する
ふつうなら両膝十字靭帯断裂してる選手を2シーズン待ってくれるクラブなんてない
アーセナルを出て移籍したザンクトパウリがたまたま待ってくれたのかもしれないし、
クラブが待ちたいと思うほど、ミヤッチの素質に惚れ込んだのかはわからないけど…
移籍先が他のクラブだったら、今頃無所属かアマチュアリーグまで行っててもおかしくない

4 2019/04/06(土)
本当によかった。今の宮市に対してはその言葉に尽きる。完全に諦めてしまってもおかしくない状況だったと思う。それでも何度も味わったしんどいリハビリ期間を経て、温かく見守り復帰を受け入れてくれているザンクトパウリの中でサッカー選手として頑張っている最中。
安定してやれている事が何より。もちろん本人はより向上すべき、よりチームに貢献すべく考えてチャレンジしているだろう。本人が心の奥で願っているような結果を少しずつでも叶えられるようになったらいいなあ。

6 2019/04/06(土)
怪我をしても日本に戻って来ない。
求められることはいいこと。
ただ早い段階で戻ってきて体の使い方を学んでもよかったとたらればを話してしまいました。
彼にはネイマールと共演するくらい活躍して貰って、同じような状況になる若手には体の使い方ということを学んで欲しい。怪我をしないタフな選手が結局チャンスを掴む、成長速度が急激に上がることが多いから。

7 2019/04/06(土)
ケガや不運が続きすぎですよね、
彼のコメントの「自分が見えなくなった。隣の芝は青く見えるじゃないですけど、自分にないものを求めすぎて、自分を見失ってました」ってのは、わかるわ。自分が持ってるものでは歯が立たない環境に一般的なステップを飛ばして突然身を置くと、足元が見つめられなくなる、なぜなら退路がわからないから。
一つ一つ無骨にコツコツ上っていく人は、退路、つまり一旦後ろに下がることをためらいなく選べる。自分の力量によっては自分の技術によっては、格下にも下がれる。
長谷部さんがそのいい例。格下のニュルンに移籍したし。
最後にはゼロ円移籍でアイントラハトに入ったぐらいだから、ただなら取っておこう、的な30超えての移籍が、今や新天地では押しも押されぬ国防長官に変身。

9 2019/04/06(土)
鹿島で伊藤翔が活躍しているので、同じ中京出身の宮市がどうしているのか気になっていました。偶然、この記事を見て、「彼はまだ、26歳だったんだ!」と、少しうれしくなりました。彼が18歳でアーセナルに入団し、その後、代表にも呼ばれたが、それからはあまり目立った活躍を聞かなかったので。彼がサイドの選手として代表に食い込んでくれば、もっと競争が激しくなり、層が厚くなる。ぜひ、クラブで活躍して欲しいですね。

11 2019/04/06(土)
並の人間なら、これだけ大怪我して、周りが超一流だらけでどんどん取り残されていく現実を感じたら、とっくに挫折して心身共に再起不能になってもおかしくない。
周りの環境や理解ある人達がいた事が本当に大きいと思うけど、最後は自分自身の気力がモノを言う。
人間的にどんどん強くなっているのがわかる。
憧れますよ。

12 2019/04/06(土)
結果論とかではなくやはり行くのが若すぎたのが彼が直面した葛藤の中身を聞くと分かる。フィジカルが追いついてなかったというよりそれ以上に精神的にビッグクラブや海外でやるメンタルが出来ていない。
なんでも海外行けば良いはやはり無責任だと思う。自分がなんたるや、自分のサッカーの特徴がなんたるやをしっかり把握してから行かないとこういう風に簡単に迷ってしまう。
しかも助けの居ない海外だと修正も自分が気が付くまでと時間がかかる。若くしていって大成した選手がいないのはそれなりに理由がある。せめて20歳くらいまで日本でしっかり中身を作ってから海外へ移籍した方が良い。

14 2019/04/06(土)
遠回りが最短だったなんてこともなんら珍しくない
ヴァーディみたいに4部でプレーしていた選手が数年後PL優勝なんてこともある
今ベストを尽くせばいつか最悪の時間すら財産になる
普通にサッカーが出来ることに感謝できるって速さやパスセンスよりかけがえのない力だと思うし、それは怪我で苦しんだからこそ得られたもの
ネイマールだってPSGで幸せではないと苦しんだりしてるし、無駄なことなんて無い

15 2019/04/06(土)
森保は選手固定でAチームとBチームに分けるタイプだから今から入るのは厳しいかもしれない。でも頑張ってほしいね。

17 2019/04/06(土)
まだ26なんだ。出てきたのが早かったからか、もっと歳いってるかとおもってた。
ふつうこれだけ怪我してたら、ドイツの2部にはいれないよ。
やっぱり、それだけの魅力と才能がある選手なんだ。
完治してるみたいだから、頑張ってほしい。日本代表で見てみたい。

18 2019/04/06(土)
宮市選手の活躍は、日本のサッカーファンならみんな願ってること。心身ともに新境地になった感じが伝わってきて、嬉しい。代表での活躍を期待しています。

20 2019/04/06(土)
正真正銘の天才です。
でも、彼のまわりの大人が悪かった。
各年代の代表に選ばれていたサラブレッドとはいえ、Jリーグの下部組織にさえ所属せず、高校サッカーからいきなりプレミアのしかもビッグクラブのアーセナルに行かせるなんて無理がありすぎた。
最低でも2年はJリーグでプロサッカーを経験させてあげて、フィジカルやテクニックだけでなく、考え方や気持ちが大人になる期間が必要だった。
日本人で最高のFWになる才能の持ち主だったのは間違いない。

21 2019/04/06(土)
再起に向け頑張って欲しい……
アスリート全般に言えることだが、【無事これ名馬】これに尽きる中田もイチローも余り大きな怪我がなかったのが一流選手の証し【怪我をし易い体質なのかもしれないが】やはりこれに尽きる!

22 2019/04/06(土)
なんだかんだまだ期待してますよ。

24 2019/04/06(土)
ファンとしては若いうちに欧州にチャレンジしてもらいたいけど、しっかり体ができてからの方がいいのかな?
 なんか才能を早摘みされているかんじがする
移籍したと思ったらレンタルされて怪我して移籍して・・・
 今後に期待したい

25 2019/04/06(土)
現役短距離選手です。
アキレス腱を痛めていないのならトップスピードは取り戻せると思います。
脚を着く位置が前過ぎる瞬間があるのでハムストリングスの肉離れに気をつけて欲しいです。
脚の着く位置はヘソの真下辺りです!


27 2019/04/06(土)
怪我さえなければA代表の主力としてスタメンにいる事は間違いないでしょう。
今後も、順調に進める事を願っています。
またA代表に召集される日が来る事、まだ密かに期待していますよ。
頑張って!

28 2019/04/06(土)
昔のイメージは周りが全く見えてなくてパスセンスも無かった。テクニックはあるのか知らないがシザーズは速かった。
代表はイケメン枠が空いてるから選んでみてもいいと思う。

30 2019/04/06(土)
どのスポーツでも怪我する人ってずっとそれで苦しんでるよね。しない人はホントしない。それも才能だと思うけど。超上手だけど怪我でずっと出れませんじゃ戦力にならんし。それだったらそこそこ上手い程度だけどずっと出場できますってほうがマシな気がする。

31 2019/04/06(土)
海外に出ていたから、頑張り続けられたのかも知れないし
Jリーグ経由で行っていれば大怪我はなかったかも知れないし
タラレバだからわからないけど、あの時の才能が開花しなかった寂しさと、今でも強いメンタルで戦い続けている事に対する嬉しさと色々な感情で見てしまう選手。
こんなもんじゃ無いはず!

33 2019/04/06(土)
人一倍の経験してるのに年齢的にはまだまだ若い!結果出して代表でまた見たいね。

34 2019/04/06(土)
あれだけ怪我をしても、いまだに選手として雇ってくれるチームがあるというのは、それだけですごいことだとは思う。
 
36 2019/04/06(土)
足が早いといえば、オーウェン、カニージャ、岡野?笑
宮市選手も26なんだな。というのが率直な感想。でもいい意味で代表を脅かす存在が1人でも多いのは底上げという意味でも大切なこと
かと思います。カズも15でブラジルから出発したし自分を取り戻したメンタルは大きいと思います。

38 2019/04/06(土)
ザンクトパウリが見放さずに辛抱してくれたのは本当に大きかったと思う。普通ならクビ→J復帰でも充分なくらいだけど完治を待って戦力としてみてくれるのはなかなかない

39 2019/04/06(土)
脚の速さを前面に押し出すプレーはサッカーでは怪我のリスクと隣り合わせだよね。ネイマールなんかも脚は何気にバルサ在籍時の測定でチーム最速とか言われる位速いけど、全力疾走してるシーンはあまり見ないから要領良くやれてるんだろうね。限界突破系は寿命が短い。

41 2019/04/06(土)
フェイエノールト時代の宮市をよくテレビで見た。確かにものすごいスピードだった。代表に呼ばれたけどあまり使ってもらえなかった。その後の怪我の連続はきつかったけど、ぜひチームでブレークして代表復帰して欲しい。

42 2019/04/06(土)
サッカーにおいては、脚が早すぎることは良いことだけじゃないもんな。筋肉系の怪我が多くなるし、スタミナが足りない事も多くなる。選手としてピークが短くなってしまうイメージもあるし。凄い武器になるのは間違いないけど。

44 2019/04/06(土)
チェルシーDF陣をぶち抜いたあの爆発的なスピードは見られなくても、長い間苦しんだ中で見出だしたプレーはザンクトパウリで光ってる。
まだ遅くなんてない!代表も、一部も狙える!
もう26歳、サッカー選手としては焦る年齢だけど宮市選手ならまだ遅くなんて無いはずです、今後を期待してます。












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